FXにおける大損の可能性を秘めた様々な懸念要因。FXの脅威は忘れた頃にやって来ます!

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FXはある日突然、大損害に見舞われるものです。

 

2018年現在も米中貿易戦争やヨーロッパの一部の国における財政問題、政治や原油に絡んだ中東情勢など、暴落や大損害に至りそうな実に様々な懸念要因が存在しております。

 

またそれらのように比較的知られたものだけではなく、経済ニュースやテレビ等で突然知ることとなるような全くの不測の出来事があります。

 

他にこれといった事件性の低いものでも、*アノマリー的な事柄や季節的な要因等で相場に急変を引き起こすものまであります。

*アノマリー・・・経験的なことや原因不明ながらよく発生する事柄

 

当然その全てに備えることは不可能なのですが、せめて現状で可能性があるものだけでも事前に知識として覚えておき、日ごろから万が一の時のための備えや心構えをしておくことが大損を防ぐ上で大切です。

 

そこでこれから本ページでは、国際的な諸問題のみならずFXで大損の引き金となりかねない様々な要因について詳しく説明していきます。

 

 

 

ヨーロッパにおける懸念材料

イタリア

「EUに対峙しそうな新政権」

2018年5月に大衆迎合的な政党である「五つ星運動」と右派政党「同盟」による連立政権が誕生しました。

 

出典:BBC

 

 

この連立政権は基本的にEUに否定的な考え方を持っており、その最前線に立つ経財相の変更が行われるまでスムーズに組閣を行うことができませんでした。

 

最終的に新経財相が任命され政権運営がスタートしたものの、公約(年金支給開始年齢の引き下げ、低所得者層への優遇、福祉関連の減税等)がもし実施となれば、EUの規約違反となりかねず、その実現が懸念されています。

 

 

「未払い債務問題」

また政府においては「未払い債務問題」があり、このネーミングだけでもFX相場が急変しそうな感じです。

 

しかも単に未払いの債務があるだけでなく、その借用証書が法定通貨ではない「独自の金銭的な価値による借用」で成立しているらしいというもので、そのため政府の予算体系とは別枠の扱いという極めて恐ろしい可能性が言われております。

 

イタリアにおいては、EUとそりが合いにくい経済・財政政策と政府の債務問題が本格化すれば、ユーロを中心に大きな暴落や世界経済への悪影響が懸念されます。

 

 

スペイン

「不動産分野の不良債権が重圧」

スペインは2007年に起きた「サブプライムローン問題」及び翌年のリーマンショックにより、不動産関連の不良債権がいまだに重くのしかかっている国です。

 

不良債権をその要因の中心として2012年には「スペイン危機」が発生。失業率が20%を超えたり債券利回りが異常に上昇するなど国内外において混乱を引き起こしました。

 

 

「カタルーニャ州の独立問題」

また2017年に起きた「カタルーニャ州の独立問題」もスペインに以前から根深く存在していた問題で、現在では目立った動きはありませんが、2018年5月の州首相選挙においては独立派候補が首相に選出されており、今後も懸念が継続していくこととなります。

 

 

「不安定な政権運営」

2018年6月に社会労働党(ペドロ・サンチェス首相)及び他党との連立政権が誕生しましたが、同党は議席的に両院ともに第一与党にはなっておらず(上院定数266・下院定数350)、政権混乱が危惧されております。

 

 

スペインにおけるFX相場の懸念事項としては、やはり「不良債権」問題が最も危険視されるところです。

 

 

カタルーニャ問題や政権基盤の弱さが政治・行政の混乱をきたし、その結果、この不良債権問題をうまく処理できないのではないか(悪化させるのでは)と予想されます。

 

出典:CNN.co.jp

 

 

またイタリア・スペインともども財政問題を抱えているわけで、両国がその問題をインターバルをあけずそれぞれ表面化させたとすれば、FXにおいてはユーロのみならず世界経済全体に甚大な被害をもたらす可能性があるのです。

 

 

 

ベネズエラ情勢

 

 

 

 

 

南米に位置するベネズエラは世界一の石油埋蔵量を誇る国でありますが、慢性的な不景気やハイパーインフレ、経済制裁などの陰でいつ何が起きてもおかしくはない非常に危険な状態です。

 

出典:Wikipedia

 

出典:産経新聞

 

 

経済状況

2015年の原油価格の急落はベネズエラの経済を直撃し、景気後退や多くの失業者の発生などにつながっていきました。

 

そしてその結果「ハイパーインフレーション」の出現や政府の「デフォルト」(債務不履行)の懸念まで現れ、2018年現在においても取り返しのつかないような状況となっております。

 

またハイパーインフレ対策として「デノミ」(デノミエーション)と呼ばれる通貨切り下げ政策を行い、通貨の単位を当初は1/1,000にしましたが、2018年8月には10万分の1にまで切り下げるなど、その非常に収拾のつかない様子が覗われます。

 

 

世界各国との関係

「中国」

ベネズエラは中国から約600億ドルの融資を受けておりますが、政府がデフォルトした際、この融資もそのほとんどが霧のように散っていくことが大いに予想されることから、中国への悪影響が懸念されております。

 

またそれは、昨今のグローバルな経済状況において中国を発し他の国々へと浸透することも考えられ、世界経済への懸念へと結びついてくるわけです。

 

ただこの600億ドル(約6兆7千億円)は中国の経済規模(約1,300兆円)としてはかなり低めの額ともとれますので、世界各国への経済的な影響はそれほど深刻なものではないとも考えられます。

 

 

「アメリカ」

2017年にベネズエラで「制憲議会選挙」が行われこれに対しアメリカが強く反発、その後ベネズエラへの経済制裁を行いました。

 

「制憲議会」とは、現行の憲法を無効化させたり大統領の権限を大幅に高めるもので、これに対しトランプ大統領や米政府は選挙前から制裁の実施を予告していました。

 

現在中国からは融資を得ておりますが、経済制裁によりアメリカからは援助が得られないばかりでなく、アメリカ国籍の個人や企業がベネズエラに関連する経済活動を行うことができません。

 

従ってベネズエラは、ドルを中心とした外貨獲得が困難な状況となっており、同国経済への大きな打撃となっております。

 

出典:REUTERS

(マドゥーロ大統領)

 

 

「EUやその他各国」

制憲議会選挙の影響はその民主的性質の弱さからアメリカのみならずEUをも刺激し、EUも同じく経済制裁を発動しました。

 

またカナダ、スイスなど他の国々も経済制裁を行っており、今後この制裁の連鎖が広がっていけば世界中から仲間はずれにされてしまうことになるのです(ロシア、中国など除く)。

 

 

世界平和が最も大事

第二次世界大戦以降「人道・平和の追及」が国際的な確固たる常識としてありますが、それはつまり、何か問題が勃発したらそれらに影響を与えない方法で解決を図ることを意味します。

 

従って、軍事的手段に代わる紛争解決の手段として経済制裁などが用いられる度合が強くなっていくほど、経済・金融への望ましくない影響が徐々に大きくなっていくことになるのです。

 

世界平和に取って代わるものはありません。もしベネズエラから発する影響が無視できないレベルになったとしたら、その時は相場状況の実態を清く素直に認め個々人の責任で適切な行動を採ることが求められてきます。

 

 

 

ジブリ映画で大損!?

アノマリーの一例

突然話題の視点が変わりますが、これは日本テレビで金曜夜に放送される「金曜ロードショー」(21:00 ~)という番組において、スタジオジブリのアニメ映画が放映された後、FXや株などの相場が荒れやすくなったり暴落を引き起こすというものです。

 

ジブリ作品の放送とFX相場に、説明するまでもなく縁や繋がりはありませんが、こういった関連性が見られることから時折話題となるものです。

 

また「アノマリー」とは、科学的な根拠はないがなぜか繰り返しそうなってしまうことや経験則といった意味の言葉です。

 

出典:ZUU online

 

 

FX相場の様子

では、実際のところはどうなっているのかと言いますと、2018年における本ページ執筆時点までの状況についてデータをまとめてみました。

 

「データ集計内容」

  • ジブリ作品 2018年1~11月まで全7回分の放送日時から翌営業日までの為替データ
  • データ集計通貨ペア・・・米ドル/円
  • データ集計時間帯・・・金曜21時から翌月曜のニューヨーククローズ時間まで(翌々日の朝まで)

 

 

放送日 始値 終値 結果
2018.01.05 113.23 113.085 -14.5pips
2018.05.18 110.939 111.044 10.5pips
2018.08.10 110.924 110.668 -25.6pips
2018.08.17 110.477 110.058 -41.9pips
2018.08.24 111.309 111.071 -23.8pips
2018.10.26 112.012 112.35 33.8pips
2018.11.02 112.885 113.182 29.7pips

 

 

 

 

全7回中3回で上昇、残り4回が下落という結果となりました。まあこれだけでは何とも言えないものがあり、他にも色々な角度からデータを取る必要があると言えます。

 

ここで全ての回でショートポジションを建てた場合の損益シミュレーションを行ってみますと、

  • 上昇した3回分の合計損益・・・-70pips
  • 下落した4回分の合計損益・・・105.8pips
  • 上記の差引・・・35.8pipsのプラス!

 

 

なんと合計すると儲かってしまう結果となりました。これはもっと多くのデータを調べてより精度の高いものを掴んでみたいものです。

 

 

アノマリーは付き合い方次第

アノマリーはこのように実際に調査してみればその実態が見えてくるようになります。

 

アノマリーはアノマリーのままの理解でいますと下落や大損の原因といったものでしかありませんが、上記のような損益検証を行うなど一工夫を加えることで、アノマリーもまた違った光を放ってくる場合があります。

 

もちろん、理解できない現象に無理して挑戦したりするのはよくありませんし、自分が理解できる、勝てるケースに絞ってFXを行っていく方が賢明です。

 

ただ、こういったことに左右されてしまう相場参加者が一定数存在し、実際の相場へ影響を与えることがあるという事を覚えておいた方がいいです。

 

 

 

大損しやすい年末年始

年末年始においてはどのようなことに注意すればよいのでしょうか?

 

 

年末年始は少数投資家の独壇場

基本的に年末年始は、機関投資家やヘッジファンドなどの企業が仕事納め後の冬季休業や正月休みをとる時期にあたり、FX取引ができる日や時間帯であっても取引量が大幅に減っていくのが特徴です。

 

それでもそういった大口投資家の取引がゼロとなるわけではありません。

 

こういった状況の場合、少数の投資家からの一方的なトレードになりやすく、つまり対抗馬となる投資家が現れにくいため、その一部の投資家が建てたポジションの方向に相場が移動しやすくなっているのです。

 

普段であれば、多数の投資家たちによる数多くのトレード合戦が行われ、綱引きに例えて言えばお互い綱を引きあいなかなか勝負が決まっていかない状態です。

 

ところが少数の投資家によるトレードは、綱引きではどちらか一方にばかり引く人が集まっているような感じで、いったん勝負が開始されればあっという間に綱が引っ張られてしまうようなものなのです。

 

 

急騰・急落が起こりやすい

年末年始におけるFX相場は上記のように「少数のトレーダーによる一方的な綱引き」が行われているようなものであり、いったん大き目のレート変動が発生するとその値動きは非常に急激なものとなっていきます。

 

また年末年始は毎年訪れるものなのですが、一般投資家においても年末年始は仕事が休みに入る人も多く、普段なかなか時間が取れないといった人が思う存分FXに没頭できる時期であります。

 

しかしそれは、ワナに自ら入っていくようなものです。

 

年末年始の取引は、ほぼ予想しうる急騰急落の中にわざわざ入っていくということを意味するものなのです。

 

ただ、あえてそのような相場状況を好んで選び、価格変動のジェットコースターを味わいたいという方もいるかもしれません。

 

こういう事情を知らないトレーダーが、思いも寄らない大損に陥るのではないかと思われます。

 

 

相場参加者が減りやすいその他の時期

「クリスマス前」

クリスマス前は、特に海外の機関投資家がクリスマス休暇をとることから取引量の減少が起こりやすいとされております。

 

日本と違ってクリスマスは単なるイベントではなく、しっかりとした休暇の習慣がある海外の国が存在しているのです。

 

 

「祝日」

各国においても国民の祝日を受けてニューヨーク市場やロンドン市場などがその営業を休止したり参加者が減少したりします。ただFX取引を行うことは可能です。

 

アメリカにおいては7/4「独立記念日」、9月の第一月曜日「労働者の日」、1月の第三月曜日「マーティンルーサーキング牧師の誕生日」などの祝日があります。

 

*米国の祝日(マーケット休場日)

出典:第一商品(株)

 

 

「夏」

毎年7・8月は海外勢が長期休暇に入ることから相場の流動性が下がり、閑散相場から急騰急落といった極端な展開になりやすくなります。

 

夏場はある程度の日数期間があり、相場の不安定な状況に対し殊更に毎日おびえるのは建設的ではありませんが、正月休みと同様、自分の夏休みと市場の気まぐれさ加減が重ならないよう注意したいところです。

 

 

その他相場急変や大損害が懸念される要因

 

米政府機関閉鎖

これまでに何度も発生している問題で、アメリカの議会において次年度予算が決まらず、各種予算の執行ができなくなることから政府機関やその機能が停止してしまうというものです。

 

アメリカ政府の機能がマヒするということでアメリカのみならず世界中でパニックが起こりやすくなります

 

「これまでの発生歴」

  • 2018年
  • 2013年
  • 1995年
  • 1990年
  • 1981年 など

 

 

しかしこの問題が発生しても後に予算が成立すれば、再び通常の政府として動き出すわけです。FX会社の経済ニュースや一般のテレビニュースなどでも報道されます。

 

 

西暦末尾のアノマリー

これは西暦の末尾数字によって、FXやその他相場の状況に一定の傾向が出てくるといったアノマリーに属する話です。どちらかと言えばネガティブな意味で話題となってきます。

 

統計的な要素も含んだ話ですが、例えば1987年は「ブラックマンデー」、1997年なら「アジア通貨危機」、2007年では「サブプライムローン問題」といった大暴落は現に発生してきました。

 

2017年においてはアメリカではトランプ大統領の治世ですが、実際のFX相場の状況として、以下に3つの通貨ペアの年間結果をあげてみます。

 

「2017年の始値~終値と騰落状況」

通貨ペア 始値 終値 結果
米ドル/円 116.888 112.673 4円21銭の下落
ユーロ/円 122.908 135.148 12円24銭の上昇
英ポンド/円 144.272 152.133 7円86銭の上昇

 

 

 

各通貨で統一感のない結果です。2017年は上記で上げた大暴落レベルの出来事は見られませんでした。

 

こういった話題は信じたり固執するトレーダーが多ければ多いほど暴落などの発生率が高まってきます。最終的には人間の心の問題も大きく関わってきます

 

 

まだまだあります!

米中貿易戦争、北朝鮮問題、中東の原油問題、日銀のETF買入れ終了時、統計(1・8月は円高傾向)、星占い・・・政治・経済・金融からオカルトなものまで多くの暴落の可能性がFXには存在しているのです。

 

「日銀によるETF買入れ」

出典:日本経済新聞

 

 

 

まとめ

 

自動車事故のように「まさか自分が」という感覚がFX取引を行っている時にはあるものです。

 

純粋にトレードのやり方を原因とした大損もあるわけですが、どんなに気を配っていても発生が避けられない大暴落の可能性は常に存在しています。

 

今回の内容を整理しますと大きく分けて以下のような形となります。

 

  • 海外の政治・経済に起因する暴落
  • 統計的な大暴落の要因
  • 季節的に大損の可能性があるもの

 

 

1つ言えることとしましては、もし自分が大損害の可能性に巻き込まれた場合は、速やかに「損切り」することが最も有益な行動であるということです。

 

このアクションを躊躇なくできる人が大損を回避しFXで大きな利益を上げていくのです。言い換えれば、大損は自分が自ら作り出しているとも考えることができます。

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