出典(トップ画像):(株)ファミリーマート
Tポイントの取扱いで有名な「ファミリーマート」ですが、日経新聞によれば2020年から楽天ポイントとdポイントを取り扱うための準備が進められていると報道されております。
TポイントといえばTSUTAYAかファミマといってもいいぐらいファミリーマートのシンボル的な存在です。
こういった動きが発生するにはよほどの理由があったはずですが、では今後ファミリーマートでどのようにポイントが利用できるようになるのか?またTポイントは使えなくなってしまうのか?
更に今回のことでファミマでよりお得な恩恵が得られるようになるのか?逆に損となってしまうのか?
本ページでは様々な視点から今後のファミマにおけるポイントサービスの状況や利用者への影響、また今後Tポイントがどのようになっていくのかなどについて考察していきます。
Tポイントで有名なファミマに異変!?
出典:(株)Tポイント・ジャパン
ファミリーマートでは2020年夏頃から「楽天スーパーポイント」とNTTドコモの「dポイント」が使えるようになるとのことです。
出典:日本経済新聞
ファミマは2007年からTポイントの取扱いを開始していますが、現在全国に約17,000店舗をかまえる巨大コンビニチェーン店であり、今後のその動きや影響には注目すべき所があります。
Tポイントは「カルチュア・コンビニエンス・クラブ(株)、CCC」が運営しているポイントサービスで、約6,700万人の会員数を誇っておりますが、ファミマがTポイントに疎遠となってきますと、Tポイントプログラムへの影響は非常に大きなものとなってきます。
ファミマが両ポイントを取り入れるようになった背景
コンビニ業界におきましては、店舗数拡大の陰りや売上の鈍化などが指摘されています。
ファミマにおいては、ポイント攻勢が非常に強い楽天ポイントやdポイント、またさらに楽天・ドコモが運営するモバイル決済アプリなどに救いを求めた形が、今回の報道となったものです。
これまではファミマでもポイントサービスの充実を図ってきましたが、時代が流れるに連れ、ネットと実店舗との連携が必要となってきており、楽天やドコモにはそういったIT分野に強みがあることも、今回の件の要因の一つであります。
Tポイントはどうなっていくのか?
現時点でファミマがTポイントの取扱いを終了するとは明言されておりませんが、上記2種類のポイントサービスへ多くの利用者が流れていくようになれば、ファミマにおけるTポイントの存在意義が薄れてくるようになるのは想像に難くありません。
またやがて、その取扱いを停止することや、それに追従するかのように他のTポイント加盟店も連鎖式に取扱いを終了させるようになれば、Tポイントそのものが危うくなるかもしれません。
ファミマで扱っているTポイント関連のカード類
出典:(株)ファミリーマート
取扱いTカード等の内訳
2018年現在におけるTポイントを利用することができるカード類を紹介しておきます。
「Tカード」
Tポイントを貯める・使うための最も基本となる会員カードで、プラスティックの物理的なカードの他に、Tポイントアプリがあります。
またTカードはポイント加盟店ごとにそれぞれデザインに工夫を施したカードが用意されています。
出典:(株)Tポイント・ジャパン
「Tカード」(クレジット機能付き)
こちらはクレジットカードとしてのTカードで、Tポイントの機能とクレジット機能が一体となったカードです。
ファミマ、ヤフーを始めいくつかの提携企業のものが発行されています。カードブランドはMasterとJCBとなっております。
ポイント還元
ファミリーマートを例にしてみますと、Tカードを提示して買い物をした場合は200円に付き1ポイント(0.5%)が基本となっております。
一方、ドコモのdポイントの場合、有力な提携先であるローソンで買い物をしますと100円に付き1ポイント(1%)が基本であり、ファミマでも同じ還元率となればどうしてもdポイントの方がお得となってきます。
楽天ポイントにしましてもネット上の話ではありますが、楽天市場や他の提携オンラインストアではやはり100円に付き1ポイントが主流です。
この例は複雑なポイント還元の実態の全てではありませんが、これから上記2種類のポイントサービスが加わってくることにより、客側が利用するポイントサービスの転換も予想されてきます。
この辺りの話は後ほどまたお話ししますが、ファミマの利用客においてはドコモの携帯利用者や楽天市場でよく買い物をする人も多いと思われますので、そういった客層からすれば難しい手続き等もなくアッサリdポイントカードや楽天ポイントカードを提示してしまうこととなりそうです。
参考となる他社の動き
