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車を持っている方の必須アイテムでもあるETCカードですが、自己破産をした場合は持つことはできないのかと気にする方もいるのではないでしょうか。
ETCカードはクレジットカードの追加カードなため、自己破産後はすれば当然のごとく所持できません。
国土交通省のホームページに、NEXCO東日本をはじめとする6つの高速道路会社のETC利用率が91.7% (平成30年11月現在)とあります。
利用することでETC限定の割引サービスも料金制度も受けられますから、高速道路を利用する機会が多い方であれば、ETCカードを持っていないと不便なだけでなく通行料金の面で損をしてしまうでしょう。
今回は自己破産後にETCカードの取り扱いがどうなるのかの説明をはじめ、自己破産後すぐでもETCカードを持てる方法についてまとめました。
自己破産後にクレジットカードの作成は不可能
自己破産後にクレジットカードを作成するのは本当に不可能なのでしょうか?結論を先に言ってしまえば、作成はできません。
これから詳しく説明しますが、自己破産をした情報は信用情報機関に個人信用情報として登録されます。
情報は共有されるので、自己破産の債権者となったカード会社以外でクレジットカードを発行しようとしても、当然ながら審査には通過する可能性はゼロです。
自己破産前に持っていたETCカードは使える?
自己破産前に持っていたETCカードはすべて使えなくなると思っていてください。
それでは、債権者となったカード会社以外であれば、そのまま使えるのか?と思うかもしれませんが、こちらも同様に使えなくなります。
なぜなら、カード会社はCICやJICCなどの信用情報機関に加盟しているからです。他のカード会社を利用しなければ自己破産の情報はバレないというのは間違いで、自己破産をした情報は共有されています。
そのため、ETCカードが追加されたクレジットカードは、自己破産後は早いタイミングで利用できなくなるでしょう。
この日からクレジットカードとETCカードが使えなくなりますなどの案内は一切きません。いきなりETCカードが使えなくなっていて、ETC専用ゲートを通過できないことになったら渋滞や事故をまねくことになります。
それらのことを避けるために、自己破産後は速やかにETCカードを破棄するなどの方法をとってください。
途上与信
個人信用情報が共有されているのはわかったけれど、自己破産後すぐの早いタイミングでETCカードが使えなくなる理由も気になるところではないでしょうか。
実はクレジットカード会社、消費者金融機関がすでに契約する債務者の返済能力を調査する目的で、定期的に契約者の個人情報を審査しているからです。
これを途上与信と呼び、「クレジットカード会社は利用期限の更新のタイミング」「3ヶ月に一度などの定期的なタイミング」において、個人信用情報のチェックが行われています。
また、借入残額が10万円以上の債務者について、3ヶ月に1回で個人信用情報の調査が貸金業法で義務づけられています。
信用情報機関と個人信用情報の保有期間
個人信用情報の登録される、信用情報機関は3機関あります。
・株式会社日本信用情報機構(JICC)
・全国銀行個人信用情報センター(KSC)
そして、情報が登録されている間は新規にクレジットカードの発行やローンの借入れなどができなくなります。
信用情報機関によって情報を保有する期間が決まっていて、JICCとCICで5年、KSCで10年間です。
個人信用情報の開示請求の方法
個人信用情報の保有期間が過ぎて登録情報が消えたとしても、もちろん「登録が削除になりました」などの連絡はありません。
自分自身で期間を把握するしかないのですが、個人信用情報は開示請求をすることで確認ができます。
自分の個人信用情報がどうなっているのか確認したい場合は。各信用情報機関から取り寄せてください。申し込み先は次のようになっています。
・JICC 株式会社日本信用情報機構:https://www.jicc.co.jp/kaiji/procedure/index.html
