火災保険と家財保険どう違うの?気になる家財保険の内容から補償範囲

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「火災保険」というと、火災や水害、自然災害などによって被った被害を補償する損害保険になります。

アパートでも一戸建てでも、賃貸契約をしたり自宅を購入したときに火災保険に加入された記憶がある方も多いのではないでしょうか?

では「家財保険」はいかがでしょうか?

Man
なんとなく耳にしたことはあるけど・・・。
Woman
火災保険に加入したときにセットだったけれど、具体的にどんなものかわからない・・・。

 

火災保険と違って、家財保険についてはこんなイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか?

なかなか知らない家財保険。今回は、そんな家財保険について火災保険との違いや補償の範囲についてご説明します。

 

家財保険とは?

 

火災保険と家財保険の違い

名前からイメージしやすいかと思いますが、家財保険は読んで字のごとく、「家財道具への補償を担う保険」です。つまり火災保険が建物に対しての補償であるのに対し、家財保険は家の中にあるものの補償になります。

では、具体的にどんな違いがあるのでしょうか?

例えば、いきなり自宅の裏の山から落石があり、屋根を突き破って室内にまで被害が及んだ場合。

自宅の被害は屋根の一部に穴が開いただけだけで家族もみんな無事だったけれど…運悪くそこには仕事で使うパソコンが!!

 

こんな時、火災保険と家財保険に加入していると、どの部分をカバーできるのでしょうか?

火災保険では屋根の修理費用をカバーしてくれますし、家財保険では仕事で使うパソコンの損害をカバーしてくれます。

もし火災保険のみであれば、屋根の損害はカバーできますが、その中にあるパソコンやそのほかの貴重品が被害にあった場合は補償してくれません。

 

家財保険はなぜ必要か?

 

Man
パソコンぐらいだったら、安いものを買い直せばいいし…自宅の保障ならわかるけど家財道具の保障なんて必要なの?

 

Woman
アパートだから万が一建物が被害にあっても私の持ち物ではないし。それに、保険かけるほど高価な家財も持っていないから必要ないわ。

 

こう考える方もいるかもしれません。

 

自宅の建物が火事になったら水災害で被害を受けたら…。特に自宅購入を検討しているとき、多くの方が、建物についての心配を真っ先に考えます。そのため火災保険はみなさん加入するため火災保険の認知度や補償内容については広く知られています。

しかし、どうしてもイメージがわきにくいため、なかなか認知度の低い家財保険。補償内容についてもあまり知られておらず、中には必要性をあまり感じない方もいるのではないでしょうか?

 

しかし、家族全員分の家財が一気にダメになり、一から揃え直すと考えてみましょう。冷蔵庫・洗濯器・テレビなどの家電のほか、毎日の仕事に来ていくスーツや洋服類、パソコンなどの精密機械、今や手放せなくなったスマートフォンやタブレットなどの通信機器…すべての総額を考えるとどうでしょうか?

一人暮らしでも一式そろえるには思っている以上にお金がかかりますし、家族全員分となるとさらに高額となります。

後述しますが、夫婦・子供2人の一般的な家族でも、買い直しにかかる平均金額は1250万ほどかかると言われており、火災にあった後にそれだけの金額が入用になると考えると、金銭的にも精神的にもとても負担となるでしょう。

 

また、マンションや一戸建てなどの持ち家とアパート賃貸では、住んでいる方が建物を保有しているかどうかの違いがあります、しかし、家財については持ち家・賃貸に関わらず誰でも持っています。そのため、持ち家・賃貸にかかわらず、補償が必要になるのです。

例えば、もし火事があった場合、火による被害はもちろん、消火活動による放水などで使えなくなってしまうこともあります。

 

火災や災害のほかにも、盗難による被害や、ガスの爆発事故や水道管破裂による水漏れなどによって、他の住民に迷惑をかけてしまった場合もあります

 

このように、家財に関する損害は意外と損害額や影響範囲の広く、自分だけでなくご近所に迷惑をかける場合も少なくなりません。

万が一の時個人の力では対処できなくならないよう、こういった損害が起こった時にカバーしてくれるのが家財保険であるといえます。

 

