名前はよく聞くけどわかりづらい住宅ローンのフラット35について徹底解説!民間銀行の住宅ローンよりも優れている部分についても解説

住宅ローンのフラット35という名前を良く耳にしますが、具体的にどういう商品なのかをわかる人は少ないと思います。ここでは、フラット35とはどういう商品なのかや、民間の住宅ローンとの違いや、フラット35のメリットなどについて詳しく解説してききます。

フラット35とはどういう住宅ローン

フラット35の沿革

フラット35は、住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して提供している全期間固定金利の住宅ローンのことをいいます。それでは、どういう経緯でフラット35が提供されるようになったのでしょうか?

住宅金融支援機構

住宅金融支援機構は、平成19年4月1日に設立された独立行政法人です。平成19年3月31日に廃止された国土交通省、財務省所管の特殊法人、政策金融機関であった住宅金融公庫の業務を引き継いでいます。

国民の住宅購入に住宅ローンで応援する姿勢は、住宅金融公庫と変わっていませんが、ローンの仕組みは異なっています。住宅金融公庫の時代のほとんどは、郵便貯金を住宅ローンの原資にしていたため、住宅ローンの金利と国からお金を借りる金利が逆転して赤字になることもあるような形態でした。しかし、フラット35は、金融機関から買い取った住宅ローン債権を担保として資産担保証券を発行して、投資家から住宅ローンの原資である資金を調達しているのです。

フラット35の発売

郵便貯金などの財政投融資で資金調達をしていた住宅金融公庫の住宅ローンは、構造改革により廃止になることが決まったのです。そのため、2003年に住宅金融公庫は、資産担保証券を発行して民間から住宅ローンの原資を調達する新しい形の住宅ローンを発売しました。そして、2004年にフラット35に名称変更をしたのです。

フラット35の概要

フラット35は、民間の金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供している住宅ローンのため、融資の金利や融資手数料や提出書類は民間の金融機関ごとに異なります。その他の商品概要などは機構が全国共通で決めていますので、民間の金融機関ごとに差はありません。

フラット35の商品概要

  • 金利(フラット20 15年~20年):年1.330%~年1.990%
  • 金利(フラット35 21年~35年):年1.410%~年2.070%
  • 借入金額: 100万円以上8,000万円以内
  • 借入期間:15年以上(本人または連帯債務者が満60歳以上の場合は10年)35年以内
  • 資金使途:本人またはご親族が住む新築住宅の建設や購入の資金または中古住宅の購入の資金
  • 担保:借入対象住宅と敷地に住宅金融支援機構を抵当権者とする第一順位の抵当権を設定
  • 連帯保証人:原則不要
  • 保証料:不要
  • 繰上返済手数料:不要
  • 融資手数料:取扱金融機関ごとに相違
  • 物件検査手数料:検査機関または適合証明技術者によって相違
  • 団体信用生命保険:加入する団体信用生命保険によってフラット35の借入金利が相違(新機構団信は新機構団信付きのフラット35の金利、新機構団信(デュエット)は新機構団信付きのフラット35の金利+0.18%、新3大疾病付機構団信は、新機構団信付きのフラット35の金利+0.24%)
  • 火災保険:加入要(保険期間や火災保険料などは取扱金融機関によって相違)
  • 利用条件:申込時の年齢が満70歳未満の人(ただし、親子リレー返済の利用は除く)、日本国籍の人、外国人は永住許可を受けているまたは特別永住者の人

フラット35の特徴

親子リレー返済

申込者本人の子や孫などの直系卑属またはその配偶者で定期的収入のある人で、申込時の年齢が満70歳未満で、連帯債務者になる人ひとりを後継者にする場合は、満70歳以上でも申し込むことができます。

収入の合算

申込者本人の親、子、配偶者などで、申込時の年齢が満70歳未満で、同居し連帯債務者になる人ひとりの収入を合算することができます。

フラット35S

フラット35Sとは、新築住宅の建設や購入や、中古住宅の購入の際、省エネルギー性や耐震性などの質の高い住宅を購入した場合に、フラット35の借入金利が一定期間引き下げられる制度のことです。住宅の技術基準レベルが最高基準の金利Aプランは当初10年間、次の基準の金利Bプランは当初5年間の借入金利が年0.25%引き下げられます。

この制度は、平成31年3月31日までの申込受付分まで適用されます。また、フラット35Sには、決められた予算があり、予算金額を越えた場合は受付が終了になりますので注意が必要です。

