自己破産のリスクやデメリットは?財産への影響や戸籍・破産後の生活について解説!

裁判所に自己破産の免責決定を出してもらうと、あなたが負っている借金は原則としてすべて免除されます(つまり0円にしてもらえます)

現在の収入では完済できない金額の借金を負ってしまっている方には、非常にメリットの大きい方法といえますが、その一方でデメリットもあることに注意しておきましょう。

この記事では、自己破産という方法を選択することによるリスクや不利益になることを具体的に解説します。

現在、自己破産の手続きを開始することを検討しているという方も、手続きを始める前にぜひ確認しておいてください。

自己破産でリスクやデメリットになること一覧

自己破産を行うことによって生じるリスクやデメリットには、次のようなものがあります。

  • 所有財産を手放す必要がある
  • 新しくローンを組んだりクレジットカードを作ったりできなくなる
  • 保証人に迷惑がかかる
  • 手続き期間中は就業できない職業がある
  • あなたの情報が官報に掲載される

以下、それぞれの項目について順番に見ていきましょう。

所有財産を手放す必要がある

自己破産を行うと、あなたが負っている借金はすべて免除される代わりに、あなたが所有している財産(持ち家や自動車など)は債権者に引き渡す必要があります。

マイホームや下取りで値段の付きそうな自動車は手放さなくてはなりませんから、居住環境を変えたくないという方や仕事で車を使わざるを得ないというような方は、自己破産以外の方法を検討する必要があることも理解しておきましょう。

ただし、自己破産に関しては次のような誤解をお持ち方も少なくないようなので、注意しておきましょう。

「自己破産すると財産をすべて持っていかれて何も残らない」は誤解

テレビドラマなどでは「自己破産をして財産をすべて失い、夜逃げして連絡がとれなくなった…」というような描かれ方がされることがときどきありますね。

しかし、実際の自己破産の手続きでは基本的にこのようなことは起こりません。

上では「自己破産をするとあなたの財産は債権者に引き渡す必要がある」と書きましたが、これはあくまでも「最低限の財産以上の余分な財産」という意味です。

生活をしていくために必要な家電製品や服飾品、パソコンや携帯電話といったようなものは自己破産手続き後にも持ち続けることができるのです。

自己破産の制度は、借金を返済することができなくなってしまった人が生活を立て直すことを目的としていますから、あなたが手続き後に生活していくために最低限必要なものは手元に持ち続けることができます。

現預金は100万円まで手元に置くことができる

具体的にどのような財産を持ち続けることができるか?ですが、まず現預金については100万円までであれば、手続き後もあなが持ち続けることができます。

この「100万円まで」の根拠としては、破産法という法律で「標準的な世帯の生活費2か月分(法律上は66万円)×2分の3の金額は、自己破産でも差し押さえられない」とされています。

※正式には破産法第34条第3項・民事執行法第131条・民事執行施行令第1条という3つの法律によってこのルールが決まっています。

自己破産の手続きが完了し、裁判所による免責が出た後には、当然ながらあなたの収入はすべてあなたのものとなります。

手続き後に数か月間は生活していくための資金を準備しておけば、その後は元通りに収入を得て生活していくことが可能になるというわけです。

なお、この「100万円」は、現金と預金を合計した金額です。

預金については実務上20万円が上限とされていますから、手続き前に銀行預金から必要に応じて引き出しておくのが適切といえるでしょう。

お給料の大部分はあなたの手元に確保できる

手続き開始前にあなたの手元にある現預金だけでなく、これから受け取る予定のお給料やボーナスについても、あなたの手元に残せる部分があります。

法律上、「最低限、債務者の側に残さないといけない金額」のことを「差押禁止債券」といいますが、お給料の場合には、次の2つの基準によって金額を計算します。

※「もともとのお給料の金額-差押禁止債権」で計算した金額を、債権者側に引き渡すことになります。

  • ①給与額が33万円以内の場合は、お給料の4分の1が差し押さえられます
  • ②給与額が33万円を超える場合は、「給与額-33万円」と「給与額×4分の1」のどちらか大きい金額が差し押さえられる金額となります

例えば、あなたが勤務先から得ているお給料の金額が20万円だったとすると、20万円×4分の1=5万円は裁判所に持っていかれて、残りの15万円があなたのものということになります(①のケース)

また、お給料の金額が40万円であった場合には、「給与額40万円-33万円=7万円」と「給与額40万円×4分の1=10万円」の2つを比べると、後者の方が大きい金額ですので、お給料40万円から10万円を引いた30万円があなたの手元に残ります(②のケース)

さらに、あなたのお給料が60万円の場合、「給与額60万円-33万円=27万円」と、「給与額60万円×4分の1=15万円」を比較すると、前者の27万円の方が大きいですから、60万円-27万円=33万円があなたの手元に残ることになります(②のケース)

