2019年のテーマ型ファンドはどうなる?

今回は人気の高いテーマ型ファンドを中心に投資信託の今年の動向を展望していきます。テーマ型ファンドとは、AI(人工知能)やバイオなど特定の業界の株式をメインに投資するファンドです。まずは、昨年の投資信託の動向を振り返りましょう。

2018年の投資信託業界の動向

2018年は日経平均株価が7年ぶりに下落。2012年末からのアベノミクス相場開始以降では初の下落となりました。 こうした中、2018年は投資信託でも運用面で苦戦を強いられました。過去1年間のパフォーマンスはほぼ全銘柄で下落。運用タイプ別でみると、年間を通して堅調な推移を見せたのは国内 REIT( 不動産投資信託)のみです。

国内REITは利回りが4%超あるので利回りの高さが強調されますが、為替リスクの影響を受けにくく、日米株式との相関性も低いため、分散投資としての効果が期待されています。

一方、海外REITは米国金利が上昇したことにより下落傾向が続いています。日本でも人気が高かった毎月分配型の海外REITは基準価額も大幅に下落しました。

2019年も世界的なリスク警戒の動きが続くとみられ、市場平均以上に大負けしないことが重要であると考えられます。投資信託は基本的に10年単位の長期運用を行うものです。短期的にはブレがあるものの、長期的には安定したリターンが期待できます。大切なことは運用スタイルを変えないことです 。

テーマ型ファンドとは

テーマ型ファンドは短期での運用と捉えられがちですが、息の長いテーマでの長期運用が基本となります。テーマ型ファンドとは世の中で話題になっているテーマに関連する銘柄に的を絞って投資するタイプの投資信託のことです1990年代以降、社会資本整備関連、IT,インターネット、環境、ゲノム、バイオなどを様々なテーマが生まれてきました。

テーマの中には息の長いテーマもありますが、当初世間が期待したほどテーマの市場規模が伸びず、ファンドの運用成果も期待したようにはならなかったということもあります。

テーマ型ファンドは設定のタイミングも重要になります。取り上げられるテーマは気の長いケースもありますが、投資対象の株価がテーマによる市場の拡大と同じように上昇するとは限りません、株式市場では将来の期待を短期間で織り込んでしまうケースがあるからです。

投資信託が設定されるときには、組み込まれる株式の株価がかなり将来の見通しまで織り込んでいて、高値圏にある場合もあります。特定の業種や銘柄に集中して投資するので、テーマ型投資はリスクが高く、難しいといわれる理由になっています。

近年の息の長いテーマとしてヘルスケアバイオ関連ファンドがあります。日本だけでなく世界的に出生率が低下し、高齢化社会が進む中でヘルスケアバイオは注目されています。実際に市場規模は現在も拡大し続けています。

ただし、株価も同じように上昇しているわけではありません。設定時期が異なるヘルスケアバイオ関連ファンドを並べてみると、日本を含む先進国株式に投資するインデックスファンドのパフォーマンスをどれだけ上回ったかを比較することができます。

2010年より前に設定されているファンドのパフォーマンスは高いものの、2015年頃から設定されたファンドのパフォーマンスはイマイチとなっています。設定されるタイミング次第によって、パフォーマンスにかなりの違いが生じる可能性があるのです。テーマ型投資信託は、設定時に多くの資金を集める傾向があることから、設定のタイミングというのは重要なポイントになります。

テーマが話題になった早い時期に設定されたファンドに投資した方が、時流に乗って株価上昇の恩恵を受けることができるのです。その後に似たようなファンドが設定されれば、後発ファンドの期待できます。ということは、タイミングが遅れるほど投資成果が得られにくいということも考えられます 。

これは個別株でも言えることで、初動の時期に買った株式は恩恵を受けますが、高値圏で推移している株式を買い付けた場合は、大幅な下落のリスクがあります。いかに息の長い投資テーマのファンドを見つけ、設定時期が早い時期に買付けることができるかということが、大きなパフォーマンスの差となるのです 。

テーマが似ると、組み入れ対象銘柄も同じような銘柄になりやすい傾向があります。ファンドの想定通りに市場が動いた場合には、設定が後になればなるほど高い株価で組入れなければなりません。パフォーマンスに差が出ることは十分に考えられます。

テーマ型ファンドは株式市場が注目する特徴をいち早く見つけて設定された場合は、時流に乗り、好パフォーマンスが期待できます。一方、追随して設定されるファンドは、パフォーマンスが劣る可能性もあるのです。

ただし、市場の注目というのは常に変化するものです。自分が投資いているテーマの人気が一時的に落ちたとしても、しばらくして復活することもあります。テーマ型ファンドでも、一つのテーマに集中投資するのではなく、複数のテーマに分散しておいた方が、安定的なパフォーマンスを得ることが期待できます。

