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不動産投資といえば不動産会社、銀行、ローン、投資信託で始めるにしても証券会社など、どうしても堅いイメージが先行し、初心者にとってそれが大きな壁ともなってしまいます。
もっと気軽にできる投資があれば少額から始めてみたいと思う人もいるのではないでしょうか。
投資の初心者におすすめなのが、今、徐々に注目を集めている不動産クラウドファンディングです。
不動産クラウドファンディングなら、仕組みもわかりやすくシンプルだから、投資の初心者でも少額からまずは試しに始めてみることができます。
今回は、不動産クラウドファンディングとは何なのかをわかりやすく解説します。
不動産クラウドファンディング
不動産クラウドファンディングとは、主にアパートやマンションなどの不動産に投資を行うことをいいますが、自分で不動産を購入する必要がないことに大きな特徴があります。
クラウドファンディングは最近オンラインで少額から不動産に投資ができることから、話題になっている新しい投資方法の1つです。
クラウドファンディングとは
クラウドファンディングとは、
Crowd (クラウド/不特定多数の集まり)から、
Funding(ファンディング/資金を集めて投資を行うこと)を意味します。
個人事業者やベンチャー企業などがクラウドファンディングの運営元となり、一般の人達(投資家)から資金を集めて投資を行う投資方法のことをいいます。
資金を集めて投資をするという点では、投資信託とも似ていますが、投資の内容を具体的に自分で選ぶことができます。選んだら、後は運営者に任せておけるから安心です。
また、オンラインを通して資金提供者の募集、資金の回収、運営状況の報告、分配金の支給などが統一されています。
クラウドファンディングの目的は、
などを普及拡大させていくために、その企画の立案者は一般の私達にオンラインを通して「資金の支援」を呼び掛けているのです。
その企画に賛同できる場合には、本人の判断で自由にそのファンドに加わることができます。
投資とはちょっと異なりますが、クラウドファンディングの原型のような行為は、意外と身近なところでも、当たり前に行われています。寄付や募金、カンパなどがその例です。
クラウドファンディングの身近な例
身近な例で例えると、
例1)
大学のサークル内で必要な設備を購入したい。
サークルのリーダーは、サークルのメンバーやその他の学生に設備購入の募金活動を行います。
→支援したい人は可能な範囲で1円から募金箱にお金を入れます。
集まったお金でリーダーは、サークルに必要な設備を購入します。
→サークル活動は活性化していきます。
例2)
社内で知り合った2人が結婚することになりました。ところが2人とも、生活に窮していたことから結婚式はしないことを皆に公表します。
形だけでも何かパーティーがしてあげたいと思った上司は、社内でカンパを募ります。
→賛同した社内の人は、それぞれの判断で妥当と思われる金額をカンパします。
結婚パーティの資金を集めた上司は結婚パーティーを結婚する2人にプレゼントします。
→社内の人間関係が円満に活性化していきます。
このように、
何かを目的に資金を集める→そういうことなら、資金を提供してもいい(あるいは積極的に提供したい)
という考え方から、クラウドファンディングは成り立っています。
クラウドファンディングの仕組み
クラウドファンディングが、身近にみられる募金やカンパとその仕組みが大きく異なる点は、そこに、ビジネス性が大きく関与しているということです。
クラウドファンディングの運営者は、
という目的が根底にあるということです。
※もちろん、クラウドファンディングの中には非営利目的で行われるものもあります。
そして、もう1つのクラウドファンディングの仕組みとしては、投資の要素が強いということです。つまり、クラウドファンディングで資金を提供した場合には、利益の一部が現金や何等かの形で、資金提供者に還元されることが期待されているわけです。
以下のサイトでもクラウドファンディングに関する記事がご覧いただけます。
クラウドファンディングの種類
それでは、大まかにクラウドファンディングにはどのような種類があるのかをご紹介いたします。
クラウドファンディングは大きく3つの種類に分かれます。
- 寄付型→金銭的なリターンはないが資金を提供
- 投資型→金銭的なリターンを期待して資金を提供
- 購入型→商品やサービス自体を購入して資金を提供
- 融資型→事業者に資金の融資を行っている会社に資金を提供
※今回のテーマである「不動産クラウドファンディング」とは「投資型」のクラウドファンディングになります。
融資型のクラウドファンディングは、ソーシャルレンディングとも呼ばれているもので、これからご説明致します。
ソーシャルレンディングとの違い
「クラウドファンディング」という言葉を見聞きする中で、同時によく出てくる言葉が「ソーシャルレンディング」です。
不動産クラウドファンディングのことを、不動産型ソーシャルレンディングと呼ぶ場合もありますので、混乱してしまう人もいるでしょう。