なお、言うまでもないことですが、自己破産の手続きが完了した後にはこのようなお給料の制限はなくなり、あなたが働いて得たお金はすべてあなたの収入ということになります。

自己破産とマイホーム

上で見た「最低限の現預金」や、「最低限生活していくために必要な生活用品」さらに「これから受け取る予定のお給料の一部」を除いて、その他の財産については債権者側に引き渡すことになります。

問題になることが多いのは、マイホームを所有している人が自己破産を選択する場合です。

マイホームを購入する際には多くのケースで住宅ローン(銀行への借金)を組んでいると思いますが、住宅ローンには購入したマイホームに抵当権が設定されるのが一般的です。

もし、この住宅ローンについて自己破産などの債務整理を行なった場合、お金を貸してる金融機関側はマイホームに設定されている抵当権を実行してくることになります。

(※抵当権を実行するというのは、要するに競売にかけてお金に換え、そのお金を借金の返済にあてるという意味です)

持ち家をどうしても手放したくない場合の選択肢(住宅ローン特則つきの個人再生)

しかし、マイホームというのは生活の拠点というだけでなく、その人の人生にとって特別な意味を持つものであることが少なくありませんから、「借金は返せないけれど、なんとかマイホームだけは持ち続けたい」と考える人も少なくないでしょう。

そのような場合には、自己破産ではなく個人再生を選択し、さらに「住宅ローン特則」という方法を活用することが考えられます。

これは「住宅ローン特則つきの個人再生」というわれる手続き方法で、住宅ローンをこれまで通りに返済し続ける(一定の場合には条件変更も可能)ことを条件に、債務整理後もマイホームに住み続けることができるというものです。

住宅ローン特則つきの個人再生については、手続きを進めていくうえで法律の専門知識が必要となりますから、弁護士や司法書士といった専門家にアドバイスを受けるようにしましょう。

新しくローンを組んだりクレジットカードを作ったりできなくなる

自己破産をはじめとする債務整理(自己破産の他には任意整理や個人再生といった方法があります)を行うと、金融機関の情報ネットワーク上でブラックリストとして扱われることになります。

ここでいう金融機関の情報ネットワークとは、いわゆる「信用情報機関」のことです(クレジットカード会社が参加する信用情報機関・銀行が参加する信用情報機関など、さまざまな種類の組織があります)

銀行や消費者などの金融機関は、融資審査やクレジットカード審査を行う際には、この信用情報機関にあなたの過去の履歴を必ず照会します。

もし、信用情報機関上にブラックリスト情報がある場合、ほとんどのケースで融資審査は審査落ちという判断をされてしまいます。

信用情報機関にブラックリスト情報が掲載され続ける限り、新しくローンを組んだり、クレジットカードを作ったりすることはできなくなるのです。

問題はブラックリスト情報の登録期間

債務整理を選択した場合、上で見た信用情報機関へのブラックリスト登録を避ける方法はありません。

そのため、問題は「どのぐらいの期間、ブラックリストに登録されるのか」なのですが、債務整理のそれぞれの方法によって登録期間は以下のように決まっています。

  • 任意整理の場合:5年間
  • 個人再生の場合:5年間
  • 自己破産の場合:10年間

債務整理の方法の中では、自己破産がもっとも長い間ブラックリストに登録されることになります。

自己破産は、借金減額の方法としてはもっとも効果の大きい方法ですが、その分だけデメリットが生じる部分も大きいことは理解しておきましょう。

債務整理をきっかけに生活スタイルを見直す

もっとも、最低限生活していくためのお金をローンやクレジットカードに頼っている状態というのは本来のぞましい状況ではありません。

債務整理の手続きを行うと借金の負担を非常に軽く(自己破産の場合はすべて免除)してもらうことが可能になりますから、それをきっかけとして生活のあり方を見直すのも1つの選択肢です。

債務整理の手続き後には毎月の収入の範囲内に生活費を抑える生活にシフトすることに注力してみましょう。

保証人に迷惑がかかる

あなたの借金について保証人が設定されている場合には、あなたが債務整理を選択すると、手続き後には保証人に対して借金の請求がいくことになります。

なお、これは自己破産に限らず、任意整理や個人再生でも同様ですし、さらにいうと単純に借金を延滞してしまっただけの場合にも保証人への請求が行われることはあり得ます。

保証人とは、その名の通り「この人(あなたのことです)が借金を約束通りに返済することを私(保証人)が保障します。もしそのようにならない場合には、私が代わりにお金を支払います」という約束をした人のことです。

(保証人が負うこのような義務のことを保証債務と呼びます)

