1人1000万円以上!子供のための教育費、貯金はいくら必要?

お子さんいらっしゃる家庭では、将来の教育費のことが心配だと思います。お子さん一人が大学を卒業し、独り立ちするまでに、どのくらいの教育費が必要か把握していますか?貯金をするにしても、一体どのくらいのペースで貯金すればいいのか、先々の目安の立てておきたいものですよね。

幼稚園、小学校、中学校と、基本的には入学年度が決まっているため、何年後にどのくらいのお金が必要なのか、予測することができます

今回は、子供が大学を卒業するまでにかかる教育費の目安とともに、学資を貯める際のポイントについて解説していきます。

 

子供一人の教育費はいくら?

さっそく、教育費について解説していきましょう。子度を大学まで卒業させるのに、教育費はどのくらい必要なのでしょうか?

 

幼稚園の教育費:年間23万~50万円

子どもが幼稚園に入るあたりから、養育費とは別に「教育費」が発生するようになります。幼稚園とは別に習い事を始める子も増えるため、幼稚園入学までに一定の蓄えが必要になります。

子どもを幼稚園に入れる場合、年間にかかる月謝の相場はいくらになるのでしょうか。

私立幼稚園の場合で約50万円(月約4万1,000円)、公立幼稚園で22万円(月約1万8,000円)といわれており、私立と公立で倍以上の差があるのです。

だったら公立に!と思ってしまいますが、公立幼稚園の数は非常に少なく、幼稚園児の8割以上が私立幼稚園に通っています。そのため、私立幼稚園に通う子どもがいる家庭に対して、補助金を出している自治体もあります。お住いの自治体の制度を確認してみてください。

 

保育園に入れる場合:年間12万円~80万円

保育園に子供入れる場合は、幼稚園とどのくらいの差が出てくるのでしょうか。

保育園の月謝は、世帯の所得額と子どもの年齢・人数によって決まります。そのため、所得に応じて1万円~7万円程度の差が出てきます。

認可保育園の場合、月2~3万円の保育料を支払っている人が約3割で、一番のボリューム層となっています。お住いの自治体で確認してみましょう。

 

小学校の教育費:年間32万円~153万円

小学校は公立に通うことが一般的ですので、幼稚園に比べると格段に費用負担が少なくなります。公立小学校の授業料は、義務教育ですから0円です。ただし、給食費や遠足などの課外活動費が必要となります。それらを加味すると、年間約32万円の教育費がかかります。

私立小学校はどうでしょうか。私立小学校は授業料自体が高額になり、授業料だけでも年間で約47万円かかります。給食費や課題活動費に加えて制服代なども必要になりますので、年間で約153万円かかります。

公立と私立で5倍近い差が出てくるとは、驚きですね。

 

中学校 の教育費:年間48万円~134万円

中学校も義務教育ですので、小学校と同様に公立と私立で大きな差が出てきます。

まずは、公立小学校です。授業料は0円ですが、給食費や課外活動費、部活動にかかるお金、さらに制服が必要です。その分小学校よりも費用があがり、年間で約48万円となります。

私立中学校の場合は、授業料だけで年間約43万円の教育費がかかります。その他費用も合わせると、年間で約134万円となります。

中学校になると、公立でも制服など費用負担が増えてくることから、公立と私立の差は2.8倍と縮まります。

 

高校の教育費:年間41万円~100万円

高校になると、私立高校に進学する子供は約31%と増えてきます。それもあって、費用差が幾分か縮まります。

公立高校の教育費は、授業料や制服代、課外活動費を合わせて年間約41万円です。

私立高校は、公立よりも制服や部活動費が高い傾向にあり、年間約100万円となっています。

また、公立私立問わず、高校に通う子どもには国からの就学支援金が支給されます。ただし、この支援金には所得制限があるので注意してください。

 

大学の教育費:初年度82万円~460万円

教育費が大幅に増加するのは、大学に入ってからです。高校までとは違い、公立大学でも相応の費用が必要となってきます。また、大学の費用は年間の授業料だけではなく、多額な入学費も必要になります。さらに、同じ大学内でも学部によって費用に差が出てきます。

 

国公立大学 私立文系 私立理系 私立医歯系
入学金 28.2万円 24.3万円 26.2万円 103.8万円
授業料 53.6万円 74.6万円 104.9万円 273.7万円
施設設備費 15.8万円 19万円 83.2万円
初年度合計 81.8万円 113.8万円 150.1万円 460.7万円
4~6年間合計 242.6万円 385万円 521.8万円 2245.2万円

※設備費、実習費、諸会費などが徴収されることがあります。

 

医歯系は期間が6年間であることもあり、2000万円を超える費用が必要となります。

 

一人暮らしの生活費

親元を離れて遠くの大学に通う場合、一人暮らしをする必要があります。

  • 初期費用:約20万円
  • 家賃:6万円×12カ月×4年=288万円
  • 生活準備費用:約30万円

これに加えて、新幹線などの交通費や、受験のさいの遠征費もかかります。また、地方大学であれば家賃は低く抑えられますが、都心の大学となるとなかなか安いアパートが見つけられないこともあります。防犯の観点からも、男性より女性の方がセキュリティのしっかりした物件を好むため、家賃も高くなる傾向にあります。

 

習い事の費用は?