  • 火災保険:万が一の事故・災害の際に、建物の保障をする保険
  • 家財保険:万が一の事故・災害の際に、家財の補償をする保険

家財保険の契約方法と補償範囲

家財保険の契約方法

 

Man

そんな便利な保険なんだ!・・・でも損害保険会社のホームページを見ても「家財保険」っていう商品は見つからないんだけど・・・。

 

 

家財保険の認知度が低い理由としては、こんな理由もあります。

実は、「家財保険」という保険商品はないのです。

どういうことかと言いますと、そもそも家財保険は火災保険の中の機能の一つなのです。

つまり、「火災保険」という保険商品の中に「家財保険」という機能があり、実際の商品ではオプションや特約として、火災保険の機能がつけられているというのが家財保険なのです。

なので、「家財保険」とう単体の商品があるわけではありません。そのため、契約する場合は、火災保険とセットで契約することとなります。

 

 

参考:三井住友海上 GK すまいの保険(家庭用火災保険)

https://www.ms-ins.com/pdf/personal/kasai/gk.pdf

 

 

こちらの商品案内パンフレットを見ると、自宅建物のみの契約か、家財も含めた契約ができるようになっています。このように、建物の補償を主としてこれに付随して家財の補償もつけるというのが、一般的な家財保険の仕組みになっています。

 

ここで注意すべきなのは、特約やオプションとしてついている場合、家財を補償する特約を付けなければ、火災保険に加入していても家財は補償されないということです。

保険料の金額を見て、オプションをすべて外される方が多くいらっしゃいますが、必要な保障まで外さないよう内容をきちんと確認しましょう。

 

家財保険で補償される場合

とても心強い家財保険ですが、それではどんな時にどんなものが補償の対象となるのでしょうか?

ここからは、気になる家財保険で補償される場合をご説明して行きます。

家財保険で基本的に補償される場合としては、下記のようになります。

  1. 火災、落雷、破裂・爆発
  2. 風災、雹災、雪災
  3. 水濡れ
  4. 盗難
  5. 水災
  6. 破損、汚損

 

1.火災、落雷、破裂・爆発

火災、落雷、破裂・爆発の補償は、万が一の火災で家財が焼失してしまったり、損害を受けた場合や、落雷などの影響で家財が破損したり、電化製品が壊れた場合に保険金を受け取ることができます。

2.風災、雹災、雪災

風災、雹災、雪災の補償は、台風の際に窓ガラスが割れてしまい、家財が損害を受けたり、雹の影響で家財が損害を受けた際に保険金を受け取ることができます。

3.水濡れ

水濡れの補償は、マンションの上階から水が漏れてきて、その影響で家財が水に濡れて損害を受けてしまった際に保険金を受け取ることができます。

4.盗難

盗難の補償は、泥棒によって家財が盗まれてしまった場合や、現金の盗難にあった場合などに、保険金を受け取ることができます。

(※現金や小切手の盗難に関しては保険会社によって上限が設けられている保険商品もありますので、ご注意ください。)

5.水災

水災の補償は、大雨や洪水で床上浸水してしまい、家財が損害を受けてしまった場合に保険金を受け取ることができます。

6.破損、汚損

破損・汚損の補償とは、模様替えの際に机を家電にぶつけてしまって家電を壊してしまった場合や、飲み物をこぼしてしまいパソコンを壊してしまった場合に保険金を受け取ることができます。

※これらの補償内容は一般的なもので、保険商品によって変わります。加入する際はご自身で十分に確認をしてください。

 

参考:イオン少額短期保険 商品のご案内(家財保険)

https://www.aeonssi.co.jp/shouhin/tintaiwide.html

補償の対象になる家財

さてでは、補償の対象となる家財はどんなものになるのでしょうか?

