法定通貨が仮想通貨に変わる未来は来る?アルゼンチンのペソ安から見る可能性

アルゼンチンのペソ安と仮想通貨の関係性

アルゼンチンペソ安から、アルゼンチンでは経済危機が危惧されています。発端は、トルコショックによる影響と見られていますが、アルゼンチンの中央銀行は8月30日に、緊急利上げとして60%の引き上げを行いました。

しかし、大きなペソの下落が起こった8月から依然としてペソは回復を見せておらず、その影響は長期間に渡るという見方もあります。その影響は「仮想通貨」にも及んでおり、仮想通貨業界からは現状の通貨に対する不安・疑問視する声が発生する事態になっています。

現在アルゼンチンではもともと仮想通貨に積極的であった事もあり、仮想通貨のATMが増えているようです。アルゼンチンの現状は、仮想通貨は価格を下げているにも掛からわらず信頼度では「仮想通貨>法定通貨」という見方が徐々に広がっています。

この記事では、アルゼンチンのペソ安の原因についてはもちろんですが、それが仮想通貨に与えている影響、国によって異なる仮想通貨への信頼度、発展途上国と先進国によって異なる仮想通貨の立場についてご紹介していきたいと思います。

まず、はじめにアルゼンチンと仮想通貨というトピックについて触れていきます。

アルゼンチンのペソ安はなぜ発生したのか?

そもそも、アルゼンチンのペソ安はなぜ発生したのでしょうか?アルゼンチンのペソ安が発生した原因について解説していきます。

昔から危ない経済だったアルゼンチン

アルゼンチンの不安定な経済は今に始まった事ではありません。昔からデフォルトが発生したり、通貨危機が発生したり、インフレ率が高かったりとかなり脆弱な経済であったと言えるでしょう。

具体的には、以下のような経済的な事件がありました。

  • 年率900%のハイパーインフレ(1,989年)
  • 国家でのデフォル(2,001年)

などです。もちろん、このような状況を受けて国民も黙っていません。例えば、年率900%のハイパーインフレが発生した際には国内で暴動が発生し、多数の死傷者を出しました

また、アルゼンチンは国民が通貨を信用していないという点が挙げられます。というのも、アルゼンチン独自の文化として「トルエケ」というものがあり、これは完結にまとめてしまうと「物々交換」を中心としたマーケットが存在しているのです。

つまり「通貨と物」を交換するくらいなら「物と物」を交換した方が安定的であり、通貨の利便性よりも物々交換の安定性の方が優れていると考えられているのです。

また、国民が以下に自国の通貨を信用していないのか?という点は、他の視点からも挙げられます。というのも、アルゼンチンでは国民が積極的に「外貨」を獲得しており、地下銀行を利用して安定しているUSドルやユーロなどの外貨を蓄えているようです。

比較的、経済が安定している日本では考えられないような状況ですが、過去に何回も発生している経済危機の影響で国民が通貨をそれほど信用出来ていないのです。

今回のペソ安の明確な理由はない

歴史的な大暴落を記録しているアルゼンチンのペソ安ですが、実は「これが原因」という理由は、はっきりとしていません。ただ、そもそもアルゼンチンの経済は残念な状態であり、以下のような事が発生していました。

  • 基礎的財政収支が赤字
  • インフレが改善していない
  • 債務返済をインフレによって軽くする流れ

などが挙げられます。これと言ってはっきりとした理由はありませんが、一般的にもともと脆弱だった経済状況がトルコショックが発生した事で、崩れ落ちたという状況になっていると見られています。

また、全体的に投資資金が新興国から米国に向かっている事も、原因の1つとして挙げられます。というのも、現在アメリカの景気は順調であり、通常アメリカの投資家はドル安では海外に資金を移動させ、その影響でアルゼンチンのような新興国・発展途上国にも資金が流れ込んできます。

しかし、アメリカの景気がよく、ドル高であり投資資金が海外からアメリカ国内に戻している状況も発生しています。ただ、海外からの投資で繋がっているような状況は、そもそも脆弱な経済状況なので、アルゼンチンのペソ安は「いずれ起こるものだった」と言えるでしょう。

法定通貨よりも仮想通貨?