教育費は学費だけではありません。小学校にあがると、習い事をする子供が増えてきます。習い事には相場でどのくらいの費用が必要なのでしょうか。

ちなみに、習い事や塾、家庭教師など学校外の学習活動をしている子どもは、小中学校を通じて全体で80%にのぼるとされています

 

学習塾

学習塾に通う子どもは中学から増えてきます。特に、受験を控えた中学3年生の時点ではや約65%の学生が塾に通っているとされています。

まず、小学生向けの塾の平均的な月謝は約1万9000円です。年間で22万8000円となります。公立小学校においては6割以上の子供が塾に通っておらず、私立小学校と大きな差が出ます。中学受験を控えている小学生が塾に通うことが多いようです。

中学校では、逆に公立中学に通う生徒のほうが、塾に行く割合が高くなります。約2万6,000円となっており、年間で31万2,000円です。

高校になると、塾通いをする子供の数はかなり少なくなり、公立私立ともに6割以上の学生が塾を利用しません。難関大学受験を目指す生徒が、主に通うようです。費用は選択する科目や塾の形態によってかなり差があり、一概にはいえません。予備校などに通うとなると、年間50万円以上の費用が必要となります。

 

習い事

スポーツや芸術活動などの習い事は、小学生3・4年生をピークに参加する子どもが増えるようです。中学以上になると学習塾が中心となり、習い事をする生徒は減ります。

参考に、小学生に人気の習い事の月謝を紹介します。

  • 水泳:月5,000円~7,000円(年間6万円~8.4万円)
  • サッカー:月2,000~3,000円(年間2.4万円~3.6万円)
  • 習字:月3,000円~4,000円(年間3.6万円~4.8万円)
  • ピアノ:月5,000円~1万円(年間6円~12万円)

スポーツ系の習い事は、ユニフォーム代や試合のための遠征費などもあり、月謝とは別にそれらの費用が必要になることもあります。

また、スポーツにおいては本格的な選手養成コースなどが用意されており、通常コースよりも費用が高くなります。

 

大学卒業までに必要な教育費は?

それでは、幼稚園入学から大学卒業まで、一体いくらほどの費用が必要になるのでしょうか?公立をメインに通う場合と、私立に通う場合で簡単にシミュレーションしてみましょう。

 

大学までずっと公立に通う場合

小学校~大学まで公立に通うときの金額を考えてみます。公立幼稚園はかなり狭き門なので、幼稚園だけ私立で考えます。小学生のときに習い事を1つ、塾は利用しないものとして設定します。

  • 私立幼稚園:50万円×3年間=150万円
  • 公立小学校:32万円×6年間=192万円
  • 習い事(水泳):7万円×6年間=42万円
  • 公立中学校:48万円×3年間=144万円
  • 公立高校:41万円×3年間=123万円
  • 国立大学:4年間243万円

=合計:894万円

一貫して公立校に通い、学習塾にも費用を割かなければ、1000万円以内に納めることができます。

 

中学から私立に通わせた場合

次は、中学校から私立に通させ、そのまま大学まで私立に通う場合を考えてみます。

学費以外の費用としては、小学生のときに習い事を2つ、中学3年間は塾に通い、高校3年の1年間に予備校に通ったものと設定します。

 

  • 私立幼稚園:50万円×3年間=150万円
  • 公立小学校:32万円×6年間=192万円
  • 習い事(習字、ピアノ):12万円×6年間=72万円
  • 私立中学校:134万円×3年間=402万円
  • 学習塾:31万円×3年間=93万円
  • 私立高校:100万円×3年間=300万円
  • 予備校:1年間50万円
  • 私立理系大学:4年間522万円

=合計:1781万円 

公立に通う場合と比べると、倍以上の差が付きました。大学卒業までにかかる教育費は、通う学校によって大きく差が開きます。医歯系の大学に通う場合は、さらに学費が高額になります。

また、実際にはこれ以外にも、部活動にかかる費用や通学にかかる費用なども必要です。遠方の大学で一人暮らしをするのであれば、さらに4年間の住居費だけでも約290万円かかります。

 

子育て世代の平均貯金額は?

