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ガソリン代が再び高騰しております。
バス、タクシー、運送車両、配達車、営業用車両など、車を使うことがメインの業務や企業でガソリン代出費の拡大が避けらない状態です。
原油やガソリンなどの価格が上下することに対して、資源を持たない日本においてはどうすることもできません。
ただそこで、その現実を目の前にもはや手を打つことはできないのか?このまま異国の資源情勢に委ねてしまうだけでしかないのか?
実は、ガソリン代を抑える方法として、ガソリン価格そのものに目を向けるのではなく、もっと違った方向からアプローチをしかけることで成し遂げられることがあるのです。
普段の仕事の仕方や業務ルールの変更、また社会人としての考え方等に及ぶような、ひょっとするとそれなりの苦痛を伴うことがあるかもしれません。
ただ、これまであまり目を向けられてこなかったような思いも寄らない観点や、他人から指摘されなければ気づかないであろうポイントを含んでおりますので、ガソリン代削減の新しい切り口としてうまく取り組んでみてもらえればと思います。
ガソリン価格はレギュラーも軽油も高騰中
そもそも今なぜガソリン価格が下がらないのでしょうか?以下にその理由を挙げてみます。
- 協調減産の延長
- 政治的な問題
- 原油相場
「1.協調減産の延長」
これは、OPEC(石油輸出国機構)とロシアなどの非加盟産油国が、原油の「協調減産」を2018年3月までの実施としていたところ、同年末まで延長するとしたものです。
つまり供給量を減らす期間を延長させたわけです。そして原油やガソリンなどが手に入りにくい状況がまだしばらくは続くことで、ガソリン価格も下がりにくくなっているということなのです。
「2.政治的な問題」
これはいくつかの事象がりますが、そのうちの1つとしては、2018年5月にアメリカがイラン等と結んでいた「核合意」(核開発削減の合意)の輪から外れるといった行為や、イランへの経済制裁によるイラン国内の情勢悪化があります。
またアメリカとサウジアラビアの対立や、石油埋蔵量世界一位のベネズエラでの長引く不況や政情の不安定さなどが価格が下がらない要因となっております。
「3.原油相場」
次の画像は原油先物の価格推移のグラフとなります。直近において大きく値下がりしておりますが、当サイト的な分析をしてみますと、直近の価格は分析上重要な「ものさし」(200日移動平均線、オレンジ色の曲線)によって下落が抑えられております。
また直近(2018年12月)の前の10月から11月にかけての大きな下落から反動が起こる可能性もあり得ることから、まだガソリン価格は十分には下がらないだろうと考えられます。
出典:Investing.com
日常的となっている?車両のアイドリング
アイドリングの現状
車のアイドリングについては、環境への悪影響の話がよく取り上げられますが、支出の面においてもやはりいいものではありません。
アイドリングの例としましては、交差点における赤信号時のアイドリングだけでなく、移動先へ到着後に顧客や同僚との立ち話・長話しによるエンジンのつけっぱなし、工事現場などではその時の作業に必要でない車両がずっとエンジンが付いたままなんていう例などがあります。
日常的にアイドリングが起こるケースは、日常的であればあるほど現場の社員にさえ気付かれにくく、普段はこういったことへの関心よりも営業成績だったり仕事の進捗具合への意識が強いため、無駄な出費の要因として上まで上がりにくい性質を持っています。
そうなりますとガソリン代の支出伝票をいくら確認しても、業務で必要なルート範囲内での利用を厳格に守っていたり、車両の目的外利用をどんなに謹んでいても上記のようなアイドリングのケースを発見することができないこととなってしまいます。
車両利用の実態を把握
こういったことを防ぐには、業務の様々な面を徹底的に調べることが必要となってきます。
数字から真の実態を発見することが難しい類ですので、社員の車両使用の現実をつぶさに見ていくことが、遠回りなようで実は最適な方法となってきます。
ただこの方法は幾分社内監査的な作業内容となり、その担当者の人選や本人のその後の社内評判への影響等が心配されてきますので、慎重な人選と見返りに対するデメリットも予め理解しておくことが大切です。
この方法は、ガソリンを使うか使わないかという最も根本的な部分の内容ですのでその効果は大きいのですが、そう簡単に取り組めないかもしれません。
この後に続きます他のやり方や既存の節約方法等も駆使し総合的に無理のない取り組みを図っていくことも賢明な方法です。
17時前の帰社がためらわれる現実
特に営業業務に就いている方に上記タイトルの意識が強いのではないのでしょうか。
ただもちろん営業ばかりではありません。出先で労務作業を行う業務の場合でも、作業が丸一日に及ばない日もありますので、やはり17時前の帰社をためらってしまうことがあります。
また、社員が出先からあまりにも毎日きれいに17時前後に帰ってくる場合も注意です。日々の業務には様々な困難や壁、また予想外に業務が早く終えられる場合があると考えるのは、強く言い切れるわけではないとしても現実的です。
管理能力の点では素晴らしいかもしれませんが、ちょっとでき過ぎている側面があります(もちろんその業務内容による所もありますが)。
なぜ17時前の帰社が敬遠されるのか?