ファミリーマートの今回の動きは、こういった業界事情を知らない一般の方からすれば唐突な出来事のように思われますが、実はいくつか他社においては以前から少しずつTポイント離れの動きが出ている状況なのです。
アルペン
スポーツ用品店大手の「アルペン」は、10年以上に渡るTポイントの取扱いを2019年3月末で取りやめるとの決定を行いました。
これに代わって2019年4月からは「アルペングループメンバーズ」というポイントプログラムの導入を行うことと、「楽天ポイント」の取扱いを開始することになりました。
出典:(株)アルペン
これも大手企業における営業上の一大転換策としてファミマの例に近い衝撃があります。
三越伊勢丹
こちらは2018年3月にTポイントの取扱いを終了しております。
既存のクレジットカードである「MICARD」を中心としたサービスや楽天ペイ、Amazon Payなどによる決済方法の拡充が行われております。
楽天ペイとAmazon Payはポイントサービスではありませんが、Tポイントと同様そのブランド力が頼りにされているわけで、その点においてTポイントサービスよりも両ブランド及びその会員に三越伊勢丹側が期待を寄せていると見ることができます。
また三越伊勢丹は、デパートの閉店が相次いでいる状態で、デパート業界自体も苦戦を強いられていることから、新たな活路の発見が急務であるという現状もあります。
Yahoo!JAPANグループ
2019年2月からYahoo!ショッピングとヤフオクにおいて、また「LOHACO」は4月からモバイル等決済サービス「PayPay」の取扱いを開始することとなりました。
出典:PayPay(株)
キャンペーン等で付与するポイントも4月からはTポイントから電子マネー「PayPay」に変更することになりました。
一方でTポイントの取扱い自体は継続していくとのことです。
またPayPayにはいくつかのマネーのチャージ方法や決済原資の指定がありますが、その中に同グループで運営されている「ヤフーマネー」はあるものの、Tポイントは含まれておりません。
もちろんTポイントは電子マネーではありませんので採用され難いという考え方ができますが、Tカードにチャージして使うことができる電子マネー「Tマネー」の姿も全く見えてきません。
これもTマネーがあまり普及されていないという問題がありますが、Tポイント関連のサービスが今のところ表に現れてこないのは、とても印象的です。
出典:PayPay(株)
TSUTAYA
音楽や書籍のネット配信サービスの影響でTSUTAYAの閉店が相次いで起こっておりますが、この例は、最初の方でお話しした「ファミマがITに明るい楽天やドコモと手を組むようになった」ことの裏返しの現象ととらえることができます。
Tポイントは通常のポイントとネット限定のポイントとがありますが、そのような理不尽さは楽天ポイントやdポイントには無く、両ポイントにおいてはネットと外をポイントが自由に行き来できる状態です。
またこのことは、決済アプリとの親和性が高まるものでもあり、時代の要請にマッチした仕組みです。
楽天やドコモがなぜここまでの動きを見せていたのかを理解できずにいた姿勢が、TSUTAYAの経営を困難にさせてきたと言えます。
そしてファミマにおいても、Tポイントとの連携にだんだんとメリットが感じられなくなるのも当然のことと言えるのです。
出典:livedoor NEWS
今後予想される展開や利点となりそうな事
出典:楽天(株)、(株)NTTドコモ
まず大雑把に説明しますと、楽天ポイントとdポイントを主に利用している方には朗報、Tポイントを貯めている方には悲報という極めて分かりやすい構図となってきます。
では具体的にどういったメリットが発生してくる可能性があるのかを説明します。
楽天ポイント
まず楽天ポイントについては、現在様々な同ポイント加盟店が存在しますが、約17,000件もあるファミリーマートで使えるようになりますと、おにぎりや弁当、100円コーヒーなどのごく日常的な買い物からも楽天ポイントが貯めやすくなります。
カフェ、居酒屋、カラオケなどに加え、コンビニは多くの方が頻繁に訪れる所です。単に使える店が増えたという点のみだけでなく、日常に近いその利用シーンが極めて重要になってくるポイントです。
言い方を変えてみますと、通勤・通学などの途中にファミマが1軒でもあれば、人によってはその利用頻度に応じてこれまで以上に(今までポイントが貯めれなかったファミマのコロッケからも)、普段の生活で楽天ポイントを貯めることができるようになります。
dポイント
dポイントについても上記と同様のことが起こりやすくなり、またdポイントの場合はローソンとファミマの2種類のコンビニで使えるようになりますので、街の店舗におけるポイント獲得機会が大幅に増えることとなります。
