3分でわかる!「相続放棄」の手続き・メリットデメリットをどこよりもわかりやすく解説

相続というと、

Woman
資産家の方が亡くなった場合に、その遺産を相続人の方たちで分け合ったりすることをする制度なので、親に資産のない自分には一切かかわりのないことだ

こんな風に思っている方は多いと思います。

しかし、親に資産がないからと言って相続とは無関係ではない場合もあります。

Expert
あまり大きな声では言いたくないのですが、筆者である私は親がウン百万単位の借金をしてくれたので、相続放棄の制度を使いました。私は元司法試験受験生・法律事務職員という立場にあったので一人で楽して手続きができましたが、一般の方でもそれほど難しい手続きとは思いませんので、是非このページは参考にしてください。

このページでは、相続放棄という制度についての知識と実際の進め方について、筆者の経験を踏まえてお伝えしたいと思います。

相続放棄とはどのような制度か

相続放棄とは、民法の規定に従って、裁判所に対する申述によって、最初から相続人ではなかったと取り扱ってもらうことによって、相続関係から離脱することができる制度です。

Expert
「相続放棄」という言葉から、相続した権利を捨てる、みたいなイメージがあるかもしれませんが、実際には「相続人ではなかったことにする」という法律的なテクニックを使って相続関係から抜け出すことが可能になっています。

相続放棄制度の趣旨

借りたものは返すのは当たり前のことですが、どうしてこのような制度が設けられているのでしょうか。

にもかかわらず、なぜ相続放棄という制度がおかれているのでしょうか。

Expert
もし相続放棄という制度という制度がなかったならばどのような事態になるか、ということから考えてみてください。

相続放棄が想定されるケースとして最も多いのが借金などの債務の相続が挙げられます。

借金などの債務を支払うのは当然のことなのですが、もし支払いができないのであれば、親が自己破産をして免責をうけるべきであって、親がした借金を子が支払わなければならない道理はありません。

にもかかわらず、相続という事情が発生したために、親の債務を肩代わりさせられ、支払いをするか自己破産をするか、といったことを強いられるのは妥当ではないというのは容易に想像がつくはずです。

相続放棄が想定されるもう一つのケースは、相続人間が激しく争っているような場合が考えられます。

例えば父・母・子3人で、子の二人が独立して生計を営んでおり、女性で結婚していて相続財産を得ることに大きなメリットを感じない場合を想定してください。

この場合に、他の相続人が激しく争うような事態になった場合に、共同相続人で居るために争いに巻き込まれてしまった場合に、「こんなに争いながら相続財産を主張するよりも、相続しなくてよい」と感じることもあるかもしれません。

相続をした上で相続分を0とする遺産分割協議をすることもできるのですが、そもそもこの相続手続きにかかわりたくないような場合には、端的に相続関係から降りる制度があると便利です。

以上の2つの観点を総合すると、相続放棄という制度が必要であるということが言えます。

相続放棄ができる条件

後述するように相続放棄は、同じ債務からの解放ができる、自己破産の手続きに比べて比較的緩やかな手続きで相続関係から抜けることができるのですが、その利用にあたっては大きく分けて2つの条件があります。

原則として相続開始から3ヶ月の期間内に行なうこと

原則として相続開始から3ヶ月の期間内に行うことが条件の一つです。

相続放棄について規定する民法は、相続放棄の申し込みを3ヶ月以内にしなければならないとする条文があります。

ですので、相続放棄の申し込みは3ヶ月の期間内に行うことが原則になります。

ただし、3ヶ月の期間を超えた場合には、裁判所が仕方ないと認めることができる場合には例外的に相続放棄の申し込みをすることができます。

Expert
債権者側としては相続放棄をされることを防ぐために、相続開始してから3ヶ月は相続人に督促をしないで、期間経過後に督促することは債権回収のテクニックともされています。