そんなアルゼンチンの経済が不安視されている中、仮想通貨業界には嬉しいニュースも発生しています。それは、法定通貨よりも国内通貨に資金を移動させるという動きが、アルゼンチンで動き初めているからです。

アルゼンチンの国民はそもそも、自国のアルゼンチンペソを信用しておらず、外貨に資産を変えているという現状があります。その対象が「仮想通貨」に移りつつあるという事です。

というのも、アルゼンチンではその国柄から仮想通貨に対して国民が積極的であり、仮想通貨に対する意識が国民一人ひとり高い状況でした。ただ、今回のペソ安が発生した事によってその風潮がより一層強まっているようです。

現在、アルゼンチンでは「150機」の仮想通貨ATMが設置されています。この台数だけでも、他の国と比較した時にかなり多いと言えるのですが、オデッセイ傘下のオクタゴンというATMを配置する会社では、2019年までに「1,600台」をアルゼンチン国内に設置すると予定しています。

つまり、これはどういう事か?日本いると実感出来ない「法定通貨への疑問視、そして仮想通貨で代用」というものが、アルゼンチンでは本格的に始まっているという事だと思います。

これまで、仮想通貨は「投機・投資」というものが主な用途であり、その資金が仮想通貨の市場を支えてきました。もしも、仮想通貨市場からこの資金を引き上げて、しまうとなんの価値も持たないマーケットになってしまうと思います。

しかし、仮想通貨はそもそも「通貨」であり、決済手段として利用されるべきという考え方も、仮想通貨業界では少なくありません。しかし、既にATMという普段の決済手段として用いるお金を引き出す機械の設置が広まっているという事は「普通の決済手段として活躍する」という意味に繋がります。

もちろん、この流れが日本やアメリカ、ヨーロッパの諸外国など比較的に経済が安定している国に、すぐに来るとは言えません。ただ、もしも仮想通貨の利便性・信頼性が向上し、キャッシュレスの流れが強まると決済手段の1つとして仮想通貨が利用される未来はそう遠くはないでしょう

国によって大きく異なる法定通貨への信頼度

仮想通貨への注目度は、2017年の大きな暴騰以降大きく下がったと言えるでしょう。しかし、何年も前から仮想通貨への投資を行っている方だと、昔と比べたら大きく認識されていると感じていると思います。

ただ、注目度が上がっている、認知されているからと言って、そのまま信頼されているという点には繋がりません。事実、仮想通貨にマイナスなイメージから初めて認識した人の仮想通貨への信頼度は大きく下がっていると思います。(コインチェックの流出によって仮想通貨を知った人など)

そのため、一概に「仮想通貨の信頼度はどこが高い!」とは言えません。なので、取引量によって比較していきたいと思います。

国別の取引ランキング

最も時価総額の大きい「ビットコイン」の取引量を国別に見ていきたいと思います。

存在感の大きいKRW

Crypto Compare

以前まで、仮想通貨の取引は日本が最も多く、日本人が多く取引を行っていたと見られていましたが、現在その状況は大きく変わりつつあり「USDT」「KRW」「USD」が大きな取引量を締めつつあります。

つまり、この表を参考にすると「アメリカ」「韓国」という国が圧倒的に、多くの取引を行っており信頼を置いていると考えられます。しかし、一概にそうとは言えません。というのも、ポイントは「USDT」が最も大きな取引を占めているという点にあります。

USDTというのは、アメリカの通貨であるドルとほぼ同じ価値を持つように設定されている通貨の事です。正式名称は「USD Tether」であり、入手の方法はUSDを運営会社に預けるとテザーが配布され、それを投資などに回せるという通貨です。

一時期は中国の通貨である元が、仮想通貨の大きな取引を占めており仮想通貨の基軸通貨は元でした。そして、2017年の暴騰では日本で大きく注目度を挙げ、一時期は日本の円が基軸通貨になった事もあります。