・KSC 全国銀行個人信用情報センター:https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/open/index.html#contents1
インターネット開示・郵送開示・窓口開示があり、開示請求の方法によって異なりますが、500~1,000円の費用が発生します。
請求する際は必ず3機関から自分の個人信用情報を取り寄せて、情報が残っているのかを確認しましょう。
事実と異なった場合は調査依頼と訂正が可能
情報開示をした結果、個人信用情報の内容が事実と異なっていた場合は信用情報機関を通して調査依頼できます。
個人信用情報の訂正や削除は、登録元の会社しかできません。そして、調査の結果、登録内容が事実と異なっていた場合は訂正がされます。
また、個人信用情報関連の詐欺もあるので引っかからないように注意してください。
「信用情報機関と提携しているから、手数料を支払ってくれれば事故情報は削除する」などのものがあります。まず、信用情報機関が金銭を受け取ることで事故情報を削除することはしません。
どうしてもクレジットカードを作成したかったり、ローンを組みたかったりする場合に心が動きそうになることもあるでしょう。
しかし、事故情報の削除については保有期間が過ぎるのを待つしか方法はないのです。
高速道路を利用する方にETCカードは必要不可欠
前の項目でETC利用率について説明したように、現在は車を持っていればETCカードも持っているのがほぼ当たり前です。
これだけETCが普及している中でETCカードを利用できないのは不便ですし、料金所でETCゲートをノンストップで通りすぎる車を見送るのも心中複雑ですよね。
また、ETCカードを利用することで、現金払いとは異なる優遇措置を受けられます。
たとえば、首都高速道路はETCカード搭載車向けに距離別料金制度を導入。短い区間のみの利用で最低300円~の通行料金にて首都高速道路を走行ができます。これに対して現金払いの場合、移動距離は関係なく一律1,300円の通行料金を支払わなければなりません。
要するに、ETCカードがあることで高速道路の通行料金をおさえられることが理由で、必要不可欠になるわけですね。
ETC限定の割引サービスを受けられなくなる
その他にも、ETCの利用と現金払いとでは大きな違いとなるポイントがあり、割引サービスを一切受けられない点です。
NEXCOの高速道路では下記のETC限定の割引サービスがあります。
・深夜割引
・休日割引
・ETCマイレージサービス
現金払いの場合、これらのサービスを何も利用できません。そのため、ETCカードを利用するよりも、通行料金の出費が多くなります。
高速道路を多く利用する方であれば、1ヶ月あたりの通行料金で数万円、年間単位で数十万円の違いが出ることもあるでしょう。
デビットカードやプリペイドカードは利用不可
ゲートのスムーズな通過に通行料金の割引サービスを受けられることで、ETCカードは必要不可欠なことがわかりました。
最近、クレジットカードとほぼ同じ使い方ができるデビットカードやプリペイドカードが注目されていますが、これらにETCカードは付帯されないのか?という疑問を持つ方もいることでしょう。
審査不要のデビットカードやプリペイドカードは自己破産者でもクレジットカードの代わりに持てますが、これらはあくまでも現金の延長線上にあるものなのでETCカードの付帯はありません。
そもそもデビットカードもプリペイドカードも、「決済と同時に利用金額が預金口座、チャージ金額から引き落とされる仕組みのカード」です。クレジット機能がないカードのため、立替払いはできません。
自己破産後すぐにETCカードを使いたい場合
自己破産後すぐに本人名義のクレジットカードは持てないので、別の方法でETCを持つしかありません。
・ETCパーソナルカードに申し込む
主にこの2つの方法があります。
具体的な詳細と、家族カードを利用してETCカードを持つことのメリットを説明していきましょう。
家族カードを利用してETCカードを持つ
家族の中でクレジットカードを持っている方がいれば、家族カードを利用してETCカードを作れます。家族カードは本会員と同様にサービスが受けられるため、ETCカードも家族カードとして発行できるのです。