フラット35リノベ

フラット35リノベとは、購入した中古住宅に性能向上リフォームを行う場合や、性能向上リフォームがすでに行われた中古住宅を購入する場合に、フラット35の借入金利が一定期間引き下げられる制度です。性能向上リフォームの適用基準により、当初10年間借入金利が0.5%引き下げられる金利Aプランと、当初5年間借入金利が0.5%引き下げられる金利Bプランの2種類があります。フラット35リノベも、平成31年3月31日までの申込受付分まで適用されますが、その前に決められた予算金額を越えた場合は受付が終了になります。

地方公共団体と住宅金融支援機構との連携

フラット35には住宅金融支援機構と連携した地方公共団体の補助金の交付などの財政的支援により、借入金利が引き下げられる制度があります。この制度は、フラット35Sと併用して利用することができます。ただし、フラット35Sと同様にこの制度にも予算がありますので、予算金額を越えた場合は受付が終了になります。

フラット35子育て支援型

フラット35子育て支援型は、子育て支援を積極的に行っている地方公共団体と住宅金融支援機構が連携して行っている支援です。支援の対象は子育て世帯の住宅の取得や、親との同居や近居のための住宅取得で、フラット35の当初5年間の借入金利が年0.25%引き下げられます。

フラット35地域活性化型

フラット35地域活性化型もフラット35子育て支援型と同様に、地域活性化を積極的に行っている地方公共団体と住宅金融支援機構が連携して行っている支援になります。支援の対象はUIJターンなどでのマイホーム取得者で、フラット35の当初5年間の借入金利が年0.25%引き下げられるのです。

民間金融機関と住宅金融支援機構が提携したフラット35のメリットとは

フラット35を借りるには、いろいろなメリットがあります。メリットの中には、民間金融機関だけでは実現できないものもあるのです。ここでは、フラット35のメリットについて詳しく解説していきます。

完済までずっと固定金利

Man
フラット35の特徴として、借入時から完済までずっと同じ金利で推移していくことと聞いていますが、そのメリットは何ですか?
Expert
フラット35のような全期間固定金利は、借入金利が変動しないため、借入時に総返済額や毎月の返済予定がわかります。そのため、将来に向けてのの返済計画が立てやすくなります。また、今のような低金利の時代に全期間固定金利で借りることにより、市場金利が上がった時に金利変動リスクを受けないこともメリットです。

借入基準が緩いため申し込みしやすい

 

Woman
フラット35は民間の住宅ローンと比べて、借入基準は厳しいのでしょうか?それとも緩いのでしょうか?
Expert
一般的に民間の住宅ローンは、借入基準に勤務形態や勤務年数や年収などを考慮しているところが多いです。一方、フラット35は、年収を基準とした返済負担率は借入基準としていますが、勤務形態や勤続年数は借入基準としていません。そのため、転職したばかりで勤務年数が短い人や、自営業の人などでも申し込みがしやすくなっています。

条件によって金利が引き下げられる

 

Man
フラット35には金利優遇はないのでしょうか?
Expert
フラット35には、省エネルギー性や耐震性などの質の高い住宅を購入した場合に、借入金利が基準によって一定期間年0.25%引き下げられるフラット35Sがあります。また、性能向上リフォームを行った場合に、借入金利が基準によって一定期間年0.5%引き下げられるフラットリノベがあります。さらに、地方公共団体と提携をして、子育て世帯や親との同居の住宅購入に向けたフラット35子育て支援型や、UIJターンの住宅購入に向けたフラット35地域活性化型で金利優遇をしているのです。この2つの支援は、地方公共団体の補助金などによりフラット35の当初5年間の借入金利を年0.25%引き下げるというものです。

保証料、繰上返済手数料がかからない

 

Woman
フラット35を借りる時に保証料はかかりますか?また、返済途中に繰上返済をする場合の手数料はかかりますか?
Expert
フラット35を借りるのに、保証料はかかりませんし、保証人も必要ありません。また、繰上返済をする場合や、返済方法を変更する場合も手数料はかかりません。

民間の住宅ローンとの違いと比較

フラット35の商品内容について今まで見てきましたが、民間の住宅ローンと何がどう違うのでしょうか?ここでは、フラット35と民間の住宅ローンとの違いについて詳しく解説していきます。

借入金利

フラット35は、すべてが全期間固定金利です。一方、民間金融機関の住宅ローンは、全期間固定型だけでなく変動金利や固定期間選択型などいろいろな金利タイプがあります。

違う金利タイプ同士であれば、将来の市場金利によって最終的にどちらが得だったのかが決まります。そのため、違う金利タイプの商品とは単純に比較ができません。

また、フラット35の金利は提携する民間金融機関ごとに違いますので、民間金融機関の全期間固定型住宅ローンとも単純に比較できません。しかし、民間金融機関の全期間固定型住宅ローンの中には、どの金融機関のフラット35よりも低い金利を設定しているところもあるようです。