3ヶ月の期間を超えた申し込みをする場合には、3ヶ月の期間内に相続放棄をしなかったことについて説明することが必要になります。

ですのでできる限り3ヶ月の期間内に申請をするようにしましょう。

法律で相続することを承認したと評価されていないこと

相続人が相続をすることを前提とする行動をとった場合には、相続放棄をしないで相続を証人したものと扱う民法の条文があります。

その条文にあてはまる行為をした場合には、相続放棄を利用できなくなります。

大雑把にいうと、1つは相続財産を処分したような場合で、もう1つは相続財産を隠匿したような場合をいいます。

相続財産の処分とは、たとえば被相続人の自動車を売却して現金にしたなどの行為を指します。

相続財産の隠匿というのは、そのままで相続財産を隠すような行為をいいます。

このような行為があると相続放棄ができませんので注意をしましょう。

相続放棄の手続き

相続放棄はどのような手続きで進むのでしょうか。

時系列で確認をしてください。

相続開始を知ったこと(被相続人が死亡したとき)

相続放棄の手続きの最初の始まりは相続開始を知ったことです。

相続開始の時期について民法は「被相続人が死亡したとき」と規定しています。

通常は亡くなったことを知っていることが多いので、被相続人が死亡したとき、に相続放棄に関する手続きが開始すると考えてください。

債務の調査

相続財産、とくに債務に関する調査をします。

上述した通り、債権回収を多少しっている人にとっては相続放棄に関する事項は必須の項目なので、3ヶ月の期間内に請求をすると放棄されてしまうとは知っています。

そのため3ヶ月の期間内に債務の存在を知るのは難しい場合があります。

そのため借金などの債務を抱えているのではないかと思う場合には、債務の調査をしておくことが望ましいです。

自宅に届く書類や、保管してある書類を探すと、契約書や返済時にATMなどでる利用明細などがあれば借金の存在がわかります。

銀行・消費者金融・信販会社など貸金業者に借金をする場合には、信用情報機関に借金の存在が登録されていますので、信用情報機関に相続人としての請求をすることもできます。

相続放棄の書類作成

相続放棄をしなければいけない状況であることがわかれば相続放棄に関する書類の作成をしましょう。

相続放棄の書類としては「相続放棄申述書」というものを作成します。

書類は家庭裁判所でもらえますし、インターネットでも裁判所のホームページでダウンロードをすることができます。

※裁判所のホームページ:http://www.courts.go.jp/saiban/syosiki_kazisinpan/syosiki_01_13/index.html

記載方法もこちらのページにあります。

申立の理由については、借金が多いような場合には、「債務超過である」という項目を選択します。

遺産分割に参加したくないような場合には、「遺産を分散させたくない」という項目を選択することが多いです。

この書類に追加して添付する書類が必要になります。

添付書類として必要なものについては、

全部の手続きで必要被相続人の住民票除票又は戸籍附票

申述人(放棄する方)の戸籍謄本

申述人が,被相続人の配偶者の場合被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
申述人が,被相続人の子又はその代襲者(孫,ひ孫等)(第一順位相続人)の場合被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

申述人が代襲相続人(孫,ひ孫等)の場合,被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

申述人が,被相続人の父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)の場合(先順位相続人等から提出済みのものは添付不要)被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

被相続人の直系尊属に死亡している方(相続人より下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合,父母))がいらっしゃる場合,その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

申述人が,被相続人の兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合(先順位相続人等から提出済みのものは添付不要)被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

申述人が代襲相続人(おい,めい)の場合,被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

Expert
何が必要かについてはこの表だけ見ると「すごく把握するのが面倒」という感じがするかもしれませんが、相続放棄をする人が相続人であることが書類の上で確定していなければならないのです。逆に言うと、戸籍謄本を負って被相続人と相続人の関係を証明するための戸籍謄本を全部集めれば良い、と考えておいてください。筆者は戸籍を地元においたままでしたので、地元からの取り寄せを郵送で行いました。

家庭裁判所への申し込み

必要な書類の記載が終わると裁判所に申し込みをします。

相続放棄は家事事件という種類になるので、担当するのは家庭裁判所になります。

家庭裁判所は全国にあるのですが、被相続人の最後の住所地が担当の家庭裁判所になります。

申し込みにあたっては、収入印紙800円分と、連絡用につかう切手の納付をしなければなりません(切手は裁判所によって違う)。

Expert
裁判所の担当の割り振りのことを「管轄(かんかつ)」という言い方をします。例えば東京家庭裁判所が管轄です、といわれた場合には、東京家庭裁判所が担当なのでここに申し込みをするという意味です。

裁判所が遠方にあるときでも申し込み自体は郵送でもできます

家庭裁判所からのお尋ね(照会書)