家族でETCカードを持っている方がいれば、その都度借りれば良いのでは?と思うかもしれませんが、家族間でも基本的に貸し借りは禁止です。そのため、家族カードを作ることが正しい手順になります。
また、クレジットカードの審査は本会員に対して行われていますので、家族カードを持つ方の審査は不要です。
家族カードの発行基準
本会員(最初にクレジットカードを契約した人)の信用に基づいて、配偶者や家族に発行されるカードが家族カードです。
発行基準として以下の条件があります。
・家族カードの所有者が18歳以上(高校生を除く)
また、生計が同じであれば同居しない家族でも家族カードの発行が可能です。
しかし、以下の場合は発行基準を満たしていても家族カードが発行されない場合があります。
・配偶者が夫婦別姓を採用(外国人の夫婦別姓は除く)
この場合、別の方法を選択することを検討してください。
家族カードでETCカードを作るメリット4点
家族カードでETCカードを作るメリットは4点あります。
家族カードは審査に通りやすい
家族カードであれば、過去の自己破産なども関係なく入手可能です。
クレジットカードは申込者の個人信用情報を参考にして審査が行われますが、家族カードでは本会員の信用情報を参考にします。
本会員に延滞や滞納などの情報登録がなければ、家族カードの審査は通過すると思っていて良いでしょう。
家族カードもETC利用によるポイントを付与
家族カードでETCの利用をした場合、クレジットカードにポイントが付与されることもメリットでしょう。なぜなら、家族カードでETCを利用した際のポイントは、本会員のポイントと合算して本会員に付与されるからです。
もしも夫婦で発行元が異なるクレジットカードを持っていた場合、ポイントはそれぞれのカードで貯めることになります。そこで、家族カードはポイント全てが本会員に付与されるため、夫婦で異なるクレジットカードでポイントを貯めるよりもより効率的にポイントが貯まるのです。
なお、クレジットカードのポイントとは別に、ETCカードには「ETCマイレージサービス」というサービスがあります。通行料金に応じたマイレージポイントが付与されますが、こちらについては合算ができません。
親や配偶者の口座から引き落とし可能
自分専用のETCカードを持ちたいけれど、利用代金は親や配偶者の口座から支払いたいという場合、家族カードのETCカードは親や配偶者の口座から引き落としが可能です。
クレジットカードの多くは、カード利用者と口座名義が異なった場合は引き落とし先の指定ができません。しかし、家族カードの利用分は本カードと合算して請求となりますから、ETC利用の引き落とし先に親や配偶者の口座に指定が可能となるのです。
クレジットカードの利用限度額をオーバーしても利用可能
家族カードの利用限度額は本会員のショッピング枠と共有となります。
本会員やその他の家族が利用限度額いっぱいまでクレジットカードを利用してしまったら「ETCのバーが開かないのでは?」と気になるのではないでしょうか。
こちらについては、クレジットカードの限度額をオーバーしても利用できます。ETCカードにはクレジットカードの利用状況が反映されないことが理由です。
あくまでもETCカードが有効期限内であれば利用できますので、利用限度額を気にせずにいられますよ。
ETCパーソナルカードに申し込む
家族カードを利用してETCカードを持つのが困難な場合、ETCパーソナルカードに申し込むしかありません。
ETCパーソナルカードは、NEXCO東日本をはじめとする高速道路会社にて発行するETCカードです。通常のETCカードと同様に利用できますし、ETCの割引サービスも受けられます。
やや不便な点もあるものの、自己破産後すぐにでも利用できる唯一のETCカードです。
通常のクレジットカードと同じように通行料金は口座引落しという後払い式になり、その代わりに最初に保証金(デポジット)を預ける必要があります。
また、チャージ式のプリペイドカードとは異なるカードなので注意しましょう。
年会費と保証金(デポジット)の支払いが必要
毎年1,234円の年会費が発生し、発行時の1回のみ保証金(デポジット)を支払うことになります。