子どもを大学まで卒業させるには、最低でも850万円以上の費用が必要とわかりました。これだけ高額な費用、子育て世代はどのように捻出しているのでしょうか?貯金でまかなっているのか、他世帯のことが気になりますよね。

ファミリー世帯となる30代世帯の貯金相場を見てみましょう。30代で2人以上世帯の金融資産保有額は、中央値で200万円前後と言われています。詳細を見ると、1000万円以上の資産を持つ世帯が約11%、逆に金融資産非保有である世帯は約34%です。つまり、3世帯のうち1世帯は、資産どころか貯金も全くないということです。

子どもの将来のために貯金をしたいとは思っていても、30代は他にもいろいろと出費がかさむ時期でもあります。出費が多く、なかなか貯金まで手が回らないという家庭が多いようです。

 

奨学金ってどうなの?

子どもの学費のサポートが収入的に難しい場合、選択肢としてあがるのが奨学金でしょう。特に、学費が高額になる大学からは、奨学金制度を利用している学生も多くなります。奨学金利用者は景気の悪化した2003年頃から急激に増加し、現状では大学の学士過程に通う半数近くの大学生が奨学金を利用しています。

安心して通うために有効な選択肢ですが、利用する場合はデメリットも理解しましょう。

 

奨学金のメリット

メリットはもちろん、経済的な理由で進学をあきらめずに済むことです。大学だけでなく、大学院や高校の進学を支援する制度も存在します。

一般的なローンと比べると金利も安く、返済の負担を抑えることが可能です。

 

奨学金のデメリット

デメリットは、大学を卒業したのち、新卒1年目から大きな借金を背負うことです。前述した通り、国立大学であっても4年間の学費は240万円です。新卒の経済的に不安定なうちから多額の返済を背負うことが辛いと感じる人も少なくありません。

このような負担をなくすには、無利息型の奨学金や、返済義務のない付与型の奨学金を使う方法があります。ただし、これらの奨学金は希望する学生が非常に多く、狭き門であることも事実です。

 

経済的な不安を解消しながら大学まで通うためには、奨学金の利用は有効な選択肢です。ですが、安直に利用せず、4年間の必要な学費はいくらなのか、卒業後計画的に返済していくことが可能かどうか、家庭内でよく話し合って決定してください。

 

学資保険は使うべきか

高額な学費を今から計画的に用意するために、選択肢のひとつとして学資保険があります。学資保険は、子どもの教育費を目的とした保険です。生命保険や医療保険と同じように、毎月定額の保険料を支払うと、子どもの年齢に合わせて給付金が受け取れます。学資保険を利用したほうが、教育費用は上手に貯められるのでしょうか。

 

学資保険のメリット

学資保険のメリットは大きく2つです。

一つ目は、強制貯蓄効果があることです。一度契約すれば、毎月一定量のお金を払わなければいけないので、意志に関係なくお金は積み立てられていきます。意志が弱くて、どうしてもコツコツ貯金をするのが苦手・・・という人は、学資保険を利用するメリットが大きいです。

二つ目は、親に万が一のことがあっても、子どもに学資を残せることです。商品の内容によりますが、多くの学資保険は契約者である親が死亡した場合、以降の保険料支払いは免除され、子どもに入学金や学費、満期保険金などが支給されます。片働きで、働き手に何があったときのことが不安、という家庭も、使うことを検討してみてもいいかもしれません。

 

学資保険のデメリット

デメリットについても、2つ紹介します。

まず、元本割れする可能性が高く、途中解約がしづらいことです。学資保険を途中解約すると払戻金が受け取れますが、解約タイミングによっては手数料などが引かれ、それまで払った金額よりも少ない額しか受け取れないことがあります。本当に先々まで保険料を支払っていけるのか、よく検討しましょう。

次に、これが最大の懸念点といえますが、現在は保険商品の金利が非常に低く、保険を利用するうまみがありません。さらに、長期固定金利商品ですので、今後景気が悪化し保険会社が倒産することになれば、給付金が減額される可能性も否定できません。

 

以上のことをまとめますと、貯金をするのが得意な方であれば、特に学資保険に入る必要性はあまりありません。金利の低い現状だと、わざわざ保険に入るうまみがないからです。コツコツ貯金するのが苦手な方は、強制的に積み立てできて切り崩すことも難しいので、学資保険を検討してみてもいいでしょう。

 

まとめ

教育費で一番大きな負担となるのは、大学以降の学費です。そのため、子どもが幼少の頃から教育費対策をする家庭も少なくありません。できるだけ早目から学資対策を始めることが大切です。

とはいえ、難しい点ではありますが、教育費はかければかけるほどいいというわけではありません。教育費を多くかけたからといって必ずしも子どもの成績があがるわけではありませんし、何より子ども本人の意向を無視することはできません。

ちょうど子どもが大学に進学し始める40代後半ともなれば、教育費だけでなく老後資金のことも考えるタイミングです。教育費にどのくらいお金を割くかは、収入とのバランスが大切です。

子どものためを思って無理しすぎることなく、子どもを交えてよく話し合いながら、必要な学資額を考えていきましょう。

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