担当する家庭裁判所が申込を受理すると、その家庭裁判所は相続放棄について許可をすることができるかを判断するために、申立人に対してお尋ねをします。

書類の名前としては「照会書」というものが届きますので、これに対して同封されている「回答書」で返答をします。

事件番号 平成  年(家)第   号

平成  年  月  日

申述人    様

〒100-8956 東京都千代田区霞が関1-1-2
電話直通03-3502-0000
東京家庭裁判所家事第○部
裁判所書記官 東京 一郎

照会

あなたが申し立てた被相続人 柏 花子 さんの相続放棄の申述受理申立事件について、下記のとおり照会します。各事項について回答を記入の上、末尾にあなたの住所、氏名、電話番号を記載し、押印して○月○日までに返送してください。

1 あなたは、被相続人の死亡を、いつ知りましたか。

平成  年  月  日ころ知った。

※死亡した日とあなたが死亡を知った日とが違う場合はその理由も述べてください。また、死亡を書面による通知で知った場合は、その書面のコピーを添付して下さい。

______________________________

2 あなた又は申述人は、被相続人の遺産の全部又は一部について、これまでに処分、隠匿又は消費したこと(例えば、遺産の土地を売却したり,預金をおろして使ったりしたこと)がありますか。

(1) ない。
(2) ある。(内訳)

3 あなたは、被相続人の相続について、家庭裁判所に相続放棄の申述申立(本件)をしましたか。その申述は,あなた自身でしたものですか。それとも誰かに手続きを依頼したものやすか。

(1)申立ては自分でした。
(2)申立てを(       )さんに依頼した。
(3)申立てはしていない。

4 上記3の相続放棄の申述(本件)は,あなたの意思によるものですか。

(1)自分の意思である。
(2)自分の意思ではない。

5 あなたが、被相続人の相続について相続放棄をする理由を具体的に記入してください。

6 あなたは、自分が被相続人の相続人であることを知ったとき、被相続人の資産及び負債についてどう思いましたか。

・資産は、  1 あると思った   2 ないと思った
・負債は、  1 あると思った   2 ないと思った

7 あなたが上記6のように思った理由はなんですか。(具体的に記入してください。)

8 あなたは,被相続人に負債があることをいつ知りましたか。

平成  年  月  日ころ知った。

9 あなたは,被相続人に負債があることをどのようにして知りましたか。

※なお,債権者からの書面により知った場合は.その書面のコピーを添付してください。(既に提出いただいている場合は、添付いただかなくて構いません。)

______________________________

上記のとおり回答します。

平成  年  月  日

住所

電話番号

氏名(署名)         (印)

たとえばこのような書面が届くことになります。

相続放棄の受理

申立人から回収した回答書にのっとって相続放棄の可否を調査して、問題なければ相続放棄の受付を正式に認めます。

相続放棄受理証明書をもらう

相続放棄が認められると家庭裁判所から相続放棄が成立したことを公にする書類が送られてきます。

相続放棄受理証明書といわれ、債権者から支払いの督促受けた場合に、相続放棄をしているので請求に応じられませんと伝えるときに必要な書類になります。

Expert
相続放棄受理証明書は1通しかもらえませんので、債権者にはコピーをしてわたします。

相続放棄に関わる専門家

3ヶ月の期間を過ぎていたり、相続である程度手続きに手をつけてしまったような場合には本当に相続放棄ができるのか、といったことを専門家に相談すべきです。

相続放棄は法律事務にあたるので、弁護士と司法書士が相談に対応しています。

相続は個人の法律関係に関する法律問題なので、個人法務に強い方がよいでしょう。

Expert
相続に強い弁護士・司法書士のほか、借金問題でもあるので債務整理に強い弁護士・司法書士も対応しています。

まとめ

このページでは、借金を相続したり、相続関係から抜けたいという場合に利用する相続放棄についてお伝えしました。

このページの筆者はある程度の法律知識があるので自力でできましたが、法律知識がなくてもそんなに難しいものではないという印章です。

3ヶ月が経過していたり、相続をある程度すすめてしまった時のような例外的な場合には弁護士・司法書士に相談するなどしながら、手続きをすすめてゆくとよいでしょう。

つの
つの
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法律・マーケティング・マネー系の記事の執筆をしているライターです
【経歴】
・司法試験受験生
・法律事務所・司法書士事務所パラリーガル
・行政書士・FP資格取得
・WEBマーケティング(リスティング広告・SEO)
などを経験

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