借金に困っている人必見!自己破産とはどんな手続きか元債務整理事務員が解説

借金の返済が難しくなってしまって、いよいよ自己破産を考えなければならなくなったという時に相談をためらわれる方がたくさんいらっしゃいます。

Expert
借金で首が回らなくなった末に、裁判にかけられて、回りに迷惑をかけて借金を帳消しにしてもらうといったマイナスイメージが先行してしまっているのですが、個人の経済的な再生の最も強力な手段でこの制度を使って立ち直っている方は多数います。是非自己破産手続きの本当の姿を知ってください。

このページでは自己破産手続きというものがどのようなものかをお伝えします。

自己破産手続きの概要

まずは、自己破産という手続きについてよく知りましょう。

破産法はなぜあるのか

自己破産は「破産法」という法律に基づく制度です。

現在の破産法自体はそれまであった同じ名前の「破産法」を廃止して、平成16年に新しく生まれ変わる形で制定されたものですが、元々の破産法自体はなんと大正11年にすでに制定されていたものです。

「人からお金を借りたならば返さなければいけない」というのはある意味当たり前のことです。

法律的に整理をすると、金銭消費貸借契約をしたならば、弁済期には弁済をしなければなりません。

しかし、資本主義社会においては人は常に競争にさらされており、そこには当然に競争に敗れた結果、債務の履行ができない人も存在します。

その結果、

  • 債務者の残り少ない財産をめぐって債権者同士が争いになり、一部の債権者が社会的に見て容認できないような回収行為をする可能性があったりします(内臓を売れ・風俗で働けetc.)。
  • 債務者が一部の債権者(身内や友人など)といった人と共謀して債権者を平等に扱わない可能性があります。
  • 支払いに窮した債務者が、自殺や犯罪等に走ってしまう可能性があります。
Expert
社会的弱者となってしまった者には救済が必要なので、破産法は支払いができなくなってしまった場合に、借金を帳消しにするというアメを用意しながら、債務に関する事項を調整する制度が破産といえます。

弱者救済という制度ですので、ギャンブルや遊興などの浪費に使ったような場合には免責しないという、免責不許可事由というものも定められており、調整はされています。

なお、実務上は免責不許可事由があっても、将来の更生が望める場合には裁判所の裁量で免責できることにしており、実際にはほとんどのケースで免責が認められています。

Expert
債権者側の事情としては、支払いがされなくなったいわゆる「不良債権」を多く抱えることになると、自己資本比率が下がることになります。その結果行政指導などの対象となるため、不良債権には早期に手を打つ必要があるのです。回収できないままだらだら放置しておくと不良債権を増やすだけなのですが、自己破産をすると貸し倒れ償却という処理をすることができ、B/Sから外して損金計上することができるという事情もあります。

自己破産に関しては経済的な破綻から立ち直った著名人などの話でしか知らない結果、多数の債権者に迷惑をかけて、いろんな人から怒号を浴びせられる、親族から縁を切られる…というようなイメージを持っている人も多く居ます。

しかし、実は我々が報道やドキュメントなどで見ている自己破産は極めて誇張されたものであり、実際には多くの方が社会的に破産者であると認知されることなく経済的な破綻から再生しています。

平成29年度の司法統計によると、76,015件もの破産が受け付けられているのです。

Expert
あまりこのような事を公に伝えるべきではないのかもしれませんが、消費者金融や信販会社・銀行といった貸金業者のみの借入であれば、自己破産をした事実が公になることはほぼないと考えていいのではないでしょうか。

もっと自己破産について知ってもらうべく、基本的な用語と手続きの流れについてお伝えします。

自己破産に関する用語

自己破産については専門的な用語が会話の端々に出てくるので、事前に知っておいたほうが良い言葉をしっておいてください。

同時廃止

自己破産手続きの中でも、簡易に終わる場合をいいます。

免責不許可事由がなく、財産の調査が不要な場合に利用されます。

少額管財

自己破産手続きの中でも、正式な手続きをいいます。

裁判所から管財人が選任されて、管財人主導のもとで手続きが進行します。

管財人

少額管財手続きにおいて、破産事件を進行するために、裁判所から選任される人です。

弁護士登録をしている人が選ばれます。

予納金

破産手続きを利用するのに申立時に裁判所に納めるお金のことをいいます。

東京地方裁判所に申し立てをする場合には20万円です。

偏頗弁済(へんぱべんさい)