ソーシャルレンディングとは何なのでしょう。クラウドファンディングとはどう違うのでしょうか。
ソーシャルレンディングとは
ソーシャルレンディングを直訳すると、
Social(ソーシャル/社会、社交、コミュニティなど)
Lending(レンディング/貸す、貸すこと、融資)
となり、ソーシャルレンディングはお金を貸す人達のコミュニティという意味になります。
ソーシャルレンディングの仕組み
まず、
ソーシャルレンディングの運営会社は、資金を一般の不特定多数の人達から集めます。
そして、
資金を借りたい個人事業主や中小企業に集めた資金を融資します。
そこで、
ソーシャルレンディングからお金を借りた企業は利息や手数料を支払います。
その利息や手数料の一部が、
資金を貸した人達に分配金として還元されていきます。
融資型の投資であることから、融資型クラウドファンディングと呼ばれることもあります。
何が違うのか
クラウドファンディングとソーシャルファンディングの根本的な違いは、
資金を集める目的
「資金を必要とする会社に融資するために資金を集める」ソーシャルレンディング
「自分たちの事業や商品・サービスなどの運用に使うために資金を集める」クラウドファンディング
運営者は
「金融商品取引法によって事業者登録をしている」ソーシャルファンディング→金融業
「個人、事業主、中小企業など誰でも運営できる」クラウドファンディング→事業の運営会社
クラウドファンディングは「投資家」と「事業者」の2者間で行われる。
ソーシャルファンディングは「投資家」と「事業者」の間に入るもので、3者間で行われる投資方法。
※ソーシャルファンディングはクラウドファンディングの1種だと見ることができ、融資型クラウドファンディング、貸付型クラウドファンディングなどとも呼ばれています。
なぜ不動産クラウドファンディングなのか
それは、不動産クラウドファンディングの仕組みがとても簡単で投資に取り組みやすいからです。
また、東京オリンピックなどで必要となる、賃貸や宿泊施設などにテーマを絞ることで、投資目的がシンプルで誰にでもわかりやすい点でもおすすめなのです。
不動産クラウドファンディングの仕組み
「不動産クラウドファンディング」は「不動産特化型クラウドファンディンク」とも呼ばれているもので、先述のように、不動産型のソーシャルレンディングと混同される場合もあります。
それでは、不動産クラウドファンディングの仕組みを解説していきましょう。
不動産クラウドファンディングの基本
通常の不動産投資とは、投資家が直接資金を用意して不動産を購入することから始まります。不動産クラウディングでは、不動産を購入する事業者(運営会社)に資金を提供します。
そして、不動産関連の事業者が集めた資金でアパートやマンションなどの収益物件を購入して運用を行います。
不動産クラウドファンディングによって投資家は、
- 不動産の売却益
- 家賃収入
の一部を分配金として受け取ることができるのです。
貸付型不動産クラウドファンド
また、不動産クラウドファンディングには「貸付型」クラウドファンディングと呼ばれるものがあります。
貸付型の不動産クラウドファンディング(ソーシャルファンディング)は、
期間を定めて資金の貸し付けを行います。不動産業者と投資家の間に資金集めと目的とした会社が1社加わったものです。
その際に投資家は資金収集をした会社から、
- 不動産の売却益
- 家賃収益
- 利息
の一部を利益として受け取ります。利息が加わる点ではメリットは高いと言えますが、間に1社入ることで分配金も間接的には差し引かれていることになります。
運用期間
運用期間はそれぞれ不動産クラウドファンディングの運営元や、不動産物件によって異なります。
1~3か月程度の短期の物件もあれば、1~2年またはそれ以上と長期に渡って運用するものと、期間は様々です。
中途解約が可能なもの、満期まで解約不可能なものとありますので、事前に確認するよう注意して下さい。
費用
不動産クラウドファンディングの投資金額(購入費用・貸付金額)は、「一口いくら」で表記されるものが多くなります。
最低投資額は、不動産クラウドファンディングの運営元によって様々ですが、
一口1万円~の少額投資が可能です。(一口の単価は様々です)
投資方法
投資を始める前に大切なのは、不動産クラウドファンディングを運営しているサイトをいくつか比較してみることです。
どんな不動産に(アパート・マンション、戸建て)投資をするのか、自分が借りる・購入するような目線で探すことができます。
運営方針によっては、あまり細かく情報が得られないものもありますが、その分運用方針や運用実績が充実しているなどが、判断の基準になるでしょう。
気になるサイトをいくつか比較して、投資したいクラウドファンディング(物件)が決まったら、そのサイトにて無料会員登録を行い、購入手続きをします。
利回りとは
利回りとは、投資総額に対する利益が年率でどれくらいの比率になるかを表したものです。
表面利回り→12カ月分の家賃が入ったと想定した上での利回り