しかし、現在ではこの「USDT」が仮想通貨の基軸通貨になりつつあり、投資家は仮想通貨を買う前に「USDからUSDT」に変えるという作業が行われています。

ただ、なぜそのような事を行う必要性があるのでしょうか?これは、海外の仮想通貨事情が大きく影響しています。というのも、海外の仮想通貨取引所では「法定通貨から仮想通貨への換金」を行っている取引所はあまり多くありません。

つまり、日本の取引所で一般的に行われているような「JPYでBTC」を購入するというような手順を踏むことが出来ないのです。しかし、「USDT」ならUSDさえ持っていれば、法定通貨から仮想通貨に換金する事が可能であり、USDTは数多くの取引所で基軸通貨として使用されています

そのため「USDT」での取引量が多くて当たり前の状況だと言えるです。

USDTを覗いたランキング

では、USDTを覗いた通貨でのランキングは

  • 第1位 KRW
  • 第2位 USD
  • 第3位 JPY

となっています。これをそのまま解釈すると日本は第3位の取引国だと言えます。そのため、取引量から見る信頼度が高い国は

  • 第1位 韓国
  • 第2位 アメリカ
  • 第3位 日本

という結果になると言え、取引量が多い順から信頼度を測るとすると、このような順位になります。

ATMの数から見る信頼度

先程、取引量によって国別の信頼度の高さをご紹介していきました。ただ、ギャンブル的な思考から仮想通貨業界へお金が流れてきている事を考えると一概には言えないのかも知れません。

そこで、日常的に仮想通貨を利用している象徴であると言える「ATMの数」によって比較していきたいと思います。国別のATMをランキングは

Coin atmradar

この表を参考にするとATMの設置台数ランキングは、

  • 1位 アメリカ 約 2,100台
  • 2位 カナダ 約600台
  • 3位 オーストラリア 約250台
  • 4位 イギリス 約200台
  • 5位 ロシア 約50台

という結果になっています(新興国・発展途上国などは詳細なデータが少ないです)。この中では、アメリカがダントツで最も多くのATMを配置していると言えるでしょう。これは、アメリカの決済手段に大きな関係性があると思われます。

というのも、アメリカは小さな小売店でもクレジットカードによって決済できる店が少なくありません。(都市部では)逆に、キャッシュレスの決済が出来ない店を探す方が難しいと言える状況です。

そのため、キャッシュレス文化の一環として、仮想通貨ATMが広がった可能性が高いです。また、カナダ・オーストラリアにも同様のことが言え、全体的にキャッシュレスが進んでいる国で仮想通貨ATMが設置されている傾向にあります

日本の場合は、取引量で考えた時に世界で第3位ではありますが、ATMの設置台数では「約10件」程度しか確認されていません。つまり、いかに日本の円が「仮想通貨の投資・投機」に流れ込んでいるかが分かりますが、一方で「一般の決済手段として考えられていない」という事が分かると思います。

ただ、日本も消費税増税に伴いキャッシュレスの店舗には減税を行うなどの処置を導入するようです。つまり、日本にもキャッシュレスの波が訪れた時は、十分に仮想通貨ATMが配置される可能性はあると言えるでしょう。

ただ、実際は決済に特化していない通貨だと、送金の大きな遅延などの現象が確認されており、2017年の暴騰の際にはビットコインを送金するのに数日掛かったという話も少なくありません。そのあたりの問題が解決されない限り、日本に限らず世界中で仮想通貨によって決済が行われるという日はまだまだ遠いと言えます。

先進国と発展途上国によって異なる仮想通貨の立場

先程、信頼度を取引量やATMの設置数などの観点から国別で比較しました。しかし、アルゼンチンのような国で仮想通貨の利用が広まっているのに、ランキングに含まれていない事に疑問を感じたかもしれません。

