生前に不動産対策をして、相続税を減少させよう!

3,000万円+600万円×法定相続人の人数を超える相続財産を持っている方の相続人は、現状、相続税を納める必要があります。

相続人は配偶者や子供である方が多いかと思います。

相続にあたって自分の財産を配偶者や子供に引き継ぎ、引き継いだ方の生活が豊かになるのは望ましいですが、国に納める税金はなるべく少なくしたいですよね。

以下では将来相続人が納める相続税を少しでも減らす工夫を記事にしました。

お読み頂けますと幸いです。

現金所有と不動産所有で相続税は変わるか

相続時点での価値が不動産と現金で等しければ相続税は変わりません。

しかし、10年後に死ぬことを想定して、現金(もしくは普通預金)で持ち続けるか、不動産を購入するかどちらかを選べということでしたら、私は不動産を購入する方を選びます。

なぜなら、普通預金の利率は、現在、かつてないほどの低金利となり、増える時代ではなくなったからです。

一方、不動産は人に貸すことにより、賃料を得て、預金を増やすことができるからです。

被相続人が保有している現金及び預金には相続税が課税されます。

そのため、相続税の納税のために現金及び預金が減少してしまいます。

具体例を見てみましょう。

1億円の現金を1人の相続人が相続するときの相続税は1,220万円です。

他に固定資産税の納付費用などがかかりますので、残りは8,500万円程だとすると、被相続人が亡くなってから申告期限の10か月の間に財産の15%が減ってしまうことになります。

現金を不動産に変えた方がいいですよという話をしてきました。

現金のままでも毎年贈与税の非課税枠110万円の範囲内で相続人に贈与して、将来の相続税を減らすという方法もあります。

相続までにたくさん時間が取れそうな場合はこの方法もよいと思います。

ですが、現金の贈与というのは本当に現金を手渡ししてしまうと第三者から見て何の証拠も残らないので、預金口座に振り込みをして跡を残す、贈与契約書を作るなどが必要です。

更地の土地の相続税を減らす

土地の相続税評価額が下がる

路線価は公示価格の80%程度とされています。

相続財産のうちに土地等の占める割合が多い人にとっては、土地等の価額そのものが高額ですので、相続税の負担額が大きくなります。

しかし、土地等はその利用状況により評価減を受けることができます。

評価減を受けることができるということは、相続税の負担額が減るということです。

例えば、所有土地の上にアパートを建築するとします。

そうすると、相続税評価の上で、その敷地の利用区分が更地(自用地)から貸家建付地に変わります。

更地の場合より15%~24%程度相続税評価額の引き下げを図ることができます。

宅地などは更地での評価額そのものが高額です。

そのため、評価減による減額金額が大きく、相続税評価額の引き下げに効果的です。

貸家建付地の算式は以下の通りです。

その宅地の自用地としての価額 -(その宅地の自用地としての価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

建物の評価差額が発生

建物の相続税評価額は固定資産税評価額に相当する金額で評価されます。

また、貸家については借家権(30%)の割合を控除します。

固定資産税評価額は建物の建築価額の5~6割程度が目安となります。

例えば、建築価額1億円の賃貸住宅を新築したとします。

この場合、相続税評価額は借家権割合を控除して約4,000万円程度となります。

つまり、6,000万円程度の評価差額になります。

1億円の現金預金だと1億円の相続税評価額となりますが、上記の賃貸住宅の相続税評価額は4,000万円程度となります。

6,000万円が節税できたことになります。

不動産を親族に贈与する

自宅を配偶者に贈与する

相続になれば、配偶者の権利は保護されており、配偶者には財産の半分をもらう権利があります。

生前にも贈与の特例があります。

婚姻20年以上の妻に居住用の不動産を贈与しても2,000万円までは贈与税がかかりません。

通常の贈与を組み合わせると2,110万円までは贈与税がかからずに財産を受け取ることができます。

相続開始前3年以内に贈与された財産は、みなし相続財産として相続税を課税されます。

しかし、配偶者控除を受けた場合だと、みなし相続財産とはならず、除外されます。

自宅を贈与したとしてもタダではできず、登記費用や取得者に不動産取得税がかかります。

しかし、なんら形は変わらずとも、一番手軽で確実に節税できることがポイントです。

なお、贈与する土地と建物が2,110万円を超える場合は、評価に応じて持分を贈与するようにします。

たとえば5,000万円の自宅であれば5分の2を妻、5分の3を夫にします。

そのようにして夫と妻の共有の自宅を売却する場合、所得税の計算上、各人に3,000万円の特別控除が受けられます。

すなわち、2人分合わせて6,000万円の特別控除が認められることになります。

不動産を贈与する

不動産は時価よりも低い路線価や固定資産税評価で評価されます。

つまり、実際の価値より多くの価値分を贈与できるということです。

また現在地価は上昇しきったような感じがあり、東京オリンピック後には下落していくという予想もされていますが、需要のある都市部はまだまだ上がっていくのではと個人的には思います。