破産手続きにおいては債権者は平等に扱われます。

しかし、一部の債権者(身内や友人などが多い)には迷惑かけたくないから、といって返済してしまうようなことがあります。

このような弁済行為を偏波弁済と呼んでいます。

これがある場合には、たとえ返済分を取り戻したとしても、同時廃止ではなく財産調査のための少額管財になる可能性が強くなり、申立に当たっては上申書などの提出が必要になります。

これを隠して管財人が見つけたときには、取戻権の対象になります。

非免責債権

破産手続きによっても免責されない債権をいいます。

税金・養育費・不法行為損害賠償請求などがこれにあたります。

免責不許可事由

破産手続きをするにあたって、破産法の理念に反するような行為がある場合には、借金を免責しません。

ギャンブル・キャバクラなどの遊興、手続き開始後の借り入れ、偏波弁済、財産隠匿などがこれにあたります。

裁量免責

免責不許可自由があるような場合でも、事後の反省の様子などを見て社会的に相当と裁判所が認定できる場合には、裁判所の裁量で免責をすることができます。

実務上はよく利用されます。

自己破産手続きの進め方

では自己破産手続きの利用についてはどのように進めていくことになるのでしょうか。

法律相談

自己破産手続きは弁護士・司法書士に依頼をして行うことになります。

法律上は自分で裁判所に申し立てをしても良いことになっているのですが、きちんと申立をしないと裁判所が許可をしてくれないものですし、弁護士・司法書士に依頼をすると督促が止まり落ち着いて手続きをすすめることができるようになります。

相談は法テラスや地域の自治体の法律相談など無料のものもありますが、端的に債務整理手続きを専門とする事務所に依頼するほうがよいです。

Expert
これは残念なことなのですが、法テラスや地域の自治体で法律相談をしても、「自己破産は私はやっていない」と断る弁護士・司法書士が多数います。債務整理手続きに特化している事務所に依頼をすれば、弁護士も事務職員も自己破産手続きを知り尽くしているので有利です。

突然訪問をしても弁護士や司法書士が絶対にその時間に居て相談可能であるとは限らないので、事前に電話をして予約をとるようにしましょう。

相談当日

相談当日は事務所を訪問して、弁護士・司法書士と面談をします。

Expert
債務整理を専門にしている事務所はいつも多数の相談を受けています。債務整理を専門としている事務所では、債務整理専門の事務職員がおり、まず事務職員さんがあなたについての情報を整理します。その情報に基づいて弁護士・司法書士と面談をしてどのような手続きが適切か、自己破産にあたっての問題や懸念を話合います。

相談当日は、まず事務職員が情報を整理します。

情報としては

債務に関すること借入総額(だいたいでよい)

借入先の名前(金融機関・個人・その他)

いつから借り入れをしているか

利息は何パーセントであったか

連帯保証人はいるのか

担保になっているものはあるのか

公正証書はとられていないか

延滞をしていないか

裁判をされていないか

収支に関すること収入

支出(電気・ガス・食費など生活に必要な金額)

返済のために使える金額(収入から支出を引いた、現実的な返済可能な金額)

その他手続きの希望(自己破産・任意整理を希望など)

個人的な希望(自宅を残したい、家族には内緒にしたい、警備員をやめたくない、など)

このような順番でお話しをすすめることになります。

Expert
もちろん手ぶらで行ってお話ししても良いのですが、情報が何もない中では適切な手続き、手続きに関する希望がかなえられるかどうかなどの見通しも立てられませんので、できる限り事前にまとめてきてくれると有意義なお話しができるようになります。