予定利回り→予想されいる利回り
実績利回り→実際に得た家賃収入と投資額から計算された利回り
運用利回り→これまでの運用実績によって計算されら利回り
というように、利回り情報は過去のデータや予想されるデータに基づいて計算されたもので、けっして将来を約束するものではありません。あくまでも参考資料として見ておくことが大切です。
利回りが高いほど、利益も多くなるわけで、この利回りを基準にして物件を選ぶのも1つの方法ですが、利回りにこだわりすぎると失敗する場合もあります。
利回りについて詳しく知りたい方は、以下のサイトを参考にして下さい。
不動産クラウドファンディングのメリット
気軽に楽しみながら投資ができる
オンラインでサイトを調べて興味があれば、投資するしないは別にして簡単に無料会員登録をして検討することができます。株式やFXのように証券会社の仕組みを理解して口座開設したり、複雑な取引ツールの操作方法を覚える必要もありません。
まして、不動産投資のように、物件を実際に見て回って、ローンを組んで、契約をしていくとなれば素人には非常に困難です。
不動産クラウドファンディングなら運用はすべてプロに任せて、よくある不動産情報の賃貸情報やモデル住宅の広告を見る感覚で楽しみながら投資物件を決めることができます。
投資内容もアパート、マンション、戸建て、(たまに商業施設もある)と限られており、住む家、住む部屋、宿泊する場所として不動産を身近に考えていけるからシンプルです。
費用がかからない
通常、不動産を購入して投資を行うとなれば数百万~数千万円の資金がかかりますが、少額1万円からできる案件もあるので、まずは試しに始めてみることができます。
購入にあたって手数料がかからない点も大きな魅力となっています。
将来性がある
不動産クラウドファンディングが一般的な事業として公開されるようになったのは、ごく最近のことです。
- 東京オリンピックの開催
- 都心部の賃貸の需要
- 民泊の普及拡大
- 世帯数の増加
- 空き家活用など中古住宅の活性化
などの新しい視点から気軽に投資ができる不動産クラウドファンディングが、今注目され始めたところです。まだ新しい分野であることからも今後の展開が期待されています。
不動産クラウドファンディングのデメリット
情報が少なく前例がない
メリットでも述べたように、不動産クラウドファンディングがネット上で一般的に取り扱われるようになったのは最近のことです。これから伸びていく分野かもしれませんが、同時に、前例が少ないことから比較するデータに欠ける点が不安要素となります。
実際に不動産クラウドファンディングで色々と検索してみるとわかりますが、現在入手できる情報もまだ少なく、選ぶ物件にも限りがあるのが難点です。
元本割れのリスク
不動産クラウドファンディングでは元本保証はないので、投資した金額が予定通りに償還されない可能性もあります。空室が続き収益物件から家賃収入を得られなければ、利益にはなりません。
不動産の価値が低下してしまい、その分償還される金額も少なくなってしまいます。
これは、どんな投資にも言えることですが、常に損失を抱えるリスクは覚悟した上で始める必要があります。初心者の方は最初は1万円で様子を見てみるといいでしょう。
信用リスク
大手不動産会社、大手証券会社、大手銀行などと違い、不動産クラウドファンディングの運用会社はほとんどがベンチャー企業やスタートアップ企業であります。
会社自体がまだ新しく、歴史も浅いことから、倒産の可能性は大手企業に比べると高くなります。
また、新しいタイプの不動産投資が期待されながらも、人口減少による不動産の低迷が危惧されているのも事実で、不動産クラウディングという分野がどこまで伸びていくのか不明な面があることは否定できません。
これからの不動産ニーズにしっかり応えることのできる運用会社・運用者の情報をしっかりリサーチして始めるようにしましょう。
まとめ
クラウドファンディングやソーシャルレンディングは、寄付や募金、カンパなどの形態がビジネスへと展開したものですが、実は似たようなことは昔から行われていたことなのです。
学校、市町村、企業、個人、近所のコミュニティ、社内、友人間、親戚間などで何か必要なものを購入する際に、「1人で資金を出すのは無理だけど、何人分か集めればどうにかなるだろう。」という考えが根底にあり実現されてきたものです。
大企業が販売する保険商品も、大規模な数の加入者が払う保険料によって支えられていることを考えれば、クラウドファンディングから展開したビジネスだと言えるでしょう。
株式や債券、FXも結局のところ基本的にはクラウドファンディングと似たようなものです。買い手が集まり資金が増えることで商品の価値が上がったり、運用効果が高くなったりして利益が生じます。
その利益の一部が、資金を払い支援した私達投資家の手元に戻ってくるのです。
不動産クラウドファンディングは、「投資」の基本を学ぶ上でも非常に役に立つ初心者におすすめの簡単投資法です。まずは、どんな不動産クラウドファンディングに投資ができるのか調べてみませんか?