審査基準

審査基準を比較してみると、前年度年収についてはフラット35は規定がありません。民間の住宅ローンは基本的には規定があるため、フラット35の方が緩くみえます。ただし、フラット35には、年収400万円以上の人は返済負担率35%以下、年収400万円未満の人は返済負担率30%以下という規定があります。

また、勤続年数については、金融機関の住宅ローンは何年以上という規定があるところが大半ですが、フラット35はありません。全体的に見ても、審査基準はフラット35の方が甘いと考えてよいでしょう。

手数料

フラット35の事務手数料については、提携金融機関ごとに違いますので単純に比較することができません。また、繰上返済手数料につきましては、フラット35は一部繰上返済でも全部繰上返済でも無料です。民間の住宅ローンの中には、繰上返済手数料は無料の金融機関も有料の金融機関もあります。

団体信用生命保険

民間の金融機関は、団体信用生命保険の加入が必須のところがほとんどで、加入できない人は住宅ローンの決裁もおりません。しかし、団体信用生命保険の保険料は、金融機関が負担してくれるケースが多いのです。

一方、フラット35は、団体信用生命保険の加入は任意です。しかし、加入した場合は、通常金利に上乗せで加入者が保険料を支払うことになります。

借入限度額

フラット35の借入限度額は、8,000万円が最高限度額になります。そのため、8000万円を越える融資が必要な場合は民間の住宅ローンで借りるしかありません。

どこの金融機関でフラット35を借りるとお得?

フラット35を取り扱っている金融機関は、全国で1,000社以上あるといわれています。その中でもフラット35に力を入れている金融機関を紹介していきます。

楽天銀行 フラット35

  • 借入金利(団信なし):フラット35S 年0.90%、フラット35 年1.15%
  • 借入金利(団信あり):フラット35S 年1.10%、フラット35 年1.35%
  • 融資手数料:新規借入で楽天銀行口座が返済口座の場合 借入額×1.10%(税込)、楽天銀行以外の口座が返済口座の場合 借入額×1.43%(税込)(ただし、最低金額は111,000円(税込))

楽天銀行のフラット35は、業界最低水準の金利と、業界最低水準の融資事務手数料が特徴です。

住信SBIネット銀行 フラット35

  • 借入金利(フラット35 新機構団信付き 15~20年):フラット35S 年1.10%、フラット35 年1.35%
  • 借入金利(フラット35 新機構団信付き 21~35年):フラット35S 年1.20%、フラット35 年1.45%
  • 融資手数料:新規借入の場合 借入額×2.20%(税込)

住信SBIネット銀行のフラット35の最大の特徴は、全疾病保障が付いた住宅ローンです。全疾病保障とは、がん、脳卒中、急性心筋梗塞などの疾病を含むすべての病気やケガで就労不能になった場合に、月々の返済を保障してくれるのです。

ARUHI スーパーフラット

  • 借入金利(団信なし 自己資金2割):ARUHIスーパーフラット8S 年0.82%、ARUHIスーパーフラット8 年1.07%
  • 借入金利(団信あり 自己資金2割):ARUHIスーパーフラット8S 年1.10%、ARUHIスーパーフラット8 年1.35%
  • 借入金利(団信あり 自己資金1割):ARUHIフラット35S 年1.20%、ARUHIフラット35 年1.45%
  • 融資手数料:借入額×2.20%(税込)

ARUHIスーパーフラットは、フラット35を用いたARUHIの独自の商品です。自己資金が2割以上の場合のスーパーフラットは、フラット35の取り扱い金融機関の中で最低基準の金利を維持しています。

まとめ

フラット35とは、住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携し提供している住宅ローンですが、その特徴についてまとめていきます。

  • フラット35の原資は、住宅金融支援機構が金融機関から買い取った住宅ローン債権を担保に資産担保証券を発行して、民間の投資家から集めています。
  • 最大借入限度額は8,000万円、全期間固定金利で、保証料が不要、繰上返済手数料が不要なのが特徴です。
  • 商品の概要は基本的には共通していますが、借入金利と融資手数料は提携金融機関ごとに相違しています。
  • フラット35Sとは、省エネルギー性や耐震性の高い住宅を購入した場合に、借入金利が一定期間引き下げられる制度です。
  • フラット35リノベとは、性能向上リフォームをした中古住宅を購入した場合に、借入金利が一定期間引き下げられる制度です。
  • フラット35子育て支援型やフラット35地域活性化型などの、地方公共団体の財政的支援により、借入金利が一定期間引き下げられる制度もあります。
  • 審査基準に前年度年収や勤務年数などがないため、申込基準が緩めです。

フラット35にはこのようないろいろな特徴があり申し込みもしやすくなっていますので、住宅購入の時には検討してみてはいかがでしょうか。

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