そのため、借金をした本人であるあなたが債務整理を選択することによって保証人に対して迷惑をかけてしまうことは避けられません。

場合によっては保証人も債務整理を選択する

あなたが負っている借金がとても大きな金額である場合には、保証人にもその借金を返済する能力がないというケースもあるでしょう。

そのような場合には、あなたが債務整理の手続きを行うのと合わせて、保証人にも債務整理の手続きを一緒に進めていくことも良く行われる方法です。

あなたが借金について債務整理するのと同様に、保証人も保証債務について債務整理を行うということができるというわけです。

手続き期間中は就業できない職業がある

自己破産の手続きが裁判所で進んでいる間は、法律で決まっている「一定の職業」については就業することができなくなります。

(自己破産手続きが完了したら、問題なく再開できます)

ここでいう「一定の職業」には、具体的には次のようなものがあります。

  • 弁護士や司法書士・税理士などのいわゆる「士業」
  • 公正取引委員会や公安委員会などの公的な役割の委員
  • 証券外務員や生命保険募集人など、金融機関の営業業務を行うための資格
  • 株式会社以外の会社の社員(従業員ではなく、オーナーの意味)
  • 成年後見人や保佐人・補助人など
  • 遺言の執行者
  • など

また、心配されることの多い職業として国家公務員や地方公務員がありますが、これらは「手続き期間中の資格制限」のみが問題となり、「免職」の要件にはなりません。

自己破産手続き中は担当できない職務などが生じる可能性がありますが、職を失ってしまうようなことは法律上はないといえます。

あなたの情報が官報に掲載される

自己破産の手続きを開始したときと、手続きが完了した免責の決定が出たときには、あなたの住所や氏名が「官報」という政府発行の情報誌に載せられることになります。

これは基本的に避ける方法がありませんから、やむを得ないものと理解しておきましょう。

もっとも、官報というのものは一般的にはその存在さえ知らない人が普通です(実際、あなたも債務整理を検討し始めて初めて官報というものを知ったのではないでしょうか)

身内に裁判所の職員がいるなどの事情がない限り、官報を通じてあなたが自己破産をしたことをまわりに知られてしまうようなことはないでしょう。

官報への掲載は、上で見たタイミングの後、数週間程度はインターネット上のデータベースでも確認できるようになっていますが、その期間が終了した後は紙ベースの除法でしか確認できない状態になります。

お金を払って閲覧し、ぼう大な過去の官報の中から1頁ずつあなたの情報を探すというのは現実的ではありませんから、手続きが完了して1か月以上たてば、あなたが自己破産による免責を受けたことを一般の人が知ることはないと考えられます。

(「この年のこの日にこの裁判所で自己破産免責を受けたはず」というぐらいに情報を特定されている場合は知られる可能性はありますが、それはもはや「官報によって知られた」とは言えないでしょう)

よくある自己破産への誤解

以下では、「自己破産についてよくある誤解」について具体的に知っておきましょう。

自己破産は世間一般では暗いイメージを持たれていることが多いため、間違った知識を持っている人も少なくありません。

実際に手続きを進める準備をしている方は、自己破産後の生活も見すえる必要がありますので、ぜひ理解しておいてください。

自己破産すると戸籍に影響はある?結婚は?

まず、「自己破産をすると、その情報が戸籍に記載されてしまって結婚や就職などさまざまなところで問題が生じる」ということがいわることがありますが、これは誤解です。

戸籍情報に自己破産による免責を受けたことが記載されるようなことは一切ありませんから、自己破産をしたことによってあなたの結婚や就職に影響がでるということは考えにくいでしょう。

ただし、自己破産をした人は先に見たように信用情報機関のブラックリストに登録されます。

例えば、あなたの子供が大学に行くために奨学金を借りるといったようなケースでは、あなたに保証人を頼まれるということがあるかもしれません。

その際、自己破産による免責から10年間が経過していない場合には、あなたは保証人としての審査に通ることができませんから、その範囲で影響が出てしまう可能性はあります。

まとめ

今回は、自己破産の手続きを選択することによるリスクや、こうむることになるデメリットについて具体的に説明しました。

自己破産についてはどうしても暗いイメージがつきまといますが、もともとこの制度は借金の金額が大きくなりすぎてしまった人を救済するための方法です。

本文で述べたようなデメリットやリスクについては事前によく理解しておくことが必要ですが、どのような不利益が生じるかをきちんと知ったうえであれば自己破産を無用に恐れる必要はないといえます。

(もちろん、自己破産をしなくても生活を立て直せる状況の人は、自己破産を選択しないに越したことはありませんが)

自己破産の方法を使えば、あなたが現在負っている借金はすべて免除してもらって、新しい生活のスタートを切ることが可能になります。

自己破産手続きの具体的な進め方については、弁護士や司法書士といった法律の専門家に相談するとくわしくアドバイスしてくれますから、専門家の事務所の無料相談などを活用するようにしてください。

吉田ライター
吉田ライター
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