保証金は高速道路の平均利用月額の4倍の金額で最低2万円からです。平均利用額は5,000円単位となり、保証金は2万円単位で計算されます。
・平均利用月額1万円の場合:4万円
・平均利用月額2万円の場合:8万円
平均利用月額は自己申告になりますが、1ヶ月の利用金額が保証金の80%をオーバーすると利用停止です。その他にも70%をオーバーした時点で保証金の増額を求められます。その際に応じなければ強制退会になる場合もあるので必ず対応してください。
保証金はETCパーソナルカードを解約した際に返金されますが、それ以外の場合はいかなる理由があっても返金はされません。また、保証金が通行料金に充当されることもありません。
年齢や収入、個人信用情報の登録内容に関係なく審査不要で持てますが、年会費やデポジットの部分を考えると使いにくいカードと言えるでしょう。
申込みは郵送のみで、発行までに2週間以上の時間がかかります。
クレジットカードを作れる時間を待つのも方法
クレジットカード付帯のETCカードは、一度自己破産をしたら永久的に作れないわけではありません。
個人信用情報に登録された自己破産の情報が削除されれば、また新たにクレジットカードを持てる可能性はあります。
個人信用情報の保有期間内は家族カードでETCカードを作るか、ETCパーソナルカードを利用するなどして、時期がきたらクレジットカードに申し込んでみるのが理想的な方法と言えるでしょう。
しかし、時間が過ぎるのを待ったとしてもクレジットカードが作れないケースもあるので、その点をチェックしておきましょう。
自己破産後にクレジットカードを作る際の注意点
ただ時間が過ぎるのを待つだけで解決にはなりません。
自己破産後にクレジットカードを作る際には注意点があります。審査落ちしないためにも、覚えておくと良いです。
社内ブラックのクレジットカードは永久的に不可能
自己破産時に債権者となったカード会社のクレジットカードは、これから発行できることはありません。個人信用情報から自己破産の情報が削除されたとしても、自社で「社内ブラック」として管理していることが理由です。
貸したお金を返してもらえなかったわけですから、カード会社の措置としては当然のことになるでしょう。
スーパーホワイト=自己破産経験者と見られる場合がある
個人信用情報の保有期間が過ぎると、何も情報が登録されていない状態になります。
この状態はスーパーホワイトと呼ばれ、カード会社の中ではスーパーホワイト=自己破産経験ありとみなされる場合があるのです。そして、審査に通過する可能性も低くなってしまいます。
就職してから日が浅いなどの若年層であれば、これがはじめて手にするクレジットカードなのだと判断してもらえるかもしれません。
しかし、ある程度年齢を重ねているのに、クレジットカードの利用だけじゃなく申し込みの利用履歴が一つもないのは不自然なことになってしまいます。
申し込みブラックにならないように注意
自己破産後の最初となるクレジットカードは慎重に選ぶようにしてください。
申し込みをして問題なく審査に通過すれば良いですが、スーパーホワイトなどを理由に審査落ちした場合はその情報が個人信用情報に登録されます。
申し込みの情報の保有期間は半年間です。審査に落ちたからと言って、次から次へと色々なクレジットカードに申し込むのはNGです。
「申し込みブラック」となり、お金に困っている方(返済能力のない方)と判断されます。
そのために、最初に申し込むクレジットカードは審査難易度が低めとされる1枚を選ぶのが良いでしょう。
おすすめのETCカードはこちら
まとめ
今回は自己破産後にETCカードを持つためにはどんな方法や対策があるのかということで、自己破産後にETCカードの取り扱いがどうなるのかの説明をした後に自己破産後すぐでもETCカードを持てる方法を解説しました。
自己破産をしたら自身の名義によるクレジットカード付帯のETCカードは持てませんが、家族カードを利用する方法があります。また、年会費や保証金は必要になりますが、割引サービスなどを受けられるETCパーソナルカードもあります。
自己破産をしたら永久的にクレジットカードを持てないわけではないので、これらを上手く利用するか個人信用情報の保有期間が過ぎるのを待って新たにクレジットカードの申し込みをするなどしてください。