基本的には、家財保険の補償の対象になる家財は、「生活関連の動産全般」とされていますが、わかりやすく言うと「生活するうえで欠かせない家財道具全般」のことを指します。

具体的には、下記のようなものになります。

  • TVやパソコン・冷蔵庫・洗濯機などのAV機器や家電
  • アクセサリーや衣類などの服飾品
  • テーブルやタンスなどの家具

※高価なものについては、別途申請が必要となります。こちらについては、後述いたします。

 

家財保険の補償額

さて、保険を検討する際に気になるのは万が一の補償額です。

家財保険の補償額ですが、何を基準に決めればいいのでしょうか?

 

検討する際に基準となるのが、「標準世帯における家財の評価額(再調達価額)の目安」です。

このデータは、総務省の家計データなどをもとに、世帯主の年齢・家族構成などから、再調達額(同じものを再度購入する場合にかかる金額)をまとめたものとなります。

各保険会社はこちらの評価額の目安を参考に、補償額や毎月の保険料を算出しています。

 

補償額の例

家族構成 年齢
単身者 (年齢に関わらず)300万程度
夫婦のみ 680万 1160万
夫婦+子供2人 770万 1250万

 

とはいえ、各家庭によって家財も様々です。中には、補償額がこの基準額に合わないこともあります。気になる場合は保険会社の担当者に相談してみましょう。

 

参照:標準世帯における家財の評価額(再調達価額)の目安(平成29年8月現在)

http://kasai-insurance.com/estimate.php

 

家財保険の対象とならないもの

暮らしに必要な家財のほとんどをカバーできる家財保険ですが、対象にならないものもあります。それは「1個または1組の価額が30万円超のもの」です。これらは「明記物件」と言われ、家財の補償とは別に明記物件として補償をつけなければ、もしもの時に保険金がおりません。

 

明記物件:1個または1組の価額が30万円超の貴金属、宝石、書画、骨董など

 

契約する際には、「金額を証明する資料(美術品や宝石であれば、鑑定書など)」が必要になります。

また、明記物件の補償上限は100万円がほとんどです。もしそれを超える場合には、火災保険の特約ではなく、別の損害保険など個別につけることを検討しましょう。

 

家財保険の特約

また、火災保険と同様、家財保険には特約を付けることもできます。保険会社によって名称は変わりますが、主に日常生活でご近所など、周りの方に迷惑をかけてしまった場合にその損害を補償する特約となります。

 

 

家財保険の代表的な特約

  • 日常生活賠償特約:日常生活賠償特約は、日常生活において他人の物を壊してしまったり、他人にケガを負わせてしまって、法律上の損害賠償責任を負った場合に補償されます。

※保険会社によって日常生活賠償特約や個人賠償責任特約といったように呼び方が変わります。また保険商品によって補償範囲が違いますので、ご加入の際には十分にご確認ください。

  • 借家人賠償特約:借家人賠償特約は、賃貸住宅にお住まいの方には必要な特約です。借りた部屋で不測かつ突発的な事故などがあり、大家さんへの法律上の損害賠償責任を負った場合の損害賠償金などを補償します。

 

 

家財保険のメリット

万が一の時、生活費などに充てられる!

火事となれば建物だけでなく家財もなくなります。

火災保険では建物本体の補償が受けられますので、その補償額に見合った保険金がおりますが、実際には、建物以外にも洋服なども含めた日常生活に必要な家財も新しく買わなければなりません。そんな時、住宅ローンの残高がまだ多く残っていたら…火災保険の保険金はほとんどローンの返済に充てられ、手元にはほとんど残りません。

もし、前もって家財保険に加入しておき、家財保険だけ質権を設定しておかなければ、家財保険分の保険金は手元に残ります。

保健や住宅ローンの契約内容によっても違いますが、このようなメリットもありますので知っておいてください。

 

パソコンなど高額な家財にも保険がかけられる

最近では、家族一人ひとりが自分用のパソコンを所有しているご家庭も多いのではないでしょうか?そのほか、液晶テレビ、ハードディスクレコーダー、ゲーム機など、コンピュータが組み込まれた高価な家電が身の回りにあふれています。

もし火災にあったら…怖いのは火はもちろん、消火活動の際の水濡れ。火の被害はなくとも、水濡れで家電がすべてダメになるというケースも多々あります。

お仕事でパソコンが必須!高価な機材が必要!という方は、備えておいたほうがいいかもしれません。

また、近くの電柱に落雷があった場合、コンセントを通してパソコンがダメになってしまった!というケースにも対応できる家財保険もあります。(ただし、中のデータに関しては補償の対象外になりますので、ご注意ください。)