社員としては、ヒマな状態を特にその上司や代表者に知られるのがマズいからというのがその要因の1つに挙げられます。
日本における職場の性質として、定時までは頑張っていないといけない、自分だけサボッてるような振る舞いはマズいなどといったものがあります。
ただ、これはかなり表面的な側面です。たまたま仕事がひまになったのに、無理にその状況を改善しようとしますと、帰社せず車両を乗り回すことになったりコンビニの駐車場でエンジンを付けたまま数時間滞在するなどといったことに繋がります。
また、昨今の日本の夏場においては、車の中でエアコンを付けずに過ごすことは人命にも関わるほどの大変危険な行為です。
ではこういった現状をどのように改善すればいいのでしょうか?
これまでの発想を改める
やはり17時前の帰社に否定的にならないようにすることです。
その日の業務が終わり、他の業務は明日以降でも対応できるというのでしたら、なるべく帰社させるようにしたり、場合によっては帰宅を許可するのも賢明な方法です。
業務は常に「合理性と現実性を豊富に含んだもの」であります。それなのに、無理やり仕事をさせたり不自然な行為を誘発させることは、合理性に欠き本来あるべき業務の姿ではありません。
また、あらゆる作業や行為にはガソリン代のみならず何らかの経費が伴っていることが多いですので、仕事してるフリをさせることは周囲からは好印象かもしれませんが、利益にならない出費ばかりの営みであるわけです。
企業の体質
上記で取り上げましたアイドリングにおいても関係してくる内容ですが、ここでは、会社という組織そのものの観点からガソリン代を抑える秘訣を説明していきます。
一般的な経費意識
「望ましくない意識」
車両は会社のもの(個人所有の車を使っている方もおりますが)を業務で使っていることから、一個人としてガソリン代に対する経費としての意識が一般的に低い傾向があります。
これはガソリン代に限らず他の出費におきましてもレシート以外に領収書の請求や「経費でいけるから」といった感覚が一般サラリーマン全体にあるものです。
先ほどのアイドリングにおきましても、その経費意識の低さから生まれる問題でもあります。
「対処方法」
その教育にあたっては、決算資料や経費等の説明、会社全体の方針や経営者の根本的な考え方を末端業務に携わる社員にも知ってもらうことがまず1つあります。
また担当業務の処理にあたっては目の前のノルマを達成させるだけでなく、「会社全体の中で自分がどういった影響力を持っているのか」を考えさせる事も大切です。
日本が長い不況の中にありましても、社員の中にはほとんどそういった意識の無い人間も一定数存在するのが現実です。
経営者や管理職などの責任のある立場の人と、一般社員の間に様々な面で意識の隔たりがあることを認識することが重要です。
経理担当者は女性が多い
そもそもどうしてこういった実態となっているのでしょうか?経理が有能であれば男性社員を使ってもいいのです。
税理士や会計士は男性が多く頼りにされやすい傾向があります。また大きな会社の「経理部・会計部門」といった単位の場合は性別による差はあまり見られません。
こういった業務や部署の割り当てにおける性別の影響の中で、そういった意識を払いのけ適材適所で人事を考えることが大切です。
同じ下請け業者を長らく利用する姿勢
ある程度大規模な企業や業務の性質上外注が多い会社など、または企業社会全体において親会社・下請け会社といった関係が存在しております。
一度築かれたそういった関係は、よほどの理由が無ければ長期間継続的に保たれる傾向があります。
親会社としては同じ下請け先を使っていた方が、事務引き継ぎや業務指示の手間も少なく重宝されるものです。
また、中間企業の存在が金銭面の理由から社会問題となるケースもあるなど、日本ではもはやかなり固着化した組織の在り方でもあります。
「同じ下請けを使い続ける弊害」
長年の付き合いの中でその下請け会社の真の貢献度や疑念といった発想が湧き上がってこないフシがあります。
しかしこれは、たとえその下請け先にこれといった問題が無かったとしても、自社を含む周辺環境への固定観念化が強力に進む要因となり、ガソリン代においてもそれは経営の中の単なる1要素として、メスを入れることから遠ざかってしまうことになるのです。
ガソリン代は経常的な経費として普段はあまり日の目を見ない存在ですが、それは単に人間の意識の在り方であり、脅威の一部は私たちの意識とは関係のないところからやってくる場合があるのです。
「対処方法」
物理的、地理的、または法令等の理由でどうしてもそうなってしまう事があるかもしれませんが、下請け業者の例はその目配りの習慣がないという例です。