そのため、独自の視点から「発展途上国と先進国による仮想通貨の立場の違い」についてご紹介していきたいと思います。

投資・投機の用途は圧倒的に先進国の方が多い

取引量から見ると一目瞭然ですが、投資・投機による用途は圧倒的に「先進国」の方が多いです。というよりも、発展途上国の取引所では自国の通貨で仮想通貨を購入出来る取引所が少なく、「USDT」「BTC」などの基軸通貨を何らかの方法で手に入れる必要性があると言えます。

そのため、若干のバイアスが掛かってはいますが、それでも投資・投機は先進国によるものが多いですし、一般的な決済手段として利用されていない日本がTOP3にランクインしている事からもいかに先進国のお金が投資・投機に向いているのか?かが分かります。

韓国に関しても同様の事が言え、韓国での仮想通貨ATMが設置されているという情報は確認出来ません。しかし、韓国は最も仮想通貨の取引を行っている国なのです。

そもそも、先進国の場合は「法定通貨」の信頼度が大きく、一般の決済手段として利用する分には仮想通貨よりも自国の通貨を利用した方がメリットが大きいのです。当然、用途は一般の決済手段としてではなく、仮想通貨の激しい価格変動を利用した「投資・投機」が大きくなりがちです。

別の使い方をする発展途上国

では、発展途上国ではどのような使い方されていると言えるでしょうか?仮想通貨は歴史が浅く、詳しいデータがないため一概には言えませんが「一般の決済手段として、自国の通貨を持たないため」という用途になると思います。

今回、記事の始めにご紹介したアルゼンチンが代表的ですが、その他にもデフォルト状態に陥ったギリシャでも「仮想通貨ATM」が広がりを見せています。

ギリシャも、アルゼンチンも取引量ではランクインしていませんが、ATMの設置台数がこれから増えるという情報から考えると「一般の決済手段」として利用される可能性が高いでしょう。

また、仮想通貨のはじめての大きなバブルを引き起こしたのは「ギリシャ危機を発端としたキプロス危機の発生」が原因とされています。ギリシャ危機よって、キプロス危機が訪れ多くの人がビットコインを資産の逃げ場所として利用したためです。

つまり、そのような視点から考えると「自国の通貨以外の選択肢」として仮想通貨が利用されている・利用している可能性が非常に高いと言えます。このような現象はアフリカ大陸の国々でも確認されており、先進国とはまた違う使い方をされていると言えるでしょう。

現在、取引量の観点では先進国が大きくランクインしていますが、発展途上国の正確なデータの把握が可能になると、ATMの設置台数で発展途上国がランクインする可能性は高いと言えます。

まとめ

アルゼンチンとか仮想通貨

  • そもそも経済的に脆弱だった
  • 国民に自国通貨が信用されていない
  • 一部では、仮想通貨に資金が流れている

国によって変化する仮想通貨への信頼度

  • 国別の取引ランキングでは韓国、アメリカ、日本の順で取引量が多い
  • ATMの量ではキャッシュレス化の進む国で、設置数の増加が見られる

先進国と発展途上国で異なる仮想通貨の立場

  • 先進国では投資・投機目的が多い
  • 発展途上国では、法定通貨の代用としての使い方が多い

この記事では、アルゼンチンと仮想通貨、国と仮想通貨の信頼度、発展途上国と先進国での仮想通貨の立場などについてご紹介させて頂きました。

仮想通貨は、投資・投機目的で利用される事が多く、やはり決済手段として法定通貨の代用を行う事はまだまだ先になるのかも知れません。しかし、キャッシュレス化の進んでいる国でATMの増加が進んでいる事等を考慮すると、仮想通貨が決済手段として使用されるのは十分に可能性があると思います。

senna
senna
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金融業界経験 4年 個人投資家 3年

個人投資家として「株式」「債権」「FX」「仮想通貨」などへの投資・投機を中心的に行っている。

資産運用はもちろん、ファイナンシャルプランナーの知識を活かしながら、税金やライフプランに関する情報発信を行っている。

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