ご自身やご家族のライフスタイルに合わせて補償内容を手厚くできるのが、家財保険のメリットでしょう。

 

ご近所に迷惑をかけてしまった場合にも役立つ

先ほどお話ししたように、家財保険は特約でご近所や大家さんに迷惑をかけてしまった場合の補償もカバーできます。

特に賃貸住宅にお住いの方にとっては、家財保険に特約として付帯することができる「借家人賠償特約」はなくてはならない補償です。

例えば、火災などを起こして隣・上下の部屋に迷惑をかけてしまった際には、非常に大きな損害賠償の請求をされるケースがあります。その際、借家人賠償特約を付けていれば、損害賠償責任を補償することができるのです。

注意したいのは、賃貸契約更新の際に家財保険の更新を忘れてしまうこと。新規で賃貸契約をする際にこの特約がセットされている家財保険への加入が条件になっていても、保険料を安くするために更新の際に特約を外してしまったり、更新を忘れてしまったりなどありますので、手続きの際には内容をしっかり確認しましょう。

 

家財保険のデメリット

30万円を超える家財は別途明記が必要

先ほどもお話ししましたが、家財保険には高価な家財を補償するには「別途明記」が必要となります。

つまり、30万円を超える家財は通常の家財保険に加入しただけでは補償されず、別途明記が必要となるということなのですが、この申告を忘れたことで補償が受けられないケースがよく見られます。

また、骨董品や美術品、アクセサリーなどを別途明記する場合は、金額を証明する資料や鑑定書などが必要となります。いざ手続きをする際にその証明書がなく、申告できなかったということもありますので、証明書類はあらかじめまとめておくか準備しておきましょう。

いつも使っている家財道具やたまにしか使わないアクセサリーなど、どうしても普段意識していない分忘れがちです。

火災保険・家財保険の新規契約・更新手続きをする際に一度家財道具をチェックしてみましょう。

 

他の損害保険と補償がかぶっている

便利な家財保険ですが、当然補償内容を付加すればするほど保険料は高くなります。

もし、他の損害保険などですでにカバーできていれば、改めて契約する必要はありません。

もちろん、火災や災害による自宅建物の補償や中の家財の補償は、火災保険・家財保険でなければできません。

しかし、特約でつけられるご近所への補償や、日常的にご迷惑をかけてしまった場合のカバーは、他の損害保険に加入していれば必要ありません。

損害保険に個別に加入している場合は、ぱっと思いつくでしょうが、盲点なのはクレジットカードです。

実はこういった日常で起こった損害について、自動で補償サービスを付けているクレジットカードがあるのです。

一般的には「個人賠償責任保険」と言いますが、クレジットカードを作成すると自動で付帯している場合があります。

一度、お持ちのクレジットカードの機能や補償内容を調べてみて、もし火災保険・家財保険の特約とかぶる内容があれば、補償プランを検討し直しましょう。

 

参考:個人賠償責任保険辞典

http://xn--gmqzf20aqf36clpj924a3law4sy7s.xyz/automatically/

 

さまざまな保険がありあれもこれもと迷ってしまうかと思いますが、他の保険内容や保険料とのバランスを見ながら、最低限何を補償すればいいのか、それらがしっかりとカバーできるかが判断の基準にして、無駄のない補償内容にできればベストでしょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

なかなか耳慣れない家財保険ですが、言われてみれば備えなければならないと思い当たることがあったのではないでしょうか?

「家財保険」は非常に身近な保険にも関わらず、どのような時に保険が使えるのか?など、よく分からないまま加入している方、またよく分からないから必要なのに加入していない方が多くいらっしゃいます。

家財保険は持ち家にしても、賃貸住宅にしても、住宅にお住まいの方であれば必要な保険です。

これから検討する方はもちろん、現在加入済みの方も一度契約内容について見直してみてはいかがでしょうか?

 

 

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