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普通預金にある程度の金額が貯まってきたら、そのお金の使途を考えるいい機会です。
その金額がいくらであっても、しばらく使う予定のないお金を何となく普通預金に預けっぱなしにしておくのは、非常にもったいない事です。
かといって、いきなり準備期間もなく株式やFXなどに手を出すのも無謀です。
そこで、銀行関連の商品であればまだ、リスクも低いかなと考える人も多いのではないでしょうか。銀行ではとくに、夏や冬のボーナスの時期にはお得なキャンペーンも満載です。
今回は、銀行で取り扱う様々な商品の中でも、ぜひ検討してみたい商品の1つである、仕組み預金について解説していきます。
仕組み預金のしくみ
各銀行の商品にどんなものがあるのだろうと調べている中、仕組み預金というものを目にすることがあります。
そもそも、この仕組み預金とはどのような預金なのでしょうか。
仕組み預金の基本的なしくみをご説明いたします。
仕組み預金の基本
仕組み預金とは、基本的に定期預金と金融派生商品(デリバティブ)の要素を組み込んで販売する預金のことです。目的はあくまでも預金をする1つの方法となりますが、その仕組みによってはリスクも高い預金でもあります。
金融派生商品(デリバティブ)とは、金利、債券、株式、外貨、農産物や貴金属などの将来の見込み価格を取引きするもので、常に現在の経済状況によって先の価格も変化していきます。
つまり仕組み預金とは、このように先の価格がわからない商品(価格が常に変動していくもの)の将来性を見込んで購入することになります。
通常の定期預金であれば、キャンペーンなどで特別金利がついたとしても1%を超えることはまずありません。
ところが仕組み預金の場合は、条件つきで購入することによって、5%、10%、あるいはそれ以上の金利が適用されることもあります。定期預金ではけっして不可能だと思われる高い金利が一番の魅力となっています。
反面、商品によっては元本保証がないというリスクが生じてしまいます。
もちろん、定期預金自体は預金保険法によって守られていますので、原則として元本割れすることはありません。
※ただ、中途解約の際には定期預金自体の元本割れが生じる可能性もあります。なぜなら満期まで預け入れることを条件に高金利が付与されてあるからです。
どのような条件が組み込まれるのかは、それぞれ銀行によって異なります。
多くの仕組み預金は、キャンペーンの一環として販売されるものも多く、短期ものから長期ものと期間も様々です。
仕組み預金の種類
銀行によっては仕組み預金のことを、新型定期預金、特約型定期預金、変動型定期預金、オプション定期預金など個別に名前がつけてある場合も多くなります。
それでは仕組み預金の種類にはどのようなものがあるのかを解説していきます。
通貨の種類
仕組み預金は通貨によって大まかに3つのタイプに分かれます。
- 円貨型→預け入れ・払い戻し・利息がすべて円貨で行われる
- 外貨型→預け入れ・払い戻し・利息がずべて外貨で行われる
- 混合型→預け入れ・払い戻し・利息はそれぞれ円貨、または外貨と変わっていくもの
適用される外貨は、その商品によってによって米ドル・豪ドル・ブラジルレアル・人民元などいろいろです。
さらに、仕組み預金は金利や満期が変動していくタイプと通貨が変動していくタイプに分けることができます。
満期が変動するタイプ
代表的な仕組み預金として、満期が変動していくタイプの定期預金があります。満期変動型定期預金とも呼ばれるものです。だからといって、永遠に預金し続けるわけではありません。最長期間(満期の上限)は原則として定められています。
満期変動型の仕組み預金は、最長で数か月、3年、5年、10年などと満期が定められています。その限られた満期内の中で実質の満期日は変動していくタイプの預金になります。
このタイプの預金が最もシンプルな仕組み預金となり、満期変動型は市場金利の価格によって、満期日が長くなったり、短くなったりしていくものです。
金利
満期変動型の仕組み預金の特徴は、金利が通常よりも高い設定になっていることです。市場金利の動きによって、銀行側に同じ金利を払い続けることが不利だと判断された場合には、満期日が繰り上げになる可能性があります。
金融市場において金融機関同士が取引をする際に適用される金利のことをいいます。
従って、高い金利であっても予定より早く償還される可能性が生じてしまうわけです。
定期的に繰り上げ判定日時が設定してあり、当初預け入れ時に定められた金利がその日の市場金利よりも低い場合は継続されることになります。
円貨型満期変動定期預金
円貨で行う満期変動型定期預金は、
- 金利が一定で変わらないタイプ
- 金利が繰り上げ判定日ごとに上がっていくタイプ
とあります。円貨で行われる満期変動型タイプの仕組み預金は中途解約しない限り完全に元本保証のある定期預金です。
最低でも金利が0.20%~0.30%前後、最長で10年延長された場合には0.60~0.80%、中には1.0%くらいまで金利が上がる可能性もあります。通常の定期預金では有り得ない金利です。
外貨型満期変動定期預金