ただ、ローソンとファミマにおけるサービスそのものの違い、商品価格の違い、または品質の違いなどがありますので、単純にポイント獲得機会が倍増するということにはならないかもしれません。
楽天ポイント・dポイント共通のメリットとなりそうな事柄
各ポイントを集中して貯められるようになることが真っ先に上げられますが、他にも様々な利点が考えられます。
- ファミマでTポイントのことを気にする必要がなくなる
- ポイントカードを1つ減らすことができる
- ポイントカードアプリも減らすことでスマホのスリム化・操作の簡素化
- ポイントとリンクしたクレジットカードの場合、その利用額を集中・上昇させることができる
- 上記の結果ポイントの集中化とカード会社からの評価のアップ
- 返済が正常であればカード利用枠の増加や更なる優待への期待 など
モバイル決済アプリの利用に関して
楽天からは「楽天ペイ」、ドコモからは「d払い」の決済アプリが出ていますが、この決済アプリが使える店舗は両者に限らずまだ十分とは言えない状況です。
実はファミマですでにこの両アプリを使うことはできるのですが、今回の動きにより更なる利便性の向上やポイント還元への期待が挙げられます。
また決済アプリは、アプリからもらえるポイントや登録しているクレジットカードからもポイントが貯まるといった感じにポイントの2重・3重取りが期待できます。
しかし「アプリ・カード・利用店舗」でポイントサービスが異なっていますと、お得ではあってもそのポイント計算がややこしくなるのが欠点です。
そこで今回のことによってその構造が少しでもシンプルになってくれれば、計算もそれだけ容易となってくるようになります。
他社の楽天・ドコモへの追従
Tポイントがもしこういった流れで衰退していくとなった場合、Tポイントがただその存在感を失うだけではありません。
楽天ポイントやdポイントがファミマでの取扱いが始まるようになりますと、これはファミマで実施されるかなり大がかりな動きですので、このこと自体が両ポイントの宣伝材料となるわけです。
楽天ポイントやdポイントにおける残念な予想
ポイント放出総量が変わらない場合
どちらのポイントにおきましても今後ファミマにもポイントを提供していく際、サービス全体で還元するポイント数が変わらなければ、ファミマに渡った分だけ既存のサービスからポイントが差し引かれることが予想されます。
無料でポイントが稼げるゲームやくじ、メルマガなどがその差し引かれる対象となってくるのでしょうか?
またファミマへ出向いて何か買い物してポイントを得ることになるため、自宅などからネットやスマホ経由で気軽に得られる割合が低下することも考えられます。
しかも、買い物ですので実費が伴うポイント獲得アクションとなり、平均的なポイント還元率の低下も懸念されてきます。
ポイント放出に限界は?
楽天は2017年までに楽天ポイントを約1兆ポイント付与したことを公表しました。
出典:楽天㈱
翌2018年に至りその勢いが衰える部分は見られないのですが、今後も果たしてこのままのペースで楽天ポイントを付与してくれるものなのか定かではありません。
楽天の携帯事業への参入
楽天は2019年10月から第四の携帯事業者として同事業に参入することになっていますが、この参入経費として約6,000億円の借入れを行うとされています。
グループの事業全体において今後の財務健全化やキャッシュフローといった面が厳格となってきますと、楽天ポイントの還元に影響が生じてくるのではないかと考えられます。
またドコモにおきましても新しい通信方式である「5G」の開発・研究などその通信事業への投資に莫大な経費がかかっていることや、国から通信料金の値下げを迫られている状況であるため、ポイントの更なる付与に慎重となってくるかもしれません。
出典:(株)NTTドコモ
まとめ
出典:(株)ファミリーマート
Tポイントを主に貯めてきた方々には残念なニュースかもしれませんが、こういった形で世の中は変化していくものなのです。
一方、楽天ポイントとdポイントを利用している人にとってはメリットが非常に多い話題であると言えます。以下がそのメリットの概要となります。
- ファミマでのポイント獲得
- 他社の追従
- ポイント獲得機会の拡大
上記3点が現実のものとなってくれば両ポイント保有者はよりたくさんのポイントを貯めることができるようになるでしょう。
ただ、先ほどお話しした懸念事項(楽天ポイントやdポイントにおける残念な予想)が正しいものとなれば、やはり楽天ポイントもdポイントもこの世の大きなルールから逃れられない存在であったというわけです。