特に長期間に渡って関わっているもの(人・物)については、1度様々な視点から見直しや修正を行っていくこと、そして「新しい姿勢」を築き上げることが大切です。
またこの項目は市場の動向が目まぐるしく変化する、特にITや先端技術と関わる企業ではそこまで心配することは無いかもしれませんが、その他の既存の業界に属する企業において十分検討する必要があります。
法人ガソリンカードについて
出典:(株)ジェーシービー
ガソリン代の支払いやその支出管理等で「法人ガソリンカード」は大変便利な存在です。
*法人ガソリンカードについて
業務車両の台数が多い事業所や、頻繁にガソリン代の決済が発生する企業で特に重宝するこのカードですが、その使い方について注意しておくべきポイントがあります。
カードだけでガソリン代が減らせるものではない
法人ガソリンカードを所有していても、ガソリン単価は事前に契約した価格であったり、ガソリンスタンドの店頭価格であるカードがほとんどです。
特に年会費が無料のガソリンカードにはポイントサービスやキャッシュバック特典といったものが無く、決済が多ければ当然出費がかさんでいくこととなります。
「カードの利用方法」
法人ガソリンカードの大きなメリットとしては、
- 社員による現金での支払いをさせないことによる支払い作業の簡素化
- 支払い履歴・明細による出費の管理
1.も便利でよいのですが2.の「支出管理」は大変重要で、これを活用し普段のガソリン支出の動向を把握したり、それによってガソリン代を減らす対策を練るといった使い方が重要です。
クレジット機能付きカードの目的外利用
クレジット機能の付いたカードは、ガソリン代以外にもそのカードブランドを取り扱っている店舗で通常の買い物等を行うことができます。
しかしこれはメリットでありデメリットでもあります。
一番想像しやすいデメリットとしては、業務に必要のない物品の購入に使われてしまうことです。
例えば「シナジーJCB法人カード」(ゴールドカード)の場合、利用限度額が最大250万円となっていて、一通りのショッピングが手軽にできてしまいます。
出典:(株)ジェーシービー
クレジット機能付きの法人ガソリンカードは個人で使われるクレジットカードよりも限度額が高めであり、個人版カードのゴールドやプラチナクラスといった存在です。
また利用料の返済が滞りなく行われていれば、カード会社からの手厚い優遇も期待され、目的外利用をさらに促進させるものとなっていきます。
「対処方法」
月並みかもしれませんがやはり定期的な利用明細のチェックを怠らないようにすることが大切です。
上の方でもお話ししましたように、そういった表面上の存在感にとらわれず興味・偏見のない柔軟な物の見方を備えることが不正行為を防止する上で重要なことです。
データ整理で満足してしまう
ガソリン代の決済状況をチェックする際には、エクセルや会計ソフトなどを使って細かい数値や日付などを追いながらデータの整理や集計作業などを行っています。
扱う車両数が多かったりしますとそれだけ作業量も増加していくことになりますが、きれいにうまくデータ処理を済ますことができれば、作業の達成感ややりがいを大きく感じられる場合もあります。
「法人ガソリンカードを導入する意義」
法人ガソリンカードを使いその支出状況を把握する目的は、その後の経費節減や適切なカードの利用を図ることにあります。
毎月カード明細のデータを事務的に処理するだけで、そこからどういったことが見えてくるのかを分析しなければ、数値等のデータが経理担当者の元を離れ有意義に転用されることはなく、カードを利用してない状態と変わらないものとなります。
まとめ
企業におけるガソリン代の節減方法を主に物理的ではない方向から説明してきました。
様々な方法がネットや書物から手に入る中で、そいった情報をすでにやりつくしている組織もあるのではないかと思われます。
特に人間の「意識」といった面については、なかなか気が付かないことだったり、認識できたとしても心理的に受け入れることが難しかったりします。
ただ、やっかいでありながらもまだ改善の余地が残る場所であり、その取組の効果を期待したいものです。
以下に今回の内容をまとめておきます。
- ガソリン価格はまだまだ上昇する可能性がある
- 無意識にやってしまう車両のアイドリングを社員の意識レベルから食い止める
- 17時前の帰社も経費的な面から認めるようにする
- 企業体質の固定的な側面を見直し柔軟な発想であらゆることに取り組む
- 法人ガソリンカードはその後の利用明細の分析が重要