2018年のテーマ型ファンドの動向

2018年の投資信託の動向では、資金流入の大きかったファンド上位20銘柄のうち8本がテーマ株ファンドでした。フィンテックやバイオ、ロボット・ヘルスケアなどのテーマが人気を集めました。

ただし、2018年は相場環境も悪く、積極的に資金が向かったということではありません。米国金利上昇や米中貿易摩擦などにより、資金流出懸念のある新興国や金利上昇で価格が下落する債券やREITの投資信託から資金が流出しやすくなったといったこともあります。

特に海外REITは毎月分配型として人気が高かったのですが、米国金利上昇懸念や毎月分配型に対する批判が起こったことにより資金流出が相次ぎました。その受け皿となったのがテーマ型ファンドです。

10月中頃までは新興国通貨や新興国株式が大きく下落するなか、NY株式市場など先進国の株式市場が堅調だったことも追い風になりました。外国株式の中でも特に成長が見込めるテクノロジー系のテーマがたくさん売れた格好です。

人気テーマの売れ筋は変化しています。2018年前半はEV関連やロボット関連が売れましたが、後半になると失速。2017年に人気が高かったAIファンドも18年は売却され、パフォーマンスも20%前後のマイナスになるファンドもありました。

AIなどは今後も有力なテーマとなっていくでしょうが、AIファンド自体は、AI関連企業を必ずしも選ぶというわけではなく、ファンドマネージャーに代わってAIが銘柄選択をするというファンドが多くなっています。現状では、インデックスを大きく上回るようなパフォーマンスを残せるファンドはないようです。

テーマ型ファンドの問題点としては、投資時期の問題もあります。通常テーマ株が盛り上がって、市場で注目を浴びてから投資信託の設定が行われます。ファンドが設定されるまで時間があるので、期待先行で株価が上昇している場合があります。

そうなると投資信託を買った時点では高値掴みをしてしまう場合もあります。買った直後に損失が出てしまうこともあり、損失覚悟で売却して次のテーマ株ファンドに乗り換える動きもあります。

そのため、一つのテーマに腰を据えて投資するよりも次々と新しいテーマに心移りする投資家が多いのかもしれません。

2018年は毎月分配型ファンドが売却される傾向がありました。これまで毎月分配型ファンドは個人投資家から大きな人気を集め、投資信託市場を牽引していましたが、2018年は純資産が大きい外国REITや外国債券型ファンドなどを中心に大規模な売却が続きました。

毎月分配型ファンドの売却が続いた原因として、金融庁が毎月分配型ファンド問題視したため、販売会社で積極的な販売を控えたということがあります。積立NISAなど新たな金融商品をすすめる金融庁にとって、毎月分配型ファンドは適用外の商品です。

ただそれ以上に投資環境が大きく影響しました。米国の利上げが続き投資家が求めるような高い分配金が期待できなかったからです。外国REITや外国債券などの影で比較的パフォーマンスが良かったのがバランス型や米国株の毎月分配型ファンドです。

高分配の毎月分配型ファンドの解約は進みましたが、安定的な配当を出す毎月分配型ファンドの人気は継続していたと考えられます。毎月分配型ファンドは、年金を受給しているようなリタイア世代に人気がある商品です。

そのような投資家にとって、分配金は年金とともに生活費の一部になっている可能性があります。バランスファンドの中の隔月分配型(年金の支給がない奇数月に分配を行うファンド)の人気が集めてくることからもそのことは伺えます。毎月分配型ファンド自体の人気は今後も継続するでしょう。

共通KPIの発表

2018年は投資信託をめぐる政策で大きな出来事がありました。金融庁が投資信託の販売会社を比較できるように共通の成果指標 (KPI) の公表を求めたことです。共通 KPI は金融機関がどれだけ顧客本位で投資信託を販売していたかを測るものさしで、販売金融機関の成績表といえます 。

績表が良かったのは、コモンズ投信やレオスキャピタルワークス、セゾン投資など独立系の運用会社です。それらの会社は「長期・積立・分散」ということを掲げています。

トップのコモンズ投信は97.7%の顧客は利益がでていると答えています。一方、最も悪い金融機関では31.8%に留まります。

成績が低かったのは対面の銀行や証券会社などです。一概には言えませんが、店頭販売では投資信託の乗り換えなどが問題視されています。頻繁な売買は手数料などのコストを考えると運用成績にとってマイナス要因です。

上位の独立系ファンドのでも、口座開設から3年以上の顧客はほぼプラスになっていると話しています。今回の結果は2018年3月末時点の数字なので、まだ様子を見るべきだという指摘もありますが、これだけの差が現れたというのは真摯に受け止めなくてはならないでしょう。

2019年の有望テーマ

2019年に注目される有望テーマを見ていきましょう。

5G関連銘柄

5Gは「5th Generation」の略で、第4世代携帯電話4Gもしくは4GLTEの上位で高速化される次世代の移動体通信方式である第5世代移動通信システムです。