そのような都市部に土地をお持ちの方は今贈与する方が、将来贈与する、将来相続してもらうよりも税金は有利ということになります。

次に住宅資金の贈与と住宅そのものを贈与してもらうのとどちらが有利かを考えてみます。

相続税法上の建物の時価は固定資産税評価額で決まります。

また土地は路線価で決まります。

そのため、例えば、市場での時価が1億円の都心の土地と建物が、相続税評価額は5,000万円以下ということが普通にあります。

そのため、住宅購入資金として現金を生前贈与してもらうより、親が住宅を購入し、それを贈与してもらったほうが節税になります。

賃貸住宅を建てて賃貸事業をする

所有する土地にアパートやマンションを建築することで相続税は確実に大きく節税できます。

当然やみくもに建てるのではなく、賃貸事業の収支計画が成り立つことを確認する必要があります。

節税を構成する要素は以下の通りです。

  1. 土地が「貸家建付地」評価となる
  2. 建築費の借入を引くことができる
  3. 建物が「貸家評価」になる

の3つの要素から評価減となります。

借地権70%の場合、借家権30%を掛け合わせた21%を賃貸のリスクとして引きます。

そして、「貸家建付地」の評価は79%の評価として計算します。

建物は固定資産税の評価額で計算し、建築費の時価の40%程度の評価となります。

そして、賃貸物件の場合は借家権の30%を引いた70%評価となります。

つまり賃貸物件の場合は、建築費の時価の28%程度の評価となります。

小規模事業用宅地等評価減の特例も

賃貸事業用地は、「小規模宅地等」の特例があり200m^2までは50%評価することができます。

居住用の特例が使えない場合は、賃貸事業を始めること自体が節税になります。

賃貸事業は収入面でもプラス

相続税の節税対策が主目的だとしても、適正な収益が上がる事業としてスタートすることが大切です。

そうした見極めの上で賃貸事業に取り組むことできれば所有地から適正な収益が上げられ、しかも節税対策にもなります。

不動産管理会社を設立する

賃貸事業を始めるという話を進めてきました。

賃貸事業を始めると、毎年収入があがってくるとともに、その収入が現金預金として溜まってきます。

そこで毎年の所得税対策と相続税対策として不動産管理会社を設立することが考えられます。

所得税の節税は以下のように行います。

賃貸不動産の所有者(以下「オーナー」といいます。)から不動産の管理会社に管理料を支払うことにより、オーナーの所得を抑えます。

そして、管理会社の役員をオーナーの家族にし、その役員に給与を支払います。

不動産管理会社を通じて、オーナーの不動産収入をオーナーの家族に合法的に分散することになります。

日本の所得税は所得の高い人ほど税率が高くなる超過累進税率が適用されています。

収入分散により、オーナー家族全体での所得税を下げることができます。

相続対策は以下のように行います。

不動産管理会社の出資は、オーナーやその配偶者が出資することを避け、子等による株主構成とします。

そして、不動産管理会社にオーナーの所有する高収益な不動産を売買などの方法により移転します。

そうすると、不動産会社により多くの収入が移転することになります。

その結果、家族役員などへ給与の支払を通じて、相続人への金融資産の移転が実現することになります。

そうなると、相続人は将来支払うことになる相続税の納税資金の準備に役立てることができます。

いいことばかりを書いてきましたが、以下のようなデメリットもありますので、注意しましょう。

  • 会社設立費用がかかる
  • 個人所得と法人所得とに区分して計算する必要があり所得計算が面倒
  • 法人の場合には赤字であっても最低限の税負担(地方税の均等割)が生じる
  • 法人税の申告等に係る税理士等への費用が必要となる
  • 社会保険への強制加入が必要となる

したがって、不動産管理会社に移転できる所得が少額な場合には、コストが節税メリットを上回り、節税スキームが十分に機能しないことがあります。

不動産管理会社を設立するためには、ある程度の規模が必要です。

空き家は処分する

被相続人である父や母から相続した自宅があるとしましょう。

築年数が古いことが想定されます。

その場合に自分はおろか、自分の子供も住む確率は低いものと思われます。

空き家にするのはもったいないということでは賃貸するとしてもリフォーム代がかかります。

賃貸しないとしてもずっと修繕しないというわけにはいかないので、いずれは修繕費がかかります。

ということで、売却することが望ましいと考えられます。

空き家の売却には所得税控除の特例が使用できるかも?

相続の開始の直前において、被相続人の居住の用に供されていた家具及びその敷地の用に供されていた土地等を、相続により取得をした個人が譲渡をした場合には、その譲渡に係る譲渡所得の金額について居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除を適用することができます。

この特例は平成31年12月31日までの間の譲渡について適用されます。

この特例を使うためには次の要件を満たすことが必要です。

  1. 昭和56年5月31日以前に建築された家屋で、相続の開始直前において被相続人以外に居住をしていた者がいなかったこと
  2. 相続の時から譲渡の時まで、事業の用、貸付の用又は居住の用に供されていたことがないこと
  3. 譲渡の時において地震に対する安全性に係る規定又はこれに準ずる基準に適合するものであること
  4. 家屋又は土地等の譲渡の対価の額との合計額が1億円を超えないこと
  5. 当該譲渡が、その相続の開始があった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間にしたものであること

生命保険を活用して相続税対策

不動産対策という観点からはずれますが、相続税対策上、生命保険は重要ですので、こちらで触れさせていただきます。

相続税の納税資金原資としての生命保険

相続が発生した場合、被相続人の財産状況によっては、残された相続人が多額の相続税を負担することになります。

相続人全員が相続税を無理なく納めることができるようであれば問題ありません。

しかし、相続人の中には相続税を負担する財力がない方もいらっしゃいます。

そのようなことが想定される場合、被相続人が生前に生命保険に入って、その生命保険の受取人を財力が乏しい相続人として、補うことが想定されます。

どのような生命保険に入るのがいいでしょうか?

長生きをしても一生涯保障の続く終身保険をベースにして加入することが基本になります。

この場合、定期付終身保険のように、若いときには大きな保障で高齢になると保障額が小さくなるような終身保険は適しません。

相続税負担は重くなる前提で対策を講じておくことが安全だからです。

また、保険料の支払方法の選択においても注意が必要です。

終身保険の保険料は、加入年齢によって制限を受ける場合もありますが、一般的に一時払い、有期払込み、終身払込みのいずれかを選択することができます。

なお、終身払込みにすると、1回あたりの保険料は安くなります。

したがって、契約後比較的早く相続が発生した場合には、終身払込みの方が払込保険料の累計額は少なくてすみます。

しかし、いつ相続が発生するかは誰にも分りません。

終身払込みの保険料は、一定年齢を超えると一時払いや有期払込みの場合に比べ多くの保険料を支払っていることになります。

受け取る保険料は変わらないにもかかわらず、終身払込みでは長生きすれば長生きするほど、保険料の負担は年々増すばかりです。

だからといって、相続税対策で加入する生命保険は、相続税の納税資金の確保を目的として加入するものですので、中途解約してしまっては、何の効果もありません。

したがって、相続税対策で加入する保険は、終身払込みを避け、期間を定めて保険料を支払うようにしておきます。

そうすれば、あとは安心して長生きできます。

贈与により節税と納税資金を確保

生命保険金で相続税の納税資金を準備する場合に、親が保険料相当額の現金の贈与を子に行い、子がその現金で親を被保険者とする生命保険契約を締結します。

そうすると、保険料支払能力等のない子でも生命保険料の負担が可能となります。

この場合、親から保険料相当額の現金の贈与を受けた子が直ちに保険会社に保険料を支払うようにしておけば、子の手元に贈与資金が溜まることはありません。

なお、親の死亡保険金は子の一時所得として課税され、相続税は課税されません。

贈与する金額は、贈与税の非課税金額の範囲内である110万円以下で行うのも一方法です。

しかし、確保できる保険金額の目安は110万円の年払保険料で変額終身保険の終身払の場合、70歳男性で1,600万円、女性で2,100万円程度の保険金に過ぎません。

そこで、相続税の最低税率が10%であることから、より大きな保険金額を確保するために、贈与税の最低税率10%以下の範囲である310万円を贈与することで、その効果をより高めることができます。

この場合の贈与税は以下のとおりとなります。

(310万円ー110万円)×10% = 20万円

310万円の贈与金額から贈与税を控除した残額290万円で年払変額終身保険の終身払いであれば、70歳男性で4,400万円程度、女性で5,770万円程度を確保できます。

相続税の非課税規定について

被相続人の死亡により各相続人が取得した生命保険契約の保険金等については、各相続人の取得した保険金の合計額が500万円に法定相続人の数を乗じて算出した金額以下の部分は非課税になります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

現金をそのまま持っているよりも不動産を購入した方が相続税法上は有利という話から始めさせていただき、不動産の贈与、売却、不動産管理会社の設立といった、不動産に絡んだ相続税の節税について解説させて頂きました。

何か皆さんの参考になれば幸いです。

なしお
なしお
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公認会計士・税理士として、会計事務所で10年間働いています。専門家として税金の仕組みをわかりやすく解説します。

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