望ましい持ち物としては、貸金業者のATMを利用している際のカード、契約書、最後に支払いをしたときの明細書、収支に関してはだいたいでかまいませんのでまとめてメモをしておく程度でかまいません。

依頼をすることを前提に訪問する場合には、印鑑と身分証明書は必ず持っていくようにして、予約の際に他に持っていくものがあるかどうかを聞いておきましょう。

依頼後から申立書類の作成までの間

依頼をすると、相談者としては申立書類を作成するまでは弁護士費用を分轄して支払ったり、少額管財が予想される場合には予納金を納入することになります。

その間法律事務所・司法書士事務所側は貸金業者から取引の履歴を取り寄せて債務額を確定する手続きを行っています。

Expert
弁護士費用の入金が半年以上の長期にわたることも珍しくありません。返済の必要がなくなり督促もなくなってしまうと債務を抱えている事を忘れて仕事を辞めてしまったり、またパチンコ通いを始めて弁護士・司法書士に対する費用の支払いをしない人が一定数いるのですが、そうなると弁護士・司法書士は辞任をしますので、突然全債務の一括請求が始まりますので、気を抜かないようにしましょう。

弁護士費用の分轄支払いが終わり、予納金を納めると申立書類の作成に入ります。

申立書類作成

申立書類の作成は弁護士・司法書士が自動でやってくれるわけではありません。

現在の預金の残高や、契約している保険、直近数ヶ月分の家計の状況、申立にあたって添付する書類などを集める必要があり、どうしても依頼者の協力が必要なものになります。

Expert
特に通帳の記載内容に関しては、比較的申立に関する書類が緩やかといわれる東京地方裁判所に申し立てをする場合でも2年分の通帳の内容を記帳の上提出して、個人名での入出金など正しい破産手続きをしていない可能性がある者に関してはきちんと説明できるようにしておかなければなりません。仕事として作成する弁護士・司法書士・事務職員ですら「面倒だな…」と思う時があるので、依頼者にはもっと面倒なことになるかもしれないのですが、協力しないと破産手続きは絶対に進まないので、しっかり協力するようにしましょう。

申立

破産申立は書類を提出して行います。

申立は弁護士・司法書士がおこなってくれるので、依頼者は次の日程を決めてもらうのを待っているのみとなります。

管財人との打ち合わせ

少額管財事件についてはまず管財人と面接を行うことになります。

管財人との面接にあたっての準備を弁護士・司法書士と行うことになります。

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どのような人が管財人になるかによるのですが、破産手続きをする人に注文をしてくることがあります。筆者が経験したもので印象に残っているのは、宝くじの高額当選をしたにもかかわらずそれを使い果たした上で借金をした人に対して反省文を求めたものと、フィギュアの収集のために借金をした人に対してどのようなフィギュアを収集したのか写真に撮って送れというものでした。

管財人は弁護士として活動している人が裁判所によって選任されるものになりますので、ここでの面接内容等が公になるようなことはありません。

面接では、借金をした経緯、返済不能になった経緯、免責不許可事由がある場合にはその事に対して裁量免責ができるかどうかの判断(浪費で反省をしているかなど)、今後どのようにして生活をたてなおすか、といったことを確認します。