5Gは、 LTE の1,000倍以上の大容量化や、最大で10Gbps 以上の通信速度を実現することができます。あらゆるものがインターネットにつながる IoT 社会で必須の同時接続について、接続端末数を4Gの100倍以上にできるなど、圧倒的な強みを持っています。

5 Gは動画配信についてもちろんのこと、世界中の自動車メーカーやIT企業がしのぎを削る自動運転、医療、エンターテインメントなど、産業界の極めて広い範囲で多大な進歩をもたらすと期待されています。

IoT 社会ではビッグデータや人工知能の発展に合わせて、その他サービス領域も広がりを見せることが予想されています。例えば、 IoT の象徴となるスマートシティ構想やコネクテッドカーなどは、大容量高速通信技術の普及が前提となっているので、5Gがなくして成長市場はありません。

日本では政府主導で実証実験を開始し、東京五輪開幕の2020年に国内での商用化を目指しています。官民を上げて5Gへの投資を加速させる必要に迫られているのです。2020年時点で5G関連投資は世界ベースで55兆円。日本国内だけでも10兆円レベルに達するとの試算もあります。今後継続的な投資需要が見込まれることから、物色テーマとしてなく長続きしやすく、メディアなどを通じて政策アナウンスも期待されることから、関連銘柄の買いは続くでしょう。

5G注目銘柄

  • 6754アンリツ

5 Gのシンボル的な銘柄は、通信計測機器大手のアンリツです。同社は2016年にアメリカのアジマスシステムを 子会社し、電波の受信レベルの変動に関するソリューションを強化。早くから5Gへの対応を進めています。

  • 6778 アルチザネットワークス

アンリツ同様に通信計測機器を手掛けるアルチザネットワークスにも注目が集まっています。基地局向けに負荷試験装置で高いシェアを持っており、市場がニッチであることから、5G関連需要の囲い込みが期待されています。

5Gの詳細は、以下の記事をご覧ください。

次世代移動通信5Gとは?~衝撃の市場規模と関連銘柄

サイバーセキュリティ関連銘柄

世界的にサイバー攻撃に対する警戒が高まっていて、日本でもサイバーセキュリティ分野に注力する動きが高まっています。サイバーセキュリティに関する予算は、2019年度に8,502億円が概算要求として計上されており、2018年予算に比べて約236億円増えています。

今後の対策としては、中小企業の対策強化に向け、損保会社やIT企業と連携した支援体制構築の方策も検討される見通しです。公的機関の個人情報大量流出などの問題もあり、サイバー犯罪に対する懸念が改めて高まってきています。サイバーセキュリティの重要性というのは一般国民レベルにも広く広がっており、政府民間を問わず国を挙げて対策に本腰を入れることが緊急の課題となっています。

注目銘柄

  • 3692 FFRI

あらゆるものがインターネットとつながる IoT 時代が到来する中で、年々注目が高まっているのがサイバー攻撃に対する防御策です。近年の ICT (情報通信技術)を利用したマルウェア(標的型攻撃)をはじめとしたサイバー攻撃は年々高度化しており、世界中で被害が拡大しています。

今後、サイバーセキュリティ分野で重要となるのはセキュリティリスクへの対策を実施できる企業です。FFRIは NTT コミュニケーションズと新会社を共同で設立ことを発表しています 。NTT コミュニケーションが持つセキュリティオペレーションセンターの運用監視のノウハウと、 FFRI が持つサイバーセキュリティ研究開発分野を加えることで今後の事業拡大に期待が持たれています。

  • 3356テリロジー

テリロジーは情報セキュリティ・ IP サーバーなど、ネット製品輸入販売、企業内システム構築・保守が主力の企業です。 情報セキュリティ製品は活況となっており、2020年3月期もセキュリティ製品が業績を牽引すると見られています。

まとめ

今回は2018年の投資信託の動向を振り返り、今後の展望を予想しました。昨年は日米ともに市場が軟調な展開だったため、テーマ型ファンドのパフォーマンスも悪く、人気が落ちた銘柄も多くありました。

現在も米中貿易摩擦を中心に世界経済が落ち着きを取り戻してないので、まだ予断を許さない状況ですが、テーマ型ファンド の人気はまだまだ続くでしょう。短期ではなく長期的な視線でどのテーマが盛り上がっていくかを把握するようにしましょう。ただ、一つのテーマに絞ってしまうとリスクが高いので、最低でも三つ程度のテーマに分散投資をしてリスクを軽減させると安心です。

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一橋大学経済学部卒業。証券会社でマーケットアナリスト、デリバティブディーラーを経て、個人投資家に転身。投資歴は20年以上。現在は、日経225先物を中心に現物株・FX・CFDなど幅広い商品に投資しています。保有資格:証券外務員1種

ブログ:先物オプション奮闘日誌 http://yanta.cocolog-nifty.com/

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