外貨で行う満期変動型定期預金は、金利だけでなく為替レートによって円貨よりも高い利益を狙うことができる預金です。その代わり、為替レートによって大きな損失を出すリスクも高くなります。
外貨型では外貨預金のしくみがベースとなるので、為替レートの動きによって左右されることになります。
通貨が変動するタイプ
通貨が変動するタイプの仕組み預金とは、
預け入れる通貨、利息で払われる通貨、満期日に払い戻される通貨が異なるものをいいます。
通貨が変動するタイプの仕組み預金は為替差益の利益が大きいほどメリットが少なくなりますが、利息によって元本を増やすことにができます。
為替差益の損失が大きい時にはかろうじて外貨のままで払い戻しとなりますので、円安が進む時期を待つことも可能です。換金による損失を防ぎながら、利息を得るというメリットがあります。
外貨で預け入れる場合
外貨からスタートする仕組み預金は、仕組み預金を始めるために外貨普通預金に外貨を預け入れる際の手数料がかかることを考慮する必要があります。すでに外貨普通預金に外貨がある場合はそれを使って始めることができます。(通貨による)
外貨普通預金にてある程度長期で外貨を保持していく人にメリットがある方法となります。
金利
金利がかなり高い設定になっていますが、1か月~3か月程度の短期ものが主流です。金利は平均的な外貨の金利より2.0%~3.0%上乗せされることが多くなります。
利息と払い戻しの通貨は、その仕組み預金の判定日に特約レートから外貨がどのように動いているかによって異なります。利息は、特約レートにかかわらず円貨で支払われるもの、外貨で支払われるものもあります。
特約レート
特約レートとは外貨で払い戻しをするか円貨で払い戻しをするかの判断基準となる「為替レート」のことです。例えば、「1ドル=110円」などと仕組み預金を開始する際の為替レートに応じて定められるものです。
判定日
満期時には判定日(商品によって前日、当日など異なる)が設けてあります。円貨で払い戻しをするか外貨で払い戻しをするかを決定する日のことです。
判定方法
特約レートと比較して預け入れた外貨が円安か円高によって、払い戻しの通貨が決定される仕組みになっています。
出典:住信SBIネット銀行 参考リンク
- 特約レートよりも、円安が進んだ場合は特約レートによって円で払い戻しされます。
- 特約レートよりも、円高が進んだ場合は外貨のまま払い戻しとなります。
円で預け入れる場合
円で預け入れる場合も同様に、判定日に円の動きがあらかじめ定めた外貨に対してどのように動いているかによって、外貨で払い戻しをされる場合と円貨で払い戻しをされる場合と分かれます。
仕組み預金と定期預金の違い
以上ご説明した内容が、仕組み預金の基本的なしくみになります。
仕組み預金の一番の魅力とは、通常の定期預金よりも金利が高くなることです。かといって、それなら普通に定期預金に入れるよりは仕組み預金の方がお得ではないか、とリスクを考えずに始めると危険でもあります。
では、ここで仕組み預金と定期預金の違いをしっかりと把握しておきましょう。
円定期預金との違い
円定期預金の場合は、金利と期間が最初から約束されています。また、仮に中途解約したとしたとしても元本を割ることはありません。
仕組み預金の場合は、長期間にわたって優遇された金利を満喫することができる代わりに、予定外に期間が短くなってしまう可能性もあるということです。
さらに、中途解約した際には、元本割れの可能性が高くなってしまいます。
とくに外貨が組み込まれている仕組み預金の場合は、満期まで保持した場合でも、元本割れの可能性がある部分を注意する必要があります。
外貨定期預金との違い
外貨定期預金と何が違うのかというと、仕組み預金の場合は為替差益を重視した取引ができないという点です。
外貨定期預金の場合は金利プラス為替差益による利益を狙います。ところが仕組み預金の場合は為替差益でどんなにプラスになったとしても特約レートによって円に換算されますので、円安が進むメリットが受けれないことが大きな違いとなります。
その代わり、仕組み預金では外貨定期預金では実現しない高金利の適用が実現できる点で有利です。
ちなみに定期預金・外貨預金の金利の相場についてもっと詳しく調べたい方は、以下の記事をご覧ください。
仕組み預金のメリットとデメリット
このように、仕組み預金は円定期預金とも外貨定期預金とも全く性質が異なる預金です。
大手や地方銀行の定期預金では相場は0.01~0.02%、ネット銀行で0.2%前後、が金利の相場であることを考えれば、確かに仕組み預金はダブル、トリプルでお得な預金方法です。
しかし、メリットとデメリットを十分に理解することが必要な預金方法でもあるのです。
メリット
金利と期間
円普通預金にしても外貨定期預金にしても3年、5年、10年と継続したとしても、金利が上がることはありません。たまにキャンペーンもので0.25~0.30%と高い金利がつく場合もありますが、ほんの1カ月~長くても3カ月です。
しかし、仕組み預金であれば、もちろん銀行の判断にもよりますが、これまでだと0.40~1.10%くらいの金利が最長で10年継続できています。
そうなると、大きな利益を期待することも可能です。
金利を低めに見積もって、0.30%から0.40%の金利で考えたとしても・・・
300万円預け入れた場合は、