この面接結果を裁判所に報告をして、裁判所は破産を許可できるか、免責を許可できるかを判断するものになります。

面接内容自体は常識的な範囲内のものですので、法的な知識を持って管財人と議論をしなければならない、といった類のものではありません。

裁判所での面接

破産手続きが同時廃止・少額管財のどちらでも、申立をした裁判所での面接をする必要があります。

同時廃止の場合には免責審尋という言い方をして、少額管財のときは債権者集会という言い方をします。

同時廃止のときは、管財人の面接が無い分ここで面接で確認をされると考えてください。

少額管財のときは、当事者が集まって儀礼的な期日が行われるだけだと思って下さい。

Expert
債権者集会という名前がついているので、貸金業者の担当者が大挙して押しかけてくるようなことを想像するかもしれませんが、実際には誰もいません。

決定・免責

裁判所での手続きが終わって1ヶ月程度以内に、破産手続きが決定されます。

決定の1ヶ月後に免責が確定することになっています。

信用情報の復活

自己破産をすると信用情報にその情報が記録されていますが、7年経過後にこの情報を削除されます。

信用情報は一切借入の無い状態(スーパーホワイト)という状態になります。

Expert
この状態になると絶対に借入とか住宅ローンとか組めますか?という質問をよく受けますが、与信は信用情報だけでするものではありません。

自己破産において気を付ける点

自己破産手続きを利用するにあたって気を付けるべき点はどのようなことでしょうか。

選挙権剥奪などの正確ではない噂

自己破産手続きを利用すると、選挙権が剥奪される、公民権が停止になる、住民登録が抹消されるなどといった、どこで流れているのかわからない情報を真に受けている方がかなりいます。

たしかに、官報に載る、信用情報に異動情報が載る結果クレジットカードが作れない、などの不利益自体はあります。

しかし、官報なんかは見ている人がそもそもいませんし、クレジットカードもVIZAデビットなどを利用するなどすれば、事実上の不利益を受けるようなことはほとんどないといえます。

このような正確ではない都市伝説を信しないようにしましょう。

いわゆるヤミ金融等

信用情報に事故情報が登録され、借りられない状況の人は、「ブラックOK」などといったヤミ金融の恰好のターゲットです。

債務整理の情報など、きわめて高度な個人情報で保護をする制度は手厚いのですが、残念ながらそのような情報ほど裏で回っているものです。

自宅へのDMやショートメッセージなどを通じて、融資をするような情報は間違いなく違法なヤミ金融からの貸付です。

Expert
筆者は債務整理の一環としてヤミ金融対策にも従事したことありますが、債務整理として弁護士や司法書士が入れば確実に黙ってくれるような保障は何一つありません。確かに最近の手口からすると、足がつかない携帯電話等を利用した嫌がらせで入金を迫ることしかしなくなりましたが、とはいえ職場や親せきなどに電話攻撃をされるなどで社会的な信用を失うことになります。彼らは「犯罪者集団」でそのようなところから借り入れをすると犯罪者と闘うことになることを知ってください。

生活が苦しい中で借り入れに頼りたいという気持ちはわかりますが、甘い誘いに乗らないようにしてください。

生活再建のためのいろいろな制度

自己破産手続きをしても、債務がなくなるだけで、生活そのものが根本的に苦しい場合には別に生活を立て直す手段を検討すべきです。

病気や怪我で仕事ができない場合には、生活保護や障害年金の受給などといった手段を検討しましょう。

母子家庭で養育費を受けられないような場合には児童扶養手当の受給などができます。

葬儀・住居確保・就職などの生活に必要な費用が足りない場合には生活福祉貸付金などの受給を検討します。

食費が足りないような場合には、フードバンクといった、無料で食料を分けてくれるようなNPOなどが居ます。

路上生活・ホームレスになるようなことになっても、生活を再建するための支援をしてくれるNPOがあります。

Expert
どのような状況になっても、調べればあなたの生活に寄り添ってくれる制度はいくらでもあります。利用するのは恥だと思う風潮がありますが、きっちり社会復帰しましょう。

まとめ

このページでは、自己破産とはどのようなものなのかについての概要についてお伝えしてきました。

何か悲惨な末路が自己破産というイメージがあるのですが、実際にはそうではなく、経済的な破綻から再生をする手続きであることを知っていただき、今日では多数の人が利用している国の制度であることを認識して、経済的な苦境を打開するために専門家に相談をするようにしてください。

つの
つの
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法律・マーケティング・マネー系の記事の執筆をしているライターです
【経歴】
・司法試験受験生
・法律事務所・司法書士事務所パラリーガル
・行政書士・FP資格取得
・WEBマーケティング(リスティング広告・SEO)
などを経験

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