【株式入門】株のディフェンシブ銘柄とシクリカル銘柄の違いとは?

今回は株の「ディフェンシブ銘柄銘柄」と「シクリカル銘柄」の違いと、それぞれの特徴を書いていきます。大幅な利益が望めるシクリカル銘柄に対して、配当利回りなど安定的な収益を望めるのがディフェンシブ銘柄です。それぞれ景気の局面によって注目を浴びる銘柄が異なるので、どのような時に注目銘柄が変わるのかということを意識するようにしましょう。それでは、ディフェンシブ銘柄について詳しく解説していきます。

ディフェンシブ銘柄とは

ディフェンシブ銘柄は「ディフェンシブストック」とも呼ばれ、景気変動による影響が少ない銘柄のことです。景気後退期でも業績が安定していて、「守りに強い」という意味が名前の由来になっています。ディフェンシブ銘柄は、電気・ガスなどの公共インフラや、食料品・医薬品・通信といった生活必需品があげられます。「景気動向に左右されない安定的な業種」という特徴があります。

それでは、代表的な銘柄を見ていきましょう。

代表的なディフェンシブ銘柄

  • 電力  中部電力(9502)、関西電力(9503)
  • ガス  東京ガス(9531)、大阪ガス(9532)
  • 食料品 日本ハム(2282)、味の素(2802)
  • 医薬品 武田薬品(4502)、田辺三菱製薬(4508)
  • 通信  NTT(9432)、KDDI(9437)
  • 鉄道  JR東日本(9020)、JR西日本(9021)

ディフェンシブ銘柄のメリット

それでは、ディフェンシブ銘柄のメリットを見ていきましょう。

  • 下落相場に強い

ディフェンス銘柄は、景気の影響をあまり受けません。業績が安定しているので、例えば海外市場で大きく株価が下落するような局面になっても、ディフェンス銘柄は相対的に底堅い傾向があります。逆に全体相場が悪い時には買われる銘柄もあるのです。

  • 配当利回りが高い

ディフェンシブ銘柄は、成熟企業や安定企業が多くあります。高い成長性が期待できない代わりに、株主還元策として配当を多く出しているのです。そのため、配当利回りが高い傾向にあります。配当利回りとは配当を株価で割ったものです。

株の利益には「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の2種類があります。キャピタルゲインとは株の値上がり益のことです。安く買って高く売れば利益になります。一方、インカムゲインとは配当や株主優待狙いの買いのことです。キャピタルゲインに比べると運用利回りは下がるものの、毎年確実にもらえる利益です。ディフェンシブ銘柄は、 配当狙いの「インカムゲイン狙い」の投資に向いています。

それでは、代表的な銘柄の配当利回りを見ていきましょう(四季報ベース)

  • 東証1部 2.12%
  • 9502 中部電力 2.31%
  • 4502 武田薬品工業 4.20%
  • 9437 NTTドコモ 4.26%
  • 9433 KDDI 3.85%

東証一部の予想配当利回りは2.12%です。ディフェンシブ銘柄では、通信や薬品などが特に配当利回りが高い傾向にあります。配当利回りが高いというのも、ディフェンシブ銘柄が下落相場に強い一つの原因になっています。株価が下がれば下がるほど、配当利回りは上昇するので、全体相場が下がる場合には配当狙いの買いが入るからです。ただし、個別企業での業績悪化や不祥事などが起こった場合は、将来配当が下がり、配当利回りも低下する恐れもあるので、注意するようにしましょう 。

ディフェンシブ銘柄のデメリット

  • キャピタルゲイン狙いには向かない

ディフェンシブ銘柄は業績が安定していて、下落にも強いというメリットがありますが、逆に言えば、短期間で急上昇をする可能性も低くなります。短期的な利益を狙う、もしくは大きな利益を狙う投資家にとっては、ディフェンシブ銘柄への投資は向いていないでしょう。

  • 利益が保証されているわけではない

また、ディフェンシブ銘柄でも元本や利益が保証されているわけではありません。個別企業の材料によっては大幅に下落することもあります。例えば、東京電力は配当利回りも高くディフェンス銘柄の代表として以前は考えられていました。しかし、東日本大震災が発生すると、株価は一週間で半値以下まで下落。現在も大幅に下ったまま株価は回復していません。 震災前には2,000円を超えていた株価が、一時は120円まで下落したのです 。現在は配当もでていません。

このように、ディフェンシブ銘柄だからといっても一つの銘柄に集中投資するのはオススメできません。そして、株価が大幅に下落した場合は損切りすることも必要になります。個別企業の業績悪化などが原因であった場合は、配当そのものが下がってしまう恐れもあります。ディフェンス銘柄で配当利回りが高いといっても、企業分析はきちんとしておくようにし、リスクを軽減させるためにも分散投資をするようにしましょう。

2019年のディフェンシブ銘柄の見通し

2019年の株式相場はディフェンシブ優位の展開が続くと予想されています。有望業種は医薬・通信・建設などです。 世界経済の減速や米中貿易摩擦の長期化で外需株には警戒感が強まっています。医薬品は、日経平均株価が1割以上下がった2018年で見ても値持ちがよく、大日本住友製薬(4506)やエーザイ(4523)は逆行高しました。また、バイオ関連でもタカラバイオなどは堅調でした。人口が減少する中でも、医薬品は高齢化などで長期的に買われるとみられています。

通信も有望業種と見られています。次世代通信規格「5G」 の本格展開が2019年に始まり、電子決済などの進展も追い風になると見られています 。

建設株も国土強靭化対策による恩恵を受ける業種と見られています。東京オリンピックが2020年に迫っていますが、大阪万博が2025年に開かれることが決まり。特需が生まれるとの見方が背景にあります。会場などの建設費は1,250億円、運営費は800億円、合計2,000億円程度と見られていますが、経済効果は2兆円弱に上ると試算されています。大阪周辺の再開発や、消費拡大の波及効果が期待されているからです。

2019年10月の消費増税を見越して、関連業種に注目が集まっています。消費税増税前の駆け込み需要が見込まれ、住宅ローン減税の期間延長が検討されていることから、不動産に注目する見方や、持ち帰り用の商品開発を手掛ける食品産業に注目が集まっています。

シクリカル銘柄とは

シクリカルとは、循環的な景気変動を意味します。景気変動は一般に以下のようになります。

拡張→後退→悪化→回復

シクリカルとは、このような景気変動によって業績が左右される銘柄のことです。景気敏感株や景気循環株とも呼ばれています。

景気敏感株は電気や自動車などの製造業や、製造業に素材を供給する「基本素材」の銘柄が多くなっています。具体的には、電機機器や自動車、鉄鋼、非鉄、海運、化学などの業界です。それでは、代表的な銘柄を見ていきましょう。

  • 電気機器 6501日立 6752パナソニック
  • 自動車(輸送用機器) 7201日産自動車 7203トヨタ自動車
  • 鉄鋼 5401新日鉄住金 5471大同特殊鋼
  • 非鉄 5801古河電工 5803フジクラ
  • 海運 9101日本郵政 9104商船三井
  • 化学 3405クラレ 4021日産化学

シクリカル銘柄のメリット

シクリカル銘柄は景気の回復とともに、 業績が回復し大幅に株価が上がる可能性があります。ディフェンシブ銘柄では、配当に注目したインカムゲイン投資がメインとなりますが、シクリカル銘柄では、値上がり益を狙うキャピタルゲイン投資が適しています。シクリカル銘柄では順張りが適しています。株価が上昇し始めるとトレンドを作って大きく上昇し、底値から2~3倍になることも珍しくないからです。

シクリカル銘柄では、個別企業の業績も大事ですが、景気動向を判断することが大切です。景気が拡大しているかどうかの判断するための指標との一つとして、「 GDP」 があります。 GDP について詳しく見てみましょう。

GDP「国内総生産」とは

GDP( 国内総生産)とは、一定期間に国内の経済活動により生み出された付加価値の合計のことで、その国の経済規模を表しています。 付加価値とは、儲けや利益の事を意味します。つまり一定期間内に国内でどの程度の儲けが出たのかということです。ですから、付加価値がたくさん増えているということは、たくさん商売が成立しているということになり、国の経済規模を測る時にこの GDP を使います。 GDP が増えていれば、経済が拡大している、つまりたくさん商売が成立していて景気が良くなっていると判断できるのです。

GDPは、世界各国と比較できます。

1位 アメリカ

2位 中国

3位 日本

となっています。

GDP 統計は、四半期ごとに内閣府から公表されています。四半期GDP成長率、年次GDP成長率が掲載されています。詳しくは内閣府のサイトからご覧ください

シクリカル投資をする際に気を付けること

シクリカル銘柄は、景気回復を先取りして上昇します。企業決算がまだ悪い時でも株価はグングン上昇し、企業の業績が回復基調になった場合には、逆に景気悪化を織り込んで下落することがあります。ですから、シクリカル銘柄を取引する際は、個別企業の業績よりも景気動向をより重視した方が、正確な判断ができる可能性が高まります。

シクリカル銘柄のデメリット

  • 日経平均株価など指数の影響を受ける

シクリカル銘柄は日経平均株価などの指数の影響を受けます。また、NY株式市場など海外市場の影響も受けます。基本的に外需で稼いでいる企業が多いので、個別企業の業績よりも世界経済の値動きに影響を受けるのです。そのため、市場に影響を及ぼすようなニュースには敏感に反応します。大幅に下落する可能性もあるので、必ず損切り注文を入れておくようにしましょう。一方、ディフェンス銘柄は外部要因にはあまり大きな影響は受けません。下値が限定されているので長期で保有しても安心感があります。

シクリカル銘柄は短期間で大幅に上昇する可能性があるものの、下落する時のスピードが早いので、大きな損失がでる可能性もあります。リスク管理がより重要になってくるのがシクリカル銘柄です。

2019年シクリカル銘柄の見通し

2019年のシクリカル銘柄の見通しに関しては、やはり米国の景気動向が一番注目されます。シクリカル銘柄は、米国の景況感指数との連動性が高くなります。国際展開が進んだ企業にとって、世界を牽引する米国の景気動向が、業績に直結しやすくなっているためです。

年初からアップルが急落し日本株が大きく下落しました。市場参加者が少ない正月休みを狙った仕掛け的な売りとも見られていますが、特にドル円相場が1時104円台まで急騰したことは、外需産業が多いシクリカル銘柄にとってマイナスの要因となります。

ドル円相場の動向も大きな注目点です。2018年は年間の値幅が9.99円と10円に届かず、歴史的な膠着相場でした。これが2019年も続くかどうかが注目されています。一部では、変動が激しくなるのではないかと予想されています。アメリカの金融政策が引き締め方向だったのが、柔軟に見直すなど、円高が進みやすくなるとの見方が広がっています。日本は戦後の景気拡大最長を更新しそうな勢いですが、金融緩和はまだ続きそうです 。FRB が利上げを止めれば、円高に向いやすくなります。また、10月に予定されている消費税増税も景気が落ち込む原因になりえます。

戦後最長の景気拡大

シクリカル銘柄は、景気動向が重要だとお話ししました。そして、2019年は日米の拡大期間がそろって戦後最長を更新する可能性が高まっています。ただ、景気サイクルの最終盤に差し掛かった米国では、債券市場で長短金利が逆転する「逆イールド」が発生するなど、景気後退の予兆もあります。

シクリカル銘柄は景気を先取りして動くので、昨年末から大幅に下落しています。さらに FRB は景気の堅調さ背景に、年に2回の利上げが見込まれますが、米中貿易戦争による景気下押しリスクを警戒する市場とは温度差があります。

日本はアベノミクス相場の2012年12月から景気拡大が始まり、2019年1月で74ヶ月となり、2002年1月から2008年2月まで続いた「いざなみ景気73ヶ月」を抜いて最長となることがほぼ確実視されています。2018年は世界経済の拡大を背景に輸出や設備投資が伸び、緩やかな景気拡大が続きましたが、物価の動きは鈍くデフレ脱却宣言はまだまだ道半ばです。

外需に大きな影響を受けるものの、国内景気の最大の要因は、2010月1日に控える消費税率の8%から10%への引き上げです。食品などは8%に据え置く軽減制度が初めて導入されます。しかし、スーパーやファーストフードの外食店で、店内の飲食と持ち帰りで税率が異なる「一物二価」の状態が発生することになり、混乱も予想されます。

前回2014年に消費税率を5%から8%に上げた際は、駆け込み需要の反動減によって景気が落ち込みました。そこで、2019年度予算に2兆円を超える消費増税対策を盛り込んでいます。消費税増税によって景気の腰折れを防げるのかどうか、7年目を迎えたアベノミクス相場の正念場となりそうです 。

平成最後の年

約30年間の平成が終わり、新しい時代が始まります。新元号は4月1日に政府が閣議決定し公表します 。2019年のゴールデンウィークは10連休になります 。前回1989年の昭和から平成に改元された年、またミレニアムの2000年など節目の年はGDP が上向く傾向がありました。今回も特需などにより、景気が上向くかどうかということが注目されています。

ディフェンシブ銘柄とシクリカル銘柄の投資期間の比較

それではディフェンシブ銘柄とシクリカル銘柄の投資期間について考えてみましょう。ディフェンシブ銘柄は、業績が安定しているものの値動きがあまりない銘柄が多いので、長期投資に向いています。しかも配当利回りが高い銘柄が多いので、インカムゲインを取りながら保有することをお勧めします。10年以上の投資にも動いています。

一方、シクリカル銘柄は値動きが荒い銘柄があるので、短期投資にも向いています。また、景気が回復局面では大きな上昇を見せることから中長期の投資にも向いています。ただし、景気上昇局面に乗るので2~3年、長くても5年ぐらいの投資期間を見ておきましょう。下落相場では大幅に下がる恐れもあるので、安易な逆張りは控えるべきです。

基本的な投資スタンスとしては、ディフェンスル銘柄は逆張りですが、シクリカル銘柄は順張りになります。相場のトレンドに乗れるかどうかがシクリカル銘柄で利益を出すために重要なことになります。

まとめ

今回は、ディフェンシブ銘柄とシクリカル銘柄の違いと投資手法、そしてそれぞれの相場動向の見通しについて書いてきました。相場上昇局面ではシクリカル銘柄が注目を集めますが、景気後退局面ではディフェンシブ銘柄が注目されます。どちらに投資基金が向くかというのは、やはり景気動向が大切になるので、 GDP 統計などできちんと把握しておくようにしましょう。

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一橋大学経済学部卒業。証券会社でマーケットアナリスト、デリバティブディーラーを経て、個人投資家に転身。投資歴は20年以上。現在は、日経225先物を中心に現物株・FX・CFDなど幅広い商品に投資しています。保有資格:証券外務員1種

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