→利息は約21,510円
→6年間で約43,020円
さらにその後2年間金利がアップしたとして、
→利息は約19,120円
8年間で62,140円の利息を受け取ることができるのです。
最高の投機になる
というように、預金という枠で考えると最高の投機になるといえます。
本格的な投資をするのは抵抗がある、でも金利でどうにか利益を得られないだろうか・・・といった人にとってはこの上ない機会となるでしょう。
また、仕組み預金の判定で円貨から外貨に切り替えられた場合は為替手数料がかからず外貨普通預金を継続していくことも可能です。
外貨預金を利用できる
さらに、すでに外貨預金を利用中の人であれば円安が進めば為替手数料なしで円で払い戻しを受け取り、同時に利息も受け取ることが可能です。
通貨変動型の仕組み預金の場合は、短期ものになるので、為替差益で損失を出すとしても、そんなに大きな金額になることはありません。(一概には言えませんが・・・)
いずれ外貨預金を始める人にとっても、ひとまず1か月程度仕組み預金で利息を得て、円高であればそのまま外貨のまま継続していくという方法もあります。
デメリット
金利・期間
金利は高めに設定されてありますが、長期的に必ず高い金利が適用されるとは限らないことです。金利の見直しが定期的になされ、銀行に不利だと判断された場合には満期の繰り上げが行われてしまいます。
長期での利息を期待していても、途中で断念せざるを得ない場合もあります。
中途解約のリスク
仕組み預金では、契約期間にかかわらず中途解約ができない商品です。やむを得ず中途解約をした場合には元本割れの可能性が高くなります。
デリバティブという商品の性質上、途中で解約するということは、銀行があてにしていた資金の穴埋めをしなければならなくなり、預金の再構築をする費用が発生してしまうからです。
損害料・再構築費用が払い戻しの際に算出されてしまいます。中途解約しなくて済むように、必ず使う予定のない、余裕資金を預金することが最低条件となります。
為替差益のリスク
通貨変動型の場合は、特約レートが適用されることで円安が進んだとしても円安によって本来受けるべき為替差益の利点を活かすことができません。極力為替変動が少ない場合にメリットがあります。
どんなに円安が進もうとも、開始日から特約レートの差額のみが算出され、不利な条件で円貨に換金されてしまいます。
金利がいかに高いといっても、為替差益による損失が大幅に利息の金額を下回る可能性も考慮しておく必要があります。
実際に仕組み預金を見てみよう
以上のように、仕組み預金は高い金利がつく代わりに、預金をする側には不利となる条件も備えられている預金です。
リスクを十分に理解した上で取り組む必要があります。
それでは、実際にどんな仕組み預金があるのかを見てみましょう。
東京スター銀行
スタードリーム円定期預金
- 満期まで保有で元本保証の定期預金
- 最長10年間(繰り上げあり)
- 適用金利0.30%(金利一定型)
- 最低預入金額100万円以上1円単位
スター銀行のスタードリーム円定期預金のメリットは、利払いが1年に1回設定されてあることです。
SBISBI新生銀行
パワーステップアップ円預金
- 満期まで保有で元本保証
- 最低3年間~最長10年間
- 適用金利0.30~(段階ごとに金利が上がる)
- 最低預入金額/窓口・電話300万円以上/ネット30万円以上
最低でも3年間は金利が一定となります。3年目、6年目、8年目と金利がアップしていくメリットがあります。
じぶん銀行
外貨ステップアップ定期預金
米ドルステップアップ定期預金3年
ユーロステップアップ定期預金3年
豪ドルステップアップ定期預金3年
- 為替差益による元本割れの可能性あり
- 3年もの定期預金(2年以降繰り上げ満期・金利変動あり)
- 最低預入金額1000通貨以上
- 金利/申し込み日による
基本的な外貨定期預金に最後の1年間が金利が2倍になる可能性がある定期預金です。最低2年間は固定金利がつき、最後の1年間は市場金利によって判断されます。
住信SBIネット銀行
外貨型仕組み預金オセロー
- 為替差益による元本割れの可能性あり
- 1か月満期の特約型定期預金
- 外貨で預け入れ(1,000通貨以上)
- 特約レートにより払い戻し通貨の確定
- 金利/年率 5.00%~9.00% 通貨による
特約レートが適用されたケースは過去のデータから見ると50%くらいで、半々の確率となります。上記のサイトにてこれまでのデータの確認がして頂けます。
まとめ
今回は、銀行が提供する数ある商品のうち、仕組み預金について解説致しました。
仕組み預金にも、様々なタイプ様々な条件があり、元本保証を受けながら金利で稼いでいく方法もあります。外貨が絡む仕組み預金は、確かに預金者にとって不利な面もあるのは否めません。
ただ、仕組み預金によって2倍・3倍の金利にて利益を得る可能性があることも事実であり、預金という商品から一歩踏み出していきたい人にとっては、リスクを負って稼ぐことを知る絶好の機会ともなります。
円定期、外貨、通貨変動型、短期、長期と多彩な仕組み預金がある中で、どのタイプが自分の預金方法に合っているのかを吟味して、リスクを覚悟した上で仕組み預金に取り組むことが大切です。