国内では約500万人以上に渡って過払い金が発生していると言われています。金額に換算すると約10兆円に等しい過払い金が存在しているとのことです。
最近、テレビやラジオなどで週払い金について見聞きする機会も多くなってきましたが、実際には過払い金請求を行う人は少ないのが現状です。請求した人の中には、多い人で100万円以上になることもある過払い金請求とはそもそも何なのでしょうか。
今回は、過払い金請求とは何なのか、またテレビやラジオCMではわからないメリット・デメリットを解説していきます。
過払い金とは
過払い金とは、その文字通りに消費者金融やカード会社に払い過ぎたお金のことをいいます。
何に対して払い過ぎているのかというと・・・
それは、利息です。
利息制限法とは?
利息制限法とは、消費者が高い金利によって借金地獄に陥ることから守るために定められているものです。20、30年以上昔にさかのぼると、ヤミの消費者金融などの高金利による被害が頻繁にみられた時期があったのです。
そこで、徐々に2000年以降は金融機関が消費者に金銭の貸借をする際の規制が厳しく定められるようになりました。このように利息制限法は消費者を保護するために定められた法律の1つです。
つまり、利息には上限が定められているのです。
- 借入額10万円未満→年率20%まで
- 借入額100万円未満→年率18%まで
- 借入額100万円以上→年率18%まで
上記のように、原則として借入金額が高くなるほどに、利率の制限も厳しくなっていきます。これは、仮に名目が手数料や調査料となっている場合でも実質の借入金額以外は例外を除いて、利息として計上することができるのです。
さらに、この利息制限法は返済が遅れた場合の延滞損害金にも適用されています。
延滞損害金とは
延滞損害金とは、返済が遅れた際に貸主が請求することができる利息です。この延滞損害金として付けられる利息制限は、以下のようになります。
- 借入金額10万円未満→年率29.2%まで
- 借入金額100万円未満→年率26.28%まで
- 借入金額100万円以上→年21.9%まで
というようにお金を借りる消費者が、雪だるま式に借金が膨れ上がってしまうのを避けるための措置が図られているのです。
利息制限法違反
この利息制限法の制限利率を超過した場合は違反行為として、その超過分は確実に無効とすることが法律で守られています。つまり、何かの形で制限利率を超える利息を支払う約束をしたとしても、その超過分の利息は支払う義務はないのです。
ただ、長い年月をかけて借入を続け、返済している間には、貸金業法などの改正が行われたりで制限超過分の利息を知らずに払い過ぎてしまう可能性も出てしまうわけです。年数が古い借金ほどこの過払い金の可能性も高くなるということです。
この利息制限法に沿って、正しい利息を見直して超過分の利息を請求すること、
これが過金払い請求になります。
過払い金請求ができる条件は
このように過払い金請求とは、法律的に認められている、消費者としての当然の権利なのです。状況は異なりますが、確定申告(還付申告)をすることで、払い過ぎた税金が戻ってくるのと同じ様な事です。
ただし、誰でも過払い金請求ができるわけではなく、可能性がないと判断される人もたくさんいます。
借入した時期
過払いの可能性において振り返って考えたいのが、借入した時期です。先述のように貸金業法は2000年以降は度々改正されてきています。現時点で最終的に利息制限法の改正が行われたのが2010年です。
ということは、2010年以前に借入歴がある人は過払い請求ができる確率がかなり高くなります。なぜならそれ以降に金利制限があり金利が下がっているケースが多いからです。
それ以前に借入した人で、完済のは数年後となれば、そこで、実際の利息の支払い額を計算してみると超過している場合が考えられます。
- 2010年以前に借入した
- 10年以上返済を継続した(5,6年以上の返済でも過払いが発生する可能性があります)
以上の2つが過払い請求が発生する条件になります。
完済から10年未満
また、完済済みの借入も対象となりますが、請求できる期限があります。
完済してから10年未満に過払い請求をしなければなりません。10年以上経ってしまうと、請求権が無効となってしまいます。そうなると、どんなに高額な過払い金が発生していたとしても取り戻すことはできません。
過払い金請求の代行会社では、無料診断を受け付けているところもあります。該当するかもと思われる方は早めに、相談してみるといいでしょう。
もうすぐ期限切れです!今のところ、新しい改正がされない限りはそろそろ2009年辺りに完済した人でぎりぎり間に合うといったところです。完済時が2008年の方は、もう間に合いません。
誰に相談すればいい?
いざ、心当たりがあるなと思われる方でも、どこに?誰に?相談すればいいのか戸惑ってしまうものです。
いくらテレビやCMなどで宣伝されているといっても、お金に関すること、とくに借入に関することには用心深くなってしまいます。また、実際に怪しい会社があるのも事実です。
誰に相談すべきでしょうか?
過払い金請求を代行で行うのは弁護士です。法律的な手続きとなりますので、弁護士に相談して最良の方法にて請求を行っていく必要があります。
どうやって探すのか
では、どうやって弁護士を探せばいいのでしょうか。
- 法律事務所(弁護士)
- 司法書士事務所(司法書士)
- 法テラス(弁護士・司法書士)
- 自治体の法律相談
オンライン、電話帳、法律関係の情報誌、金融関連の情報誌、役所の窓口、などで専門の弁護士を探すことができます。
どのような弁護士がいいのか?
過払い金請求の調査、相談、請求までのすべての流れを無制限で担当できるのが弁護士です。司法書士でも担当できますが、取り扱える内容に制限があります。その過払い金請求の内容によっては担当できない場合もあります。
また、それぞれの弁護士によって専門分野(得意分野)が異なります。刑事事件の経験豊富な弁護士に相談しても、できないわけではありませんが、やはり対策や戦法に差が出てしまいます。
金融関連、過払い金請求の経験が豊富な弁護士に相談するといいでしょう。
認定を受けているか確認
インターネットなどでは特に国の認定を受けていない自称弁護士もたくさんいます。まずは、その法律事務所や弁護士が認定を受けている正規の弁護士であるかを確認することが大切です。軽はずみに個人情報を教えてしまわないように注意して下さい。
相談センター、〇〇法人、などと称して違法で過払い金請求を行う団体もあり、無料で相談できると言われても決して関わってはいけません。
確認方法
その弁護士が本当に弁護士なのかどうかを確認する方法は、「日本弁護士連合会」にて確認できます。
「日本弁護士連合会」とは「日弁会」とも呼ばれているもので、認定を受けた正規の弁護士は必ずこの連合会に登録しなければなりません。これは弁護士法で定められているのです。
ということは、国内の弁護士は全員「日本弁護士連合会」に名前が載っていることになります。
日本弁護士連合会に確認する
では、日本弁護士連合会に弁護士の名前が載っているかどうか確認する方法をご紹介しておきましょう。
- 日本弁護士連合会の公式サイトに行く 参考リンク
- 右側の蘭にある「弁護士を探す」をクリックする
- 弁護士検索の空欄に弁護士名を入力する
- 弁護士名や事務所名が出てくる
ここで、もし何も情報が記載されてない場合は、その弁護士は偽弁護士ということになります。
日本弁護士連合会
過払い金請求のメリット
借金が少なくなった!
例えば、現在も借入したお金を返済中だとします。(あるいはクレジットカードの返済中など)
過払い金請求を行うことで、払いすぎた利息が戻ってきます。予定外の現金が入ってくることで、それを返済に充てることができます。そうすることで、結局、現在の借金の金額は少なくなるのです。
結果として借金の総額が少なくなれば、完済期間も短縮できることになります。
※注意!返済中の方は→この過払い金請求は、債務整理として行われます。
予定外の収入になる!
すでに、完済している人の場合は過払い請求で得た現金は、すべて予定外の収入となります。
そのまま貯金に回したり、投資資金として使うことができます。あるいは、買い物やその他必要経費の一部として使うことができるのです。
もともと、なかったはずの予定外の収入ですから、生活にも余裕が出てきます。
借入せずに済んだ!
近々、借入する予定だった人でも、戻ってくる過払い金の金額によっては新たに借入する必要がなくなるかもしれません。
新たに借入すれば、もちろん返済期間には利息も支払っていかねばなりません。返済期間に応じて、最終的な返済金額は大きくなりそれは日常生活において負担となってしまいます。
しかし、過払い金請求で借入せずに済むのであれば非常に助かります。
というように過払い金請求とは、経済的な効果だけでなく精神的な効果も期待して頂けるのです。
多くの人にとって、「お金」の存在は毎日の生活、本人の精神状態に深く関わっています。借金の金額が減るだけでも、ましてや、余分な収入として現金が入手できるのであれば、心も明るく、前向きな気持ちになってくるものです。
過払い金のデメリット
ブラックリストに載る可能性
過払い金請求で最大のデメリットとなり要素は、返済中の人が行う過払い金請求は債務整理扱いとなるため、ブラックリストに名前が載る確率が高くなることです。
返済中の借入金であっても、もし、過払い金請求によって借入金の完済が可能となる場合は、一般の過払い金請求として取り扱ってもらうことが可能です。この場合には、一旦名前が載ったとしてもブラックリストから削除してもらえます。
完済している人の場合は、ブラックリストの心配はありません。
同じ業者から借り入れはできない
もう1つの過払い金請求のデメリットとは、過払い金請求を行う金融機関から新たな借入はできなくなることです。
完済した借入に対して過払い金請求を行った場合は、ブラックリストに名前が載ることはありませんが、その社内情報にて事故案件として記録されてしまう可能性が高くなります。
過払い金請求は決して悪いことではありませんが、わざわざ業者の方から利息の払い過ぎがありますよ、と知らせる類のものでもありません。経営者としての立場になれば、できれば払わずに済ませておきたい超過金でもあるのです。
新たな借入が必要な場合には、他社をあたった方が無難でしょう。
自分で手続きするのが難しい
過払い金請求はやろうと思えば自分でできないことではありません。しかし、やはり素人では難しい手続きが多々あるため、どうしても経験豊富なプロに任せることが必要になってきます。
素人がこれらの手続きを行うと、相手の都合のいいように言いくるめられてしまう可能性が高くなります。
確実に超過して払ったお金を、できるだけ多い金額で受け取るためにもプロに依頼する事が欠かせません。従って、弁護士への依頼料がかかってしまいます。
請求期限がある
そして、さらにデメリットとして注意しておくことは、先述したように、過払い金の請求期限は10年だということです。10年過ぎてしまったものに関しては、どんな条件であろうと請求することはできません。
過払い金請求の金額は、人によってはかなり多額になるケースもあります。請求できる可能性が少しでもあると思われる方は、時間に余裕を持って早めに動いていくことが大切です。
というように、過払い金請求はメリットがあるだけでなく、請求する人の状況によってはかなり大きなデメリットとなる可能性もあるのです。
デメリットも含めた上で、請求するに値する金額が回収可能かどうかが決め手となるでしょう。
過払い金請求の大まかな流れ
それでは最後に過払い金請求の大まかな流れをご紹介しておきます。
- 過払い金請求ができる条件に該当するかどうか
- 期限は過ぎていないか確認する(完済してから10年)
- 相談する弁護士を探す
- 何人かの弁護士の意見・見積りを比較(無料の範囲で)
- 依頼する弁護士を決める
過払い金請求の費用の内訳
依頼費用としてだいたいの目安は、以下のようになります。(1社に対しての金額)
依頼料・着手料→業者によって1万~3万円くらい。課金しない事務所・弁護士もあります。
成功報酬→業者によって過払い報酬と一緒の場合もありますが、概ね2万円前後。
過払い報酬→返還された金額の20%前後、訴訟になった場合は25%前後。
その他、別途に事務手数料などかかる費用がないかどうかを確認するようにしましょう。最終的に支払う金額はいくらくらいなのか目安をつけることが大切です。
また、この機会に債務整理について調べたい方は以下の記事をご覧下さい。
※債務整理の弁護士の選び方
※債務整理を弁護士に任せるメリット・デメリット、費用の相場
まとめ
過払い金請求において、弁護士にかかる費用のことを考えれば、過払い金が具体的にいくらくら見込めるのか目安をつけておくことがポイントになります。
過払い金がいくらくらいになるのかを自分で確認しておきたい場合は、オンラインで公開されている計算ソフトを利用することができます。インターネットで「過払い金計算ソフト」と検索すると無料でダウンロードできるのものが数種でてきます。
ただ、それぞれの事情によっては単純に計算することが不可能な場合もあるでしょう。そんな時は、弁護士にすべて任せて最良の方法を考えていくことができます。
電話やメールで問い合わせた段階で、どれだけ親身に無料の範囲で相談できるかも、弁護士を選ぶポイントとなると思います。
今回ご説明したように、過払い金請求は、
- 法律に従った合法的な請求方法である
- 請求するには条件がある
- 多額の現金が戻ってくる可能性がある
- 大きなメリットがあるがデメリットが大きくなる場合もある
- 弁護士費用がかかる
といったような内容でした。
過払い金請求を宣伝するものの中には、無条件で誰でも払ったお金が戻ってくるような印象を与えるものもあります。そんな都合のいい言葉を見聞きして、疑いつつもそうなのかなと悪質な業者に騙されてしまう人も中にはいます。
表面的な宣伝文句に惑わされないように、過払い金のメリット・デメリットを比べながら自分にとってどうなのかをこの機会